オールド・ファッションド・ワルツ

サンディ・デニーのアルバム

『オールド・ファッションド・ワルツ』(原題:Like an Old Fashioned Waltz)は1974年6月にリリースされたイギリスのフォーク・ロック・シンガー、 サンディ・デニーの3枚目のソロアルバム。[1] このアルバムは、フェアポート・コンヴェンションフォザリンゲイストローブスのリード・ボーカリストとして、またソロアーティストとして活動していたのデニーのそれまでのフォーク・ロック・アルバムから大きく異なる、よりポップジャズに影響された制作スタイルを特徴としている。

『オールド・ファッションド・ワルツ』
サンディ・デニースタジオ・アルバム
リリース
録音 1973年5月と8月
ジャンル フォーク・ロック
時間
レーベル アイランド ILPS 9258 (UK)
プロデュース トレヴァー・ルーカス、ジョン・ウッド
サンディ・デニー アルバム 年表
サンディ
1972年
オールド・ファッションド・ワルツ
1974年
ランデヴー
1977年
『オールド・ファッションド・ワルツ』収録のシングル
  1. 「ウィスパリング・グラス / フレンズ」
    リリース: アイランド WIP 6176 (1973)
  2. 「ライク・アン・オールド・ファッションド・ワルツ / ジョン・ザ・ガン (リリース中止)[1]
    リリース: アイランド WIP 6195 (1974)
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デニーは当初、このアルバムのサポートとしてツアーを行うことを希望していたが、アイランド・レコードとのトラブルのために1973年秋から1974年6月まで発売が延期され、その頃にはフェアポート・コンベンションに再加入していた。

バックグラウンド

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1972年のアルバム『サンディ』は大衆市場での成功を収めることができず、最近、デニーがゲスト・ボーカリストとして出演したレッド・ツェッペリンザ・フーと並んで注目されるバンドになりたいと考えていたデニーを非常に失望させた。デニーは、ソロキャリアを確立するためには、新しい聴衆にアピールするレコードが必要であると考えた。[2]

構成

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「ライク・アン・オールド・ファッションド・ワルツ (Like an Old Fashioned Waltz)」の曲では、デニーが作曲技術に磨きをかけ、喪失感、孤独感、暗闇への恐怖、時の流れや季節の移り変わりなど、彼女の個人的な悩みの多くを詳述したノスタルジックなパノラマ・ソングの周期に乗せている。[3]

『オールド・ファッションド・ワルツ』には、デニーの父親のレコード・コレクションから思い出のジャズ・ソングを2曲カバーしてい。インク・スポッツの「ウィスパリング・グラス (Whispering Grass)」とファッツ・ウォーラーの「アンティル・ザ・リアル・シング・カムズ・アロング (Until The Real Thing Comes Along)」である。この頃、デニーはジャズ・スタンダードのみで構成されたアルバムのレコーディングを検討していると噂されていたが(あるいはインク・スポッツが書いた曲のカバー・アルバム全体のレコーディングを検討していたのかも知れない)、実際には実現しなかった。[4]

制作

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レコーディング

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このアルバムの制作は、デニーが前作のLP『サンディ』のプロモーションを続けている間に始まった。最初に録音されたのは1972年12月3日にウォルサムストウ・アセンブリー・ホールで行われた「ノー・エンド」で、彼女自身がピアノを弾きながらのソロ・ヴァージョンであった(後でレコーディングしたバンドとストリングスを使った新しいバージョンがよかったので採用されなかった) 。[5] デニーは1973年4月に1ヶ月間のアメリカツアーに乗り出し、ロサンゼルスのザ・トルバドールで1週間の滞在をする前に、A&Mレコードのスタジオに立ち寄って「フレンズ」、「ソロ」、「アット・ジ・エンド・オブ・ザ・デイ」および「ノー・エンド」の4曲の新バージョンをレコーディングした。

