エビ湖
エビ湖(艾比湖)とは、中国新疆ウイグル自治区ボルタラ・モンゴル自治州精河県のカザフスタンとの国境近くに位置する、新疆ウイグル自治区内において最大の塩湖である。ただし、農業用水の取水などの要因により、この湖には縮小傾向が見られる。なお、この湖はエビ・ノール(艾比諾爾、エビノール、拼音:Ebinur)ないしエビ・ノール湖(艾比諾爾湖、エビノール湖)などとも呼称されるものの、本稿では、これ以降「エビ湖」の呼称に統一する。
エビ湖 | |
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衛星写真 | |
位置 | 中国・新疆ウイグル自治区 |
座標 | 北緯44度53分 東経83度00分 / 北緯44.883度 東経83.000度 |
種類 | 内流湖、塩湖 |
主な流入 |
クイトゥン川 ボルタラ川 四棵樹河など |
集水域面積 | 50,621 km2 |
国 | 中国 |
延長 | 60 km |
最大幅 | 24 km |
面積 | 1070 km2(1987年の値) |
平均水深 | 1.4 m (4.6 ft) |
最大水深 | 2.8 m (9.2 ft) |
水量 | 7.3億 m3(1987年の値) |
水面標高 | 189 m (620 ft) |
地理
編集湖の変化と産業
編集かつてその水面面積は1200 km2を超えていた時期も有り、湖への年間の流入水量は12億 m3に達していた。だが20世紀後半以降、農地への灌漑用水を大量に採取し始めたため、湖岸では砂漠化が酷くなり、風力の強い阿拉山口の風下であることと相まって、エビ湖は中国でも砂嵐のよく発生する土地の1つとなっている。今では湖面は500 km2以下にまで縮小しており [1]、平均水深は1.4 m程度であり、最も深い所でも3 mに過ぎない。水量の減少により湖水の塩分濃度は75~90 (g/L)に達している。この高過ぎる塩分濃度のために、魚類の生存には不適である。ただし、エビ湖に流入する淡水の川にはGymnodiptychus dybowskii(裸黄瓜魚、ギムノディプティクス属の1種 )などの魚類が棲息している[2]。
エビ湖の水には30種類を超えるミネラルが含まれ、そのうち塩分濃度は14%以上に達し、食塩の総埋蔵量は1.25億トン、芒硝(硫酸ナトリウム)は12億トンと見積もられている。今のところ食塩、芒硝および塩化マグネシウムは既に開発が進んでいる。ミネラルの比重が高いため、湖中には大量の藻類とアルテミアがいて、後者は淡水を使った養殖業における重要な飼料として利用される。
湖周辺
編集エビ湖畔はポプラ林やサクサウール(梭梭、ハロクシロン属の1種 Haloxylon ammodendron)林で構成される原始生態区であり、アカシカやモウコガゼル、野ウサギや野ガモなどの野生動物の棲息する地域であるため、2007年4月6日に、中華人民共和国国務院はエビ湖湿地を国家級自然保護区とすることに批准した[3]。
参考文献
編集- ^ “新疆艾比湖严重萎缩 成盐尘暴策源地” (簡体字中国語). 中国新闻网. (2009年2月28日) 2009年2月28日閲覧。
- ^ “新疆-艾比湖地区” (簡体字中国語). 新疆维吾尔自治区环境保护局网站. 2009年2月28日閲覧。
- ^ 中华人民共和国国务院 (2007年4月6日). “《国务院办公厅关于发布河北塞罕坝等19处新建国家级自然保护区名单的通知》(国办发〔2007〕20号)” (簡体字中国語). 2009年2月28日閲覧。
- 王苏民、窦鸿身主编,《中国湖泊志》,北京:科学出版社,1998年,ISBN 7-03-006706-1,343-345页