エリアス・ケレヘタ
エリアス・ケレヘタ・ガラテ(スペイン語: Elías Querejeta Gárate, スペイン語発音: [eˈli.as keɾeˈxeta], 1934年10月27日 – 2013年6月9日[1])は、スペイン・ギプスコア県エルナニ出身の映画プロデューサー・脚本家[2]。加えて何本かの映画の監督を務めており、シネアストになる前はサッカー選手だった。娘に映画監督のグラシア・ケレヘタがいる[2]。スペイン文化省による芸術功労賞を受賞している。
エリアス・ケレヘタ | |||||
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本名 | Elías Querejeta | ||||
生年月日 | 1934年10月27日 | ||||
没年月日 | 2013年6月9日(78歳没) | ||||
出生地 | スペイン、ギプスコア県エルナニ | ||||
死没地 | スペイン、マドリード州マドリード | ||||
国籍 | スペイン | ||||
職業 | 映画プロデューサー・脚本家・映画監督 | ||||
配偶者 |
マリーア・デル・カルメン・マリン チルカ・バルセロー・タボアーダ | ||||
著名な家族 | グラシア・ケレヘタ(娘) | ||||
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人物
編集1960年代と1970年代には映画プロデューサーとして数々の著名作品を手掛け、カルロス・サウラ監督の13作品、ビクトル・エリセ監督の2作品、モンチョ・アルメンダリス監督の4作品、フェルナンド・レオン・デ・アラノア監督の3作品などに携わっている[2]。
経歴
編集サッカー選手
編集1934年にバスク地方のギプスコア県エルナニに生まれた[2]。1952年から1958年まで地元のサッカークラブであるレアル・ソシエダに所属し、1953年4月5日、18歳の時にプリメーラ・ディビシオンデビューした。公式戦では41試合に出場して6得点、うちプリメーラ・ディビシオンでは39試合に出場して5得点した。1955年10月9日にはホームのエスタディオ・デ・アトーチャでアルフレッド・ディ・ステファノ擁するレアル・マドリードと対戦し、レアル・ソシエダの勝利につながる貴重な得点を決めている。サッカー選手活動と並行して化学と法学を学び、23歳だった1958年にサッカーの世界から退いた。
シネアスト
編集1963年には自身の制作会社を設立し、50本以上の映画を制作した。フェルナンド・レオン・デ・アラノア監督の『カット!』(1996年)や『Barrio』(1998年)、実娘のグラシア・ケレヘタ監督の『Una estación de paso』(1992年)や『El viaje de Robert Rylands』(1996年)や『Cuando vuelvas a mi lado』(1999年)を制作している。しかし、ケレヘタがスペイン映画に果たしたもっとも重要な貢献は、カルロス・サウラ、ビクトル・エリセ、マヌエル・グティエレス・アラゴン、モンチョ・アルメンダリスらの偉大な監督の作品を制作したことである。
サウラ監督と初めて組んだ1966年の『狩り』はベルリン国際映画祭で監督賞を受賞し、1967年の『ペパーミント・フラッペ』でも同賞を受賞した。『Stress es tres, tres』(1968年)、『La madriguera』(1969年)、『El jardín de las delicias』(1970年)でもサウラ監督の作品を制作。1970年代前半のサウラ監督作では『Ana y los lobos』(1972年)、『従妹アンヘリカ』(1973年)、『カラスの飼育』(1975年)などを制作し、後者の2作品はカンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した。1970年代後半には『Elisa, vida mía』(1977年)、『Los ojos vendados』(1978年)、『ママは百歳』(1979年)、『急げ、急げ』(1980年)などでサウラ作品を手掛け、『急げ、急げ』はベルリン国際映画祭で作品賞を受賞した。
1973年にはエリセ監督の『ミツバチのささやき』を制作し、この作品は1973年のサン・セバスティアン国際映画祭で作品賞を受賞している。約10年後の1983年にはエリセ監督の次作『エル・スール』を制作し、シカゴ国際映画祭やサンパウロ国際映画祭で作品賞を受賞した。レオン・デ・アラノア監督作品も3作品手掛けており、2002年の『月曜日にひなたぼっこ』はゴヤ賞で作品賞を受賞した。
1998年にはスペイン映画芸術科学アカデミー(AACCE)によるゴヤ賞功労賞を受賞した。2005年にはスペイン映画批評家協会の功労賞を受賞し、2012年にはフォトグラマス・デ・プラータの功労賞を受賞。2007年にはスペイン内戦の歴史を国外内の立場から語る映像作品『Noticias de una guerra』を制作した[3]。2013年6月9日、肺癌のためにマドリードの自宅で死去した。78歳だった。
フィルモグラフィー
編集年 | 日本語題 | 原題 | 担当 | 備考 |
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1960年 | A través de San Sebastián | 脚本・監督 | ||
1962年 | A través del fútbol | 脚本・監督 | 短編 | |