6月から7月にかけてのヨーロッパツアーを経て、8月にはロンドンのサウンド・テクニックズでセッションが再開され、残りの「カーニバル」、「ライク・アン・オールド・ファッションド・ワルツ」、「ダーク・ザ・ナイト」と2曲のジャズ・スタンダード「ウィスパリング・グラス」と「アンティル・ザ・リアル・シング・カムズ・アロング」のレコーディングが行われた。ハリー・ロビンソンはこの曲の多くにストリングスアレンジを加えている。

デニーは歌のほかに、「ライク・アン・オールド・ファッションド・ワルツ」でアコースティック・ギター、ピアノ、エレクトリック・ピアノを演奏した。デニーのフェアポート・コンベンションのバンドメイトであるリチャードトンプソンは、「ソロ」と「アット・ザ・エンド・オブ・ザ・デイ」でリード・ギターを演奏した。

アルバムカバー

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このアルバムは、タイトル曲にある色(プリムローズ、イエロー、ベルベットグリーン)を使用したエンボス加工の見開きジャケットに、デニー自身が描いた花のモチーフがアンティーク・プレートのようにデザインされたもので、オリジナルはエンボス加工の見開きジャケットで発売されていた。

ゲレッド・マンコヴィッツによるカバー写真は、エドワード朝時代のオールドスタイルのイメージでデニーが描かれている。アルバムの歌詞は見開きに再現されている。

シングル「ウィスパリング・グラス / フレンズ」は、アルバムジャケット風のセピア色のピクチャースリーブで発売された。

リリース

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レセプションとレビュー

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専門評論家によるレビュー
レビュー・スコア
出典評価
Christgau's Record GuideC+[6]

このアルバムはイギリスやその他の国ではチャート・インしなかった。ヴィレッジ・ヴォイス誌のコンテンポラリー・レビューで、音楽評論家ロバート・クリストガウは『オールド・ファッションド・ワルツ』を「C+」と評価し、「ソロ」の「傑作」を除けば、「低迷したアルバム」であると述べている。[7]

オールミュージックのブレット・ハーテンバッハは、後のレビューでこのアルバムを5つ星のうち3つ半と評価し、「デニーは前作『サンディ』が示唆していた、より洗練された瞬間を展開している。レコード全体のほとんどで優しいピアノ、豊かなストリングス、そしてかろうじて彼女のイギリスのフォーク・ルーツの痕跡が残る憂鬱で個人的なものです」と述べている。 ハーテンバッハはアルバムのオープニング曲である「ソロ」をデニーの "最高の曲 "の一つと呼んでいる。[4]

ライブバンドと放棄されたツアー

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「ライク・アン・オールド・ファッションド・ワルツ」が録音されてから数週間後、サンディ・デニーは長年のボーイフレンドでありバンド仲間でもあるトレヴァー・ルーカスと1973年9月20日にフラムの登記所で結婚した。その後まもなく彼女はパット・ドナルドソン、ヒューイ・バーンズ、ウィリー・マーレイの3人からなるバンドを結成し、アルバムのサポートとして大規模なツアーを行うつもりだった。グループは1973年11月14日にBBCラジオのためにセッションを録音し、この時期に4日間のツアーを行った。[8]

しかし、『ライク・アン・オールド・ファッション・ワルツ』のリリースは1973年秋から1974年6月まで延期され、その頃にはデニーはフェアポート・コンヴェンションに再加入していた。この年のフェアポート・ツアーでは、このアルバムからの数曲が定期的に演奏された。

レガシー

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『オールド・ファッションド・ワルツ』の曲は、多くの著名なアーティストによってカバーされている。デニーの死後、フェアポート・コンベンションは「ソロ」と「イッツ・テイク・ア・ロング・タイム」を散発的に演奏している。「ライク・アン・オールド・ファッションド・ワルツ」はエミルー・ハリスの1983年のアルバム『ホワイト・シューズ』に収録されている。エリック・ジョンソンとスーザン・カウシルは1995年のコンピレーション True Voices で 「アット・ジ・エンド・オブ・ザ・デイ」をカヴァーしている。フィッシュは1993年のアルバム Songs from the Mirror で「ソロ」をカヴァーした。

