エンポロス
エンポロス(ギリシア語: ἔμπορος, ラテン文字表記:emporos)は、古代ギリシア領域に存在した職業。もともとは旅人を意味する語で、現在の貿易商に近い[1]。
エンポロスはエンポリウムと呼ばれる対外用の市場で取引を行なった。古典期のアッティカや、紀元前6世紀中頃までのハリカルナッソスでは、エンポロスは男性の職業だった。エンポロスは外国の市民またはメトイコイと呼ばれる居留外国人で、多くはギリシア人であり、穀物輸入商が多かった[注釈 1][4]。エンポロスに対して、アゴラなど共同体の中で取引を行う人々はカペーロスと呼ばれ、カペーロスはポリスの市民だった[5]。
プラトンの『国家』では、エンポロスについて、町から町へと放浪するものと定義されている。クセノポンは、『ソクラテスの思い出』において、エンポロスと市場の仲買人を区別している[6]。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ ポランニー 1998, p. 339.
- ^ 桜井 1997, pp. 18–19.
- ^ 前沢 1998, p. 3.
- ^ ポランニー 1998, pp. 340–341, 344–345.
- ^ ポランニー 1998, pp. 339–341.
- ^ ポランニー 1998, pp. 339–340.
参考文献
編集- 桜井万里子『ソクラテスの隣人たち アテナイにおける市民と非市民』山川出版社、1997年。
- カール・ポランニー 著、玉野井芳郎、栗本慎一郎、中野忠 訳『人間の経済』岩波書店〈岩波現代選書〉、1998年。(原書 Polányi, károly (1977), The Livelihood of Man, Academic Press)
- 前沢伸行『ポリス社会に生きる』山川出版社〈世界史リブレット〉、1998年。
関連文献
編集- 前沢伸行 著「古代ギリシアの商業と国家」、樺山紘一, 他 編『岩波講座 世界歴史15 商人と市場』岩波書店、1999年。