1962年 | Noche de verano | 制作 | 監督はホルヘ・グラウ | |
1963年 | Los inocentes | 脚本 | ||
1966年 | 狩り | La caza | 制作 | ベルリン国際映画祭監督賞受賞, サウラ監督 |
1967年 | Último encuentro | 制作・脚本 | カンヌ国際映画祭作品賞ノミネート, 監督はアントニオ・エセイサ | |
1967年 | El próximo otoño | 制作 | 監督はアントニオ・エセイサ | |
1967年 | De cuerpo presente | 制作・脚本 | 監督はアントニオ・エセイサ | |
1967年 | ペパーミント・フラッペ | Peppermint Frappé | 制作 | ベルリン国際映画祭監督賞受賞, 監督はサウラ |
1968年 | Si volvemos a vernos | 制作 | 監督はフランシスコ・レゲイロ | |
1968年 | Stress-es tres-tres | 制作 | ヴェネツィア国際映画祭作品賞ノミネート, 監督はカルロス・サウラ | |
1969年 | La madriguera | 制作 | ベルリン国際映画祭作品賞ノミネート, 監督はカルロス・サウラ | |
1969年 | 挑戦 | Los desafíos | 制作 | オムニバス映画, サン・セバスティアン国際映画祭監督賞受賞 |
1970年 | Las secretas intenciones | 制作 | 監督はアントニオ・エセイサ | |
1970年 | 悦楽の園 | El jardín de las delicias | 制作 | サン・ジョルディ賞作品賞受賞, 監督はカルロス・サウラ |
1972年 | Carta de amor de un asesino | 制作 | 監督はフランシスコ・レゲイロ | |
1973年 | Ana y los lobos | 制作 | カンヌ国際映画祭作品賞ノミネート, 監督はカルロス・サウラ | |
1973年 | La banda de Jaider | 制作 | ||
1973年 | ミツバチのささやき | El espíritu de la colmena | 制作 | サン・セバスティアン国際映画祭作品賞受賞, 監督はビクトル・エリセ |
1974年 | 従妹アンヘリカ | La prima Angélica | 制作 | カンヌ国際映画祭審査員賞受賞, 監督はカルロス・サウラ |
1976年 | El increíble aumento del coste de la vida | 制作 | 短編, 監督はリカルド・フランコ | |
1976年 | カラスの飼育 | Cría cuervos | 制作 | カンヌ国際映画祭審査員賞受賞, 監督はカルロス・サウラ |
1976年 | Pascual Duarte | 制作・脚本 | カンヌ国際映画祭作品賞ノミネート, 監督はリカルド・フランコ | |
1976年 | El desencanto | 制作 | 詩人のレオポルド・パネロに関するドキュメンタリー, 監督はハイメ・チャバリ | |
1977年 | Elisa, vida mía | 制作 | カンヌ国際映画祭作品賞ノミネート, 監督はカルロス・サウラ | |
1977年 | A un dios desconocido | 制作・脚本 | サン・セバスティアン国際映画祭最優秀スペイン映画, 監督はハイメ・チャバリ | |
1978年 | Las palabras de Max | 制作・脚本 | ||
1978年 | Los ojos vendados | 制作 | カンヌ国際映画祭作品賞ノミネート, 監督はカルロス・サウラ | |
1979年 | ママは百歳 | Mamá cumple cien años | 制作 | サン・セバスティアン国際映画祭審査員特別賞受賞, 監督はカルロス・サウラ |
1980年 | Los primeros metros | 制作 | 監督はハビエル・アナスタシオなど | |
1980年 | Dedicatoria | 制作・脚本 | カンヌ国際映画祭作品賞ノミネート, 監督はハイメ・チャバリ | |
1981年 | 急げ、急げ | Deprisa, deprisa | 制作 | ベルリン国際映画祭作品賞受賞, 監督はカルロス・サウラ |
1982年 | Dulces horas | 制作 | 監督はカルロス・サウラ | |
1983年 | エル・スール | El sur | 制作 | カンヌ国際映画祭作品賞ノミネート, 監督はビクトル・エリセ |
1984年 | Feroz | 制作・脚本 | 監督はマヌエル・グティエレス・アラゴン | |
1984年 | タシオ | Tasio | 制作 | フォトグラマス・デ・プラータ 最優秀スペイン映画, 監督はモンチョ・アルメンダリス |
1986年 | 27時間 | 27 horas | 制作・脚本 | ゴヤ賞作品賞ノミネート, 監督はモンチョ・アルメンダリス |
1989年 | El número marcado | 制作 | 短編 | |
1990年 | アロウの手紙 | Las cartas de Alou | 制作 | ゴヤ賞脚本賞受賞, 監督はモンチョ・アルメンダリス |
1992年 | Una estación de paso | 制作・脚本 | バリャドリッド国際映画祭審査員特別賞受賞, 監督はグラシア・ケレヘタ | |