トラックリスト

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特記あるものを除き、全曲サンディ・デニーにクレジットされている

サイド1
  1. 「ソロ - Solo」
  2. 「ライク・アン・オールド・ファッションド・ワルツ - Like an Old Fashioned Waltz」
  3. 「ウィスパリング・グラス - Whispering Grass」(ドリス・フィッシャー、フレッド・フィッシャー)
  4. 「フレンズ - Friends」
  5. 「カーニバル - Carnival」
サイド2
  1. 「ダーク・ザ・ナイト - Dark the Night」
  2. 「アット・ジ・エンド・オブ・ザ・デイ - At the End of the Day」
  3. 「アンティル・ザ・リアル・シング・カムズ・アロング - Until the Real Thing Comes Along」( サミー・カーン 、 サウル・チャップリン 、L.E.フリーマン)
  4. 「ノー・エンド - No End」

リマスタリングされたCDバージョンには、4つのボーナストラックが含まれている」。

  1. 「アット・ジ・エンド・オブ・ザ・デイ」(ストリングスなしの代替テイク)
  2. 「キング・アンド・クイーン・オブ・イングランド」(バイフィールドのデニーズの家で1974年に録音されたデモ)
  3. 「ライク・アン・オールド・ファッションド・ワルツ」(1975年2月1日のトルバドール(ロサンゼルス)でのライブ)
  4. 「ノー・エンド」(1972年3月12日録音のソロ・ピアノ版)

パーソネル

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  • サンディ・デニー - リードボーカル、ピアノ(1/2/4)、アコースティックギター(5/6)、エレクトリックピアノ(9)
  • リチャード・トンプソン - エレキギター(1/9)
  • トレヴァー・ルーカス - アコースティックギター(1/7)
  • ディズ・ディズリー - アコースティックギター(3/8)
  • ジェリー・ドナヒュー - エレクトリックギター(4/7)、アコースティックギター(5)
  • ジャン・ルーセル - オルガン(1)
  • イアン・アーミット - ピアノ(3/8)
  • ジョン・”ラビット"・バンドリック - ピアノ(5/9)、エレクトリックピアノ(6)、クラビネット(6)
  • デイヴ・ペッグ - ベース(1-2 / 4-5 / 9)
  • ダニー・トンプソン - コントラバス(3/8)
  • パット・ドナルドソン - ベース(6/7)
  • デイヴ・マタックス - ドラムス(1-5 / 8-9)
  • ジェリー・コンウェイ - ドラムス(6/7)
  • アラン・スキドモア - サックス(8)
  • ハリー・ロビンソン - ストリング・アレンジメント(1/2 / 4-7 / 9)
  • ボブ・リーパー - ブラス・アレンジメント(3/8)

脚注

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  1. ^ a b c Heylin, Clinton. Record Collector (109): 66. 
  2. ^ Clinton Heylin. No More Sad Refrains - The Life and Times of Sandy Denny. London, Helter Skelter, 2002. ISBN 1-900924-35-8 p159.
  3. ^ Sandy Denny: Like an Old Fashioned Waltz Information
  4. ^ a b Hartbenbach. “Like an Old Fashioned Waltz - Sandy Denny”. AllMusic. 6 February 2014閲覧。
  5. ^ This version was subsequently issued and is currently available as a bonus track on the Like an Old Fashioned Waltz re-mastered edition
  6. ^ Christgau, Robert (1981). “Consumer Guide '70s: D”. Christgau's Record Guide: Rock Albums of the Seventies. Ticknor & Fields. ISBN 089919026X. https://www.robertchristgau.com/get_chap.php?k=D&bk=70 February 24, 2019閲覧。 
  7. ^ Christgau, Robert (12 September 1974). “Consumer Guide (48)”. The Village Voice (New York). http://www.robertchristgau.com/xg/cg/cgv48.php 6 February 2014閲覧。 
  8. ^ This session is commercially available on the Live at the BBC boxset where the band perform Solo and Dark the Night.

外部リンク

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