アルファレコード
アルファミュージック(Alfa Music, Inc.)は、1969年に設立された日本の音楽出版社。1998年にレコードやCD制作からは撤退し、2019年にソニー・ミュージックパブリッシングの完全子会社となり、その後、2022年4月1日付を以て同社に吸収され法人格が完全消滅し、社内カンパニーとなったほか、原盤権はごく一部を除き、全てソニー・ミュージックレーベルズに移管された。
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親会社 | ソニー・ミュージックパブリッシング (2001年 4月 - ) ソニー・ミュージックダイレクト (2001年 4月 - 2022年 3月、原盤管理のみ) ソニー・ミュージックレーベルズ (2022年 4月 - ) |
設立 |
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設立者 | 村井邦彦 |
解散 | 1999年 |
販売元 | ビクター音楽産業 (1977年 - 1982年 ) ワーナー・パイオニア (1983年 - 1991年 ) 日本コロムビア (1991年 - 1994年 ) 東芝EMI (1994年 - 2001年 ) ソニー・ミュージックディストリビューションズ (2001年 - 2014年 ) ソニー・ミュージックマーケティング (2014年 - 2019年 ) ソニー・ミュージックソリューションズ (2019年 - ) |
国 | 日本 |
本社所在地 | 東京 |
公式サイト | alfamusic.co.jp |
概要
編集1969年、村井邦彦が音楽出版社アルファミュージック(初代)を設立。
1970年、村井が川添象郎、ミッキー・カーチス、内田裕也、木村英樹とともに「マッシュルーム・レコード」を設立。
1972年、外車ディーラー最大手のヤナセの会長(当時)・梁瀬次郎と、原盤制作会社としてアルファ&アソシエイツを設立。東芝音楽工業(現:ユニバーサル ミュージック ジャパン・Virgin Musicレーベル/EMI RECORDSレーベル)のリバティ・レーベルに販売を委託した赤い鳥や荒井由実(現・松任谷由実)、ハイ・ファイ・セットなどの「アルファ&アソシエイツ」