エッティングスハウゼン効果
エッティングスハウゼン効果(エッティングスハウゼンこうか、英: Ettingshausen Effect、名称はアルベルト・フォン・エッティングスハウゼンにちなむ)は熱電効果(または熱磁効果)の一種で、磁場のかかった導体を流れる電流に影響する現象である[1]。
エッティングスハウゼンと彼の博士課程生であったヴァルター・ネルンストは、ビスマスでのホール効果を研究する中で、試料の片側が熱されているとき、電流に進行方向垂直の予期しない流れが生じることに気づいた。これはネルンスト効果として知られている。
逆に、電流を y-軸に沿って流し、磁場を z-軸に沿ってかけると、x-軸に沿った温度勾配が生じる。これはホール効果によって電子が電流と垂直方向に力を受け、試料の一方に電子が集積し、衝突回数が増加して金属が加熱されるためである。
この効果は次のエッティングスハウゼン係数 P で定量化される。
ここで dT/dx は、電流密度の y-成分 Jy と磁場の z-成分 Bz から生じる温度勾配を表す。
銅、銀、金といった多くの金属では P は 10−16 Km/(TA) のオーダーであり、普通の磁場では効果を観測することは難しい。ビスマスは熱伝導率が非常に小さく、エッティングスハウゼン係数は何倍ものオーダーで大きな値をとる。
関連項目
編集参考文献
編集- ^ v. Ettingshausen, A.; Nernst, W. (1886). “Ueber das Auftreten electromotorischer Kräfte in Metallplatten, welche von einem Wärmestrome durchflossen werden und sich im magnetischen Felde befinden”. Annalen der Physik und Chemie 265 (10): 343–347. Bibcode: 1886AnP...265..343E. doi:10.1002/andp.18862651010 23 February 2012閲覧。.
- ^ “ettingshausen effect in bismuth”. 3 May 2012閲覧。