エリザベス・H・ブラックバーン
エリザベス・ヘレン・ブラックバーン(Elizabeth Helen Blackburn, 1948年11月26日 - )は、アメリカ合衆国の生物学者。テトラヒメナからテロメア配列を同定し、テロメアを伸長する酵素・テロメラーゼを発見した業績で知られる。2009年、ノーベル生理学・医学賞受賞。
エリザベス・H・ブラックバーン | |
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エリザベス・H・ブラックバーン (2024) | |
生誕 |
1948年11月26日 オーストラリア・タスマニア |
居住 |
オーストラリア イギリス アメリカ合衆国 |
国籍 |
オーストラリア アメリカ合衆国 |
研究分野 | 生物学 |
研究機関 |
イェール大学 カリフォルニア大学バークレー校 カリフォルニア大学サンフランシスコ校 ソーク研究所 |
出身校 |
メルボルン大学 ケンブリッジ大学 |
主な業績 | テロメラーゼの発見 |
主な受賞歴 |
ノーベル生理学・医学賞など (→#主な受賞歴) |
プロジェクト:人物伝 |
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人物
編集オーストラリアのタスマニア・ホバート生まれで、現在はアメリカの市民権を得ている。オーストラリアのメルボルン大学を1970年に卒業し、修士と博士課程はイギリスのケンブリッジ大学に進学、同大学で1975年に博士号を得た。
博士研究員としてイェール大学で2年間、ジョー・ガルの研究室で分子生物学・細胞生物学の研究を行った。具体的にはテトラヒメナにおけるミニ染色体の研究を行った。当時はテロメア構造の存在は示唆されており、この構造が染色体の維持に必要であることがわかっていたものの、その DNA 配列が不明であったため、これを明らかにすることを試みる研究だった。1978年にテトラヒメナ非翻訳性RNAの中に連続した反復配列があり、DNA複製と関係することを報告した[1][2]。この結果を手がかりに、出芽酵母など他の生物でもテロメア配列が明らかにされていく。
1978年にカリフォルニア大学バークレー校の分子生物学科の准教授となる。1984年にブラックバーンの研究室に博士課程の学生として参加したキャロル・W・グライダーが放射性同位体を用いて、細胞核の抽出液からテロメア合成酵素の活性を測る方法を考案し、生化学的手法からテロメラーゼを単離した。この結果は1985年に発表され、「末端複製問題」を解決する研究として受け入れられた[3][4]。
1990年にカリフォルニア大学サンフランシスコ校の微生物学・免疫学部門へ移り、1993年から1999年まで学部長を務めた。現在は生化学・生物物理学部門の教授である。またソーク研究所の非常勤研究員でもある。2004年現在もテロメアに関連する研究を続けている。1992年王立協会フェロー選出。
引用文献
編集- ^ Blackburn EH, Gall JG (1978). “A tandemly repeated sequence at the termini of the extrachromosomal ribosomal RNA genes in Tetrahymena”. J Mol Biol. 120 (1): 33-53. PMID 642006.
- ^ Yao MC, Blackburn E, Gall J (1981). “Tandemly repeated C-C-C-C-A-A hexanucleotide of Tetrahymena rDNA is present elsewhere in the genome and may be related to the alteration of the somatic genome”. J Cell Biol. 90 (2): 515-20. PMID 7287815 .
- ^ Greider CW Blackburn EH (1985). “Identification of a specific telomere terminal transferase activity in Tetrahymena extracts”. Cell 43 (2 Pt 1): 405–13. PMID 3907856.
- ^ Greider CW Blackburn EH (1987). “The telomere terminal transferase of Tetrahymena is a ribonucleoprotein enzyme with two kinds of primer specificity”. Cell 51 (6): 887-98. PMID 3319189.
主な受賞歴
編集- 米国科学アカデミー賞分子生物学部門(1990年)
- ガードナー国際賞(1998年)
- ローゼンスティール賞(ブランダイス大学)(1998年)
- シャルル=レオポール・メイエ賞)(1998年)
- 慶應医学賞(1999年)
- ハーヴェイ賞(イスラエル工科大学)(1999年)
- パサノ賞(1999年)
- ディクソン賞医学部門(ピッツバーグ大学)(2000年)
- E・B・ウィルソン・メダル(2001年)
- ハイネケン賞(2004年)
- ベンジャミン・フランクリン・メダル(2005年)
- アルバート・ラスカー基礎医学研究賞(2006年)
- グルーバー賞遺伝学部門(2006年)
- ワイリー賞(2006年)
- マイエンブルク賞(2006年)
- ルイザ・グロス・ホロウィッツ賞(コロンビア大学)(2007年)
- ロレアル-ユネスコ女性科学賞(2008年)
- ワイツマン女性科学賞(2008年)
- オールバニ・メディカルセンター賞(2008年)
- パール・マイスター・グリーンガード賞(2008年)
- パウル・エールリヒ&ルートヴィヒ・ダルムシュテッター賞(2009年)
- トムソン・ロイター引用栄誉賞(2009年)
- ノーベル生理学・医学賞(2009年)
- アメリカ化学者協会ゴールドメダル(2012年)
- ロイヤル・メダル(2015年)
著書
編集- 『テロメア・エフェクト』 森内薫 訳、NHK出版 2017年
関連項目
編集外部リンク
編集- プロフィール - カリフォルニア大学サンフランシスコ校