1993年 | El aliento del diablo | 制作 | サン・セバスティアン国際映画祭作品賞ノミネート, 監督はパコ・ルシオ | |
1995年 | Historias del Kronen | 制作 | ゴヤ賞脚本賞受賞, 監督はモンチョ・アルメンダリス | |
1995年 | ロスト・チルドレン | La ciudad de los niños perdidos | 制作 | セザール賞プロダクション・デザイナー賞受賞, 監督はジャン=ピエール・ジュネ |
1996年 | El último viaje de Robert Rylands | 制作・脚本 | サン・セバスティアン国際映画祭作品賞ノミネート, 監督はグラシア・ケレヘタ | |
1996年 | カット! | Familia | 制作 | ゴヤ賞新人監督賞受賞, 監督はレオン・デ・アラノア |
1998年 | Shampoo Horns | 制作 | 監督はマヌエル・トレダノ | |
1998年 | Barrio | 制作 | ゴヤ賞監督賞/脚本賞受賞, 監督はレオン・デ・アラノア | |
1999年 | Cuando vuelvas a mi lado | 制作・脚本 | ゴヤ賞作品賞ノミネート, 監督はグラシア・ケレヘタ | |
2000年 | La espalda del mundo | 制作・脚本 | 第三世界に関するドキュメンタリー, 監督はハビエル・コルクエラ | |
2001年 | Asesinato en febrero | 制作・脚本 | ドキュメンタリー, 監督はエテリオ・オルテガ | |
2002年 | Traineras | 原案 | トライネラに関するドキュメンタリー, 監督はエテリオ・オルテガ | |
2002年 | 月曜日にひなたぼっこ | Los lunes al sol | 制作 | ゴヤ賞作品賞受賞, 監督はレオン・デ・アラノア |
2003年 | Condenados al corredor | 制作 | ドキュメンタリー, 監督はハビエル・コルクエラ | |
2004年 | Perseguidos | 脚本 | ||
2005年 | Invierno en Bagdad | 制作 | ドキュメンタリー, 監督はハビエル・コルクエラ | |
2005年 | Avant l'oubli | 制作 | 監督はアグスティン・ブルヘル | |
2006年 | Noticias de una guerra | 制作 | 監督はエテリオ・オルテガ | |
2006年 | Goodbye, América | 制作 | アル・ルイスに関するドキュメンタリー, セルヒオ・オクスマン監督 | |
2007年 | Siete mesas de billar francés | 制作 | マリベル・ベルドゥなどが出演, 監督はグラシア・ケレヘタ | |
2007年 | Buscarse la vida | 制作 | ||
2008年 | El agua de la vida | 制作 | ||
2009年 | Cerca de tus ojos | 制作・脚本・監督 | ドキュメンタリー, マリベル・ベルドゥなどが出演 |
受賞
編集年 | 映画祭/映画賞 | カテゴリー | 作品 | 結果 |
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1961年 | スペイン映画批評家協会賞 | 短編映画賞 | A través del fútbol | 受賞 |
1987年 | ゴヤ賞 | 作品賞 | 27時間 | ノミネート |
1991年 | ゴヤ賞 | 作品賞 | アロウの手紙 | ノミネート |
1998年 | サン・セバスティアン国際映画祭 | 監督賞 | Barrio | 受賞 |
1961年 | スペイン映画批評家協会賞 | 脚本賞 | Cuando vuelvas a mi lado | 受賞 |
2000年 | ゴヤ賞 | 脚本賞 | Cuando vuelvas a mi lado | ノミネート |
2003年 | ゴヤ賞 | 作品賞 | 月曜日にひなたぼっこ | 受賞 |
2013年 | ATV賞 | 脚本賞 | La conspiracíon | ノミネート |
- 1987年 スペイン映画国民賞
- 1998年 名誉ゴヤ賞
- 2003年 シッチェス国際映画祭 功労賞
- 2004年 ホセ・マリーア・ファルケ賞
- 2005年 スペイン映画批評家協会賞 功労賞
- 2012年 フォトグラマス・デ・プラータ 功労賞
脚注
編集- ^ “Fallece Elías Querejeta, el gran productor del cine español” (2013年6月9日). 2013年6月9日閲覧。
- ^ a b c d Belinchón, Gregorio (2013年6月9日). “Fallece Elías Querejeta, el gran productor del cine español” (Spanish). El País 2015年9月20日閲覧。
- ^ “Angustia, ansiedad, horror y muerte”. エル・パイス. 2015年9月10日閲覧。
文献
編集- Whittaker, Tom. The Films of Elías Querejeta: A Producer of Landscapes. University of Wales Press. pp. 2011. ISBN 9780708324387