アンドロメダ座ゼータ星

アンドロメダ座の恒星

アンドロメダ座ζ星(アンドロメダざゼータせい、ζ Andromedae、ζ And)は、アンドロメダ座に存在する連星系である。このうち主星の質量は太陽の2倍から3倍程度で、伴星はその29%程度の質量の恒星とされている。地球からの距離は、179光年と推定される[3]。なお、地球から見るとこの場所には他にも恒星があるように見える

アンドロメダ座ζ星
ζ Andromedae
星座 アンドロメダ座
見かけの等級 (mv) 4.08[1]
(3.92 - 4.14[2]
変光星型 楕円体状 / りょうけん座RS型[2]
位置
元期:J2000.0
赤経 (RA, α)  00h 47m 20.3253403114s[3]
赤緯 (Dec, δ) +24° 16′ 01.874078330″[3]
視線速度 (Rv) -24.43 km/s[4]
固有運動 (μ) 赤経: -100.731 ミリ秒/[3]
赤緯: -82.265 ミリ秒/年[3]
年周視差 (π) 18.2037 ± 0.3639ミリ秒[3]
(誤差2%)
距離 179 ± 4 光年[注 1]
(55 ± 1 パーセク[注 1]
絶対等級 (MV) 0.4[注 2]
アンドロメダ座の主要な恒星の配列。ζ星は、下辺中央付近、ε星とη星の間にある。
アンドロメダ座の主要な恒星の配列。ζ星は、下辺中央付近、ε星η星の間にある。
軌道要素と性質
軌道長半径 (a) 3 ×107 km[5]
離心率 (e) 0.0[4]
公転周期 (P) 17.769426 [4]
軌道傾斜角 (i) 65 ± 5°[5]
物理的性質
半径 A(極): 15.0 ± 0.8 R[6]
A(赤道): 15.9 ± 0.8 R[6]
質量 A: 2.6 ± 0.4 M[5]
B: ~0.75 M[5]
表面重力 A: 0.64 G[5][注 3]
自転速度 A: 41.4 ± 0.2 km/s[5]
スペクトル分類 K1 III + K V[5]
光度 95.5 L[5]
表面温度 A: 4,600 ± 100 K[5]
色指数 (B-V) 1.100[1]
色指数 (U-B) 0.90[7]
色指数 (V-I) 1.06[1]
色指数 (R-I) 0.59[7]
金属量[Fe/H] -0.30[5]
他のカタログでの名称
アンドロメダ座34番星, BD+23 106, CCDM J00473+2416A, FK5 27, HD 4502, HIP 3693, HR 215, IRC +20013, SAO 74267, WDS 00473+2416A[8]
Template (ノート 解説) ■Project

特徴

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アンドロメダ座ζ星は、分光連星である。リック天文台分光観測によって、公転運動によるとみられる視線速度の変化が検出されたことで、1911年に発見された。最初に視線速度の変化に気付いたのは、アデレード・ホーブ(Adelaide Hobe)とされる[9]。視線速度変化の詳しい分析から、公転周期は17.77、主星と伴星の質量比は0.29であることがわかっている[4]

主星は橙色のK型巨星で、平均の明るさは4.08等級である[1]。明るさは、主星の光球楕円体状になっていることで、公転と共に0.07等級程度変化する(楕円体状変光星)。また、楕円体効果とは別に、公転周期を基準とする明るさの変調があることもわかっており、様々な観測から彩層活動が活発であると考えられるので、恒星黒点が明るさの変化に影響するりょうけん座RS型変光星にも分類される[10]

恒星黒点の分布について詳しく調べたところ、黒点はとても大きく、主星の極付近によくみられること、黒点のある領域とない領域では、表面温度におよそ900Kの差があること、緯度方向には太陽でみられるような黒点分布の対称性がないこと、などがわかった[6]。このことから、主星の強い磁場は、太陽磁場を発生させる天体ダイナモよりも複雑な機構によって生じていると予想されている。

多重星

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アンドロメダ座ζ星系は、分光連星の伴星とは別に、視覚的に分解できる4つの構成天体からなる多重星である。発見したのはバーナムで、1910年に最初の観測記録がある[11]。中心の分光連星系がA星で、その他にB、C、Dの各星が重星カタログに記載されている。その中で、C星はA星と固有運動が共通しており、真の連星の可能性もあるが、B星とD星は、たまたま同じ視線方向に位置している見かけ上の重星と考えられる[12][3][13]

