エンルム岬
エンルム岬(エンルムみさき)は、北海道様似郡様似町にある岬の名称である(アポイ岳世界ジオパーク 様似海岸エリア Geological Site C3)[1]。
エンルム岬 | |
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エンルム岬の空撮 | |
場所 |
日本 北海道様似町会所町 |
沖合水域 | 太平洋 |
呼称
編集エンルㇺ[2]とはアイヌ語で「岬」という意味であり、様似川の河口東岸の所から島のような岬が伸びていて、そこが「エンルム」と呼ばれている[3]。 エンルム岬は直訳すると「岬岬」ということになる[4]。 地名の由来は、アイヌ語の「エンルㇺ(enrum)」(岬)または「エㇽムン(ermun)」(ネズミ)などがある[5]。
歴史
編集エンルム岬にある「会所町エンルム岬遺跡」は、擦文式土器が出土している。[6]また、アイヌ伝説も複数あり、代表的なもので「エンルム岬のクジラ」[7]や「エンルムの白狐」[8]や「様似エンルムの悪酋長」がある。
江戸時代には、会所が岬の麓に置かれ文化の中心を成した。また、岬中腹に木砲台2基が置かれ、「観音堂」「船魂社」「稲荷社」からなるエンルム三社が文化年間に建立された[9]。
地質
編集エンルム岬は、過去には独立した島であったが、砂州の形成により繋がり、現在は陸繋島となっている。塩釜トンネルからローソク岩、親子岩、ソビラ岩を経てエンルム岬が一直線に並んでいる。これらは同じ地質から構成されており、元々は一続きの大規模な岩脈を構成していたと考えられる[10]。西側から見上げるときれいな節理が見られるが、これはマグマが冷えて固まる時にできたもので、一連の岩脈全体は様似ヒン岩岩脈 [11]と名付けられた火成岩から構成されている。地層の割れ目にマグマが入り込み、大地が隆起する過程で風雨や波によって柔らかい地層(堆積岩)が削られ、固い火成岩が残った[12]。この火成岩がさらに部分的に崩れ、現在のようないくつかの山、島、陸繋島となっている。日高の海岸でヒン岩は少ない[13]。
参考文献
編集- ^ 北海道出版社『ユネスコ認定 アポイ岳ジオパークガイドブック』北海道新聞社、2018年。p006.p064 ISBN 978-4-89453-920-4
- ^ 通常は「エンルム」と書かれるが、正確な表記では「ム」を小さく書く。
- ^ 「アイヌ語地名リスト」 平成13年3月 北海道環境生活部 増刷 財団法人アイヌ文化振興・研究機構 p.20
- ^ 「アポイのふもとから 平成29年11月1日 大野徹人著 アポイ岳ファンクラブ発行 巻頭写真
- ^ 「アイヌ語地名リスト」 平成13年3月 北海道環境生活部 増刷 財団法人アイヌ文化振興・研究機構
- ^ 「改訂 様似町史」 様似町 p.14
- ^ 「ふるさと絵本 さまに昔むかし」 平成4年1月1日 北海道様似町p.5-6
- ^ 「ふるさとNo.10 シャマニ(様似)アイヌの口碑伝説 様似郷土館 p.20-21
- ^ 「改訂 様似町史」 平成4年8月31日発行 様似町長 p.443
- ^ 日高沿岸の露頭観察 第2集 1977版 日高理灯会 p1
- ^ 北海道出版社『ユネスコ認定 アポイ岳ジオパークガイドブック』北海道新聞社、2018年。p024.p088 ISBN 978-4-89453-920-4
- ^ 青木正博 目代邦康『岩石・地層・地形から地球の成り立ちや活動を知る 増補改訂版 地層の見方が分かる フィールド図鑑』株式会社 誠文堂新光社2017年 ISBN 978-4-416-61782-3 P196~P199
- ^ 様似町ジオサイト解説板「大地の変動がつくるマグマの造形」様似町 東経42.122242 北緯142.918458設置 2020/09確認済み