エネルギー自給率
エネルギー自給率(エネルギーじきゅうりつ)とは、「国民生活や経済活動に必要な一次エネルギーのうち、自国内で確保できる比率」を指す[1]。
世界の現状
編集世界各国のエネルギー事情は、各国の地理的条件やエネルギー資源の産出状況などによって大きく異なる[2]。これからのエネルギー消費量については、日本を含む西欧各国については横ばい又は減少傾向にあるが、中国、インドなどの発展途上国については増加傾向にある[3]。特に中国の資源消費量が急速に伸びているため、エネルギー資源の確保が問題となっているとともに、新たなエネルギー資源確保に向けての取り組みが期待されている。
日本の現状
編集日本は、世界第5位のエネルギー消費大国であるが[4]、日本のエネルギー自給率は、わずか11.8%(2018年度)である[1]。ただ、二度にわたる「オイルショック」のあとに行った脱石油・省エネルギー政策の成功によって、日本のエネルギー消費効率は非常に高くなり、実質GDP当たりのエネルギー消費は世界トップレベルで[1]「省エネ大国」といわれることもある[5]。「省エネは、ここ15年ほどの間で最大の新エネルギー源だった」とさえいわれた[6]。
1945年に終戦した先の大戦では、日本の石油輸入の8割を依存していたアメリカ合衆国に日本のエネルギー確保の道を断たれたことによって、日米開戦の流れができたと主張する識者もいるため、エネルギー自給率は食料自給率と並んで、安全保障上きわめて重要である[7]。
日本のエネルギー政策上、主要な原材料である石油は99%以上を輸入に依存しているため、石油の安定供給は、日本の外交政策の重要な課題となっている[8]。
中野剛志は福島第一原子力発電所事故後の原発議論やエネルギー問題に関して、エネルギー自給率の向上に寄与することから原発の有用性を強調している[9]。
一方、経済学者の高橋洋一は「電力の自由化をやれば、エネルギーの最適な組み合わせは達成できる。原発事故が現実に起き、そのコストが莫大になった以上、市場原理から考えると原発ゼロが最適解になる」と指摘している[10]。
また、近年においては、日本近海の海底において「メタンハイドレート」が採掘されており、日本国内での資源開発に大きな期待が寄せられている[11]。
脚注
編集- ^ a b c “第2部 第1章 第1節 エネルギー需給の概要 │ 令和元年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2020) HTML版 │ 資源エネルギー庁”. www.enecho.meti.go.jp. 資源エネルギー庁. 2020年8月14日閲覧。
- ^ “グラフで見る世界のエネルギーと「3E+S」安定供給① ~各国の自給率のいま”. 経済産業省 資源エネルギー庁. 資源エネルギー庁. 2020年8月14日閲覧。
- ^ “圧倒的増加を見せる中国…主要国の一次エネルギー消費量推移をさぐる(2019年公開版)”. Yahoo!ニュース. (2019年9月22日)
- ^ “世界の一次エネルギー消費量 国別ランキング統計・推移(BP)”. GLOBAL NOTE グローバルノート – 国際統計データ専門サイト. グローバルノート. 2020年8月14日閲覧。
- ^ “省エネ大国・ニッポン ~省エネ政策はなぜ始まった?そして、今求められている取り組みとは?~”. 経済産業省 資源エネルギー庁. 資源エネルギー庁. 2020年8月14日閲覧。
- ^ 石油危機と日本
- ^ 電子ブック 日本とシナ
- ^ “第2部 第1章 第3節 一次エネルギーの動向 │ 平成30年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2019) HTML版”. www.enecho.meti.go.jp. 資源エネルギー庁. 2020年8月14日閲覧。
- ^ “『TPP亡国論』著者・中野剛志が緊急提言!【前編】 「東電批判」はお門違い”. ダイヤモンド・オンライン (2011年5月27日). 2011年12月16日閲覧。
- ^ 政治・社会 【日本の解き方】小泉氏「原発ゼロ」発言に安倍政権はどう対応するか 答えは電力自由化 (1/2ページ)ZAKZAK 2013年11月17日(2013年11月28日時点のインターネットアーカイブ)
- ^ メタンハイドレート、日本海側でも本格調査へ