重星の名称: WDS J00473+2416[11]
構成天体 基準星 観測年 基準星からの離角 基準星に対する方位角 視等級 参照
B星 A星 2012 36.7 8° 15.3 WDS
Gaia DR2
C星 A星 2012 97.2秒 230° 13.6 WDS
Gaia DR2
D星 A星 2012 156.1秒 260° 10.8 WDS
Gaia DR2

名称

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中国では、アンドロメダ座ζ星は、「白虎の足」を意味する奎宿拼音: Kuí Sù)という星官を、アンドロメダ座η星うお座65番星英語版アンドロメダ座ε星アンドロメダ座δ星アンドロメダ座π星アンドロメダ座ν星アンドロメダ座μ星アンドロメダ座β星うお座σ星うお座τ星うお座91番星英語版うお座υ星うお座φ星うお座χ星うお座ψ1とともに形成する。アンドロメダ座ζ星自身は、奎宿二拼音: Kuí Sù èr)つまり奎宿の2番星と呼ばれている[14]

脚注

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注釈

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  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
  2. ^ 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。小数第1位まで表記
  3. ^ 出典での表記は、 

出典

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  1. ^ a b c d ESA (1997), The HIPPARCOS and TYCHO catalogues. Astrometric and photometric star catalogues derived from the ESA HIPPARCOS Space Astrometry Mission, ESA SP Series, 1200, Noordwijk, Netherlands: ESA Publications Division, Bibcode1997ESASP1200.....E, ISBN 9290923997 
  2. ^ a b Samus, N. N.; et al. (2009-01), “General Catalogue of Variable Stars”, VizieR On-line Data Catalog: B/gcvs, Bibcode2009yCat....102025S 
  3. ^ a b c d e f g Gaia Collaboration (2018), “Gaia DR2”, VizieR On-line Data Catalog: I/345, Bibcode2018yCat.1345....0G 
  4. ^ a b c d Fekel, F. C.; et al. (1999-06), “Orbital elements and physical parameters of ten chromospherically active binary stars”, Astronomy & Astrophysics Supplement 137: 369-383, Bibcode1999A&AS..137..369F, doi:10.1051/aas:1999252 
  5. ^ a b c d e f g h i j Kővári, Zs.; et al. (2007-03), “Doppler imaging of stellar surface structure. XXIII. The ellipsoidal K giant binary ζ Andromedae”, Astronomy & Astrophysics 463 (3): 1071-1080, Bibcode2007A&A...463.1071K, doi:10.1051/0004-6361:20065982 
  6. ^ a b c Roettenbacher, R. M.; et al. (2016-05), “No Sun-like dynamo on the active star ζ Andromedae from starspot asymmetry”, Nature 533 (7602): 217-220, arXiv:1709.10107, Bibcode2016Natur.533..217R, doi:10.1038/nature17444 
  7. ^ a b Hoffleit, D.; Warren, W. H., Jr. (1995-11), “Bright Star Catalogue, 5th Revised Ed.”, VizieR On-line Data Catalog: V/50, Bibcode1995yCat.5050....0H 
  8. ^ zet And -- Variable of RS CVn type”. SIMBAD. CDS. 2018年7月12日閲覧。
  9. ^ Campbell, William Wallace; et al. (1911), “Sixty-eight stars whose radial velocities vary”, Lick Observatory Bulletin 6 (199): 140-154, Bibcode1911LicOB...6..140C, doi:10.5479/ADS/bib/1911LicOB.6.140C 
  10. ^ Kaye, A. B.; et al. (1995-05), “Suspected Starspots Found on the K Giants in Seven Ellipsoidal RS CVn-Type Binaries”, Astronomical Journal 109 (5): 2177-2186, Bibcode1995AJ....109.2177K, doi:10.1086/117443 
  11. ^ a b Mason, Brian D.; et al. (2018-06), “The Washington Visual Double Star Catalog”, VizieR On-line Data Catalog: B/wds, Bibcode2018yCat....102026M 
  12. ^ R. バーナム Jr. 著、斉田 博 訳『星百科大事典 改訂版』地人書館、1988年2月10日、67頁。ISBN 4-8052-0266-1 
  13. ^ BD+23 106D -- Star”. SIMBAD. CDS. 2018年7月19日閲覧。
  14. ^ 中國古代的星象系統 (19): 奎宿” (中国語). AEEA 天文教育資訊網. 國立自然科學博物館 (2006年5月19日). 2018年7月19日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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座標:   00h 47m 20.3253403114s, +24° 16′ 01.874078330″