イクチオレステスIchthyolestes)は、約5,000万年前(新生代始新世初期)の水陸両域に生息していた、四つ足の哺乳動物。始原的クジラのグループであるパキケトゥス科に属する。

イクチオレステス
イクチオレステス・ピンフォルディ
Ichthyolestes pinfoldi
地質時代
新生代始新世初期(約5,000万年前)
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 鯨偶蹄目 Cetartiodactyla
亜目 : 原クジラ亜目 Archaeoceti
: パキケトゥス科 Pakicetidae
Thewissen et al., 1996
: イクチオレステス属 Ichthyolestes Dehm & Oettingen-Spielberg, 1958
  • I. pinfoldi
Dehm & Oettingen-Spielberg, 1958

学名

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属名古代ギリシア語: ιχθυς (ichthys)「魚」と ληστης (lēstēs)「盗賊、強奪者」との合成語。

中国語名は「魚中獸」(yúzhōngshòu; ユーチョンショウ)。「中獸」は「中爪獸」の略で、以前には近縁とされていたメソニクス類のことである。

特徴

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化石パキスタンで発見され、1958年に記載されている。本種の生息当時この地域には遠浅のテティス海が広がっており、高温の時代にあって生物量の豊かな熱帯の海であったと考えられている。ただし、その形態から、彼らの主たる生活圏は海中ではなく水辺にあったと思われる。
陸生に適した四肢を持つ始原的なクジラのグループであるパキケトゥス科に属するイクチオレステスは、既知で最古のクジラとされるパキケトゥスに近縁で、約300万年ほど新しい。科の中では最後の種である。体の大きさはキツネ程度と、同科では最も小さい。基本的には肉食で、小動物や昆虫を捕食していたと考えられる。

彼らの生きていた時代、同じ地域には、海への適応進化を一歩先へ進めたアンブロケトゥス科が既に生息していた。それはパキケトゥス科から分化したものであろうとされている。

関連項目

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外部リンク

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  • Skulls of the pakicetids - nature [1]
  • Skeletons of the pakicetid cetaceans Pakicetus and Ichthyolestes - nature [2]