エル・カピタン
『エル・カピタン』(El Capitan)は、ジョン・フィリップ・スーザ作曲のオペレッタ、およびその中の旋律を基に作曲された行進曲。
オペレッタ
編集1892年以降、スーザはスーザ・バンドを率いての演奏旅行と作曲活動の時期に入る。このオペレッタはチャールズ・クライン(Charles Klein)の脚本、トム・フロスト(Tom Frost)の作詞で1895年に作曲され、1896年にニューヨークで上演された後、アメリカとカナダで4年近く上演される大成功を収めた。舞台はスペイン統治時代のペルーで、新たに副王に任命されたドン・メディグア(Don Errico Medigua)が反乱軍の指導者 "エル・カピタン" に扮して起きる騒動を描く[1]。
行進曲
編集行進曲『エル・カピタン』は、オペレッタの中で歌われた旋律を抜粋して1896年に作曲された。ピアノ独奏、吹奏楽、管弦楽、さらにピアノ4手、ピアノ6手の楽譜が同年に版権登録された。
前奏(4小節)、第1マーチ(16小節、リピート)、第2マーチ(16小節、リピート)、トリオ(38小節)、第3マーチ(16小節、リピート)で構成され、前奏から第2マーチまでが変ロ長調(ピアノ版はハ長調)、6/8拍子、トリオと第3マーチは変ホ長調(ピアノ版はヘ長調)、2/4拍子で書かれている。
前半はオペレッタの第1幕でドン・メディグアが歌う"You See in Me"とそれに続く"Behold El Capitan"(第2幕でも繰り返される)の旋律が使われ、トリオ以降は第3幕のフィナーレ"We Beg Your Kind Consideration"が使われている[2][3]。
注釈
編集- ^ Chase, Gilbert (1992) "America's Music. from the Pilgrims to the Present" (3rd ed.) University of Illinois Press. p.370.
- ^ Warfield, Patrick (2010) "The Marches in This Edition" John Philip Sousa - Six Marches. A-R Editions. p.lviii.
- ^ Hunsberger, Donald (2001) "John Philip Sousa: His Marches", Windworks issue 5. Warner Bros. Publications. p.3.
参考文献
編集- ポール・E・バイアリー 著、鈴木耕三 訳編 『スーザ・マーチ大全 - 全曲完全解説版』 音楽之友社、2001年 ISBN 4-276-14720-4
- ジョン・フィリップ・スーザ 著、ポール・バイアリー 編著、川島顯治 訳 『ジョン・フィリップ・スーザ自叙伝 マーチング・アローン 〜星条旗よ永遠なれ〜』 共同音楽出版社、2000年 ISBN 4-87390-906-6