オニルリソウ
オニルリソウ(鬼瑠璃草、学名:Cynoglossum asperrimum)は、ムラサキ科オオルリソウ属の越年草[7][8]。
オニルリソウ | |||||||||||||||||||||||||||
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分類(APG IV) | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Cynoglossum asperrimum Nakai (1923)[1] | |||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
オニルリソウ(鬼瑠璃草)[5][6] |
特徴
編集茎は直立し、上部は斜上してよく分枝し、長さ2mmになる開出毛が生え、高さ60-120cmになる。根出葉はロゼット葉となり、花期には枯れて生存しない。茎につく葉は互生し、葉身は長楕円状披針形で、長さ10-20cm、幅2-3.5cmになり、先端と基部はとがり、基部には短い葉柄がある。葉質は薄く、表面には、まばらに細くて硬い長さ1mmほどの毛が生える。植物体全体に粗い開出毛が目立つ[5][6][7][8]。
花期は6-8月。花序は枝先に数個互生して斜上し、花序は巻散花序になり、はじめ先端が巻いているが後に長さ15-20cmに伸びる。花序には苞はなく、まばらに多数の花をつける。花柄は花時に長さ2-3mmになり、果時に長さ5-6mmに伸びる。萼は深く5裂し、裂片は長さ約2mmになり、果時には4-5mmになる。花冠は径3-4mmと小さく、淡青紫色で5裂し、裂片は卵円形で、花冠喉部に付属体がある。雄蕊は5個あり、花冠内部につく。花柱は1個ある。果実は下向きにつき、やや扁平な楕円体の4つの分果になり、分果の長さは3-4mm、先端が鉤状になった太い刺が密生し、動物や衣服にくっついて散布されるひっつき虫になる[5][6][7][8]。
分布と生育環境
編集日本では、南千島、北海道、本州、四国、九州に分布し[5][6][7][8]、山地の林内、林縁、草地に生育する[5]。国外では朝鮮半島に分布する[7][8]。
名前の由来
編集分類
編集中井猛之進 (1923) は、東京植物学会の『植物学雑誌』に、"Notulæ ad Plantas Japoniæ et Koreæ XXIX” および「日本産おほるりさうハ四種アツテ皆新種デアル」を発表し、本種のほか、高知県に産し、葉の表面の毛は稀に生え、葉が著しくとがるもを「トサルリソウ(土佐瑠璃草)」Cynoglossum tosaense Nakai (1923) として独立種とし、また、北海道に産し、オニルリソウの毛が一層多く、花序に長毛が生えるものを「エゾルリソウ(蝦夷瑠璃草)」Cynoglossum asperrimum Nakai var. yesoense Nakai (1923) として、オニルリソウの変種とした[9][10]。現在は、両種ともにオニルリソウに合一されている[3][4]。
同属のオオルリソウ Cynoglossum furcatum Wall. var. villosulum (Nakai) Riedl (1994)[12]は本種によく似る。本種の茎には長さ2mmになる開出毛が生え、植物体全体に粗い開出毛が生え、葉先はとがり、葉質は薄く、葉の毛はまばらである。それに対し、オオルリソウの茎には下向きの短い圧毛が生え、触るとザラザラし、葉先は鈍頭で、葉質はやや厚く、短毛が多い。また、本種の日本での分布域は、南千島、北海道、本州、四国、九州であるが、オオルリソウは、本州の中部地方以西、四国、九州である[6][7][8]。
ギャラリー
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花序は枝先に数個互生して斜上する。
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茎に長さ2mmになる開出毛が生える。
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葉の表面には、まばらに細くて硬い長さ1mmほどの毛が生える。
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花冠は小さく、淡青紫色で5裂し、裂片は卵円形で、花冠喉部に付属体がある。
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花序は長さ15-20cmに伸び、まばらに多数の花をつける。
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果実はやや扁平な楕円体の4つの分果になり、先端が鉤状になった太い刺が密生する。
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萼は深く5裂し、裂片は果時に長くなる。
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花序が伸びる前のようす。7月中旬。
関連項目
編集脚注
編集- ^ オニルリソウ、米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- ^ オニルリソウ(シノニム)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ a b オニルリソウ(シノニム)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ a b c オニルリソウ(シノニム)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ a b c d e 『新北海道の花』p.313
- ^ a b c d e 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1016
- ^ a b c d e f 『原色日本植物図鑑・草本編I(改訂59刷)』p.199
- ^ a b c d e f 米倉浩司 (2017)「ムラサキ科」『改訂新版 日本の野生植物 5』p.53
- ^ a b Takenoshin Nakai, Notulæ ad Plantas Japoniæ et Koreæ XXIX, The Botanical Magazine, 『植物学雑誌』Vol.37, No.433, pp.en.4-7, (1923).
- ^ a b 中井猛之進、「日本産おほるりさうハ四種アツテ皆新種デアル」、The Botanical Magazine, 『植物学雑誌』37巻434号、pp.68-70, (1923).
- ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1484
- ^ オオルリソウ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
参考文献
編集- 北村四郎・村田源・堀勝著『原色日本植物図鑑・草本編I(改訂59刷)』、1983年、保育社
- 梅沢俊著『新北海道の花』、2007年、北海道大学出版会
- 牧野富太郎原著、邑田仁・米倉浩司編集『新分類 牧野日本植物図鑑』、2017年、北隆館
- 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 5』、2017年、平凡社
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- Takenoshin Nakai, Notulæ ad Plantas Japoniæ et Koreæ XXIX, The Botanical Magazine, 『植物学雑誌』Vol.37, No.433, pp.en.4-7, (1923).
- 中井猛之進、「日本産おほるりさうハ四種アツテ皆新種デアル」、The Botanical Magazine, 『植物学雑誌』37巻434号、pp.68-70, (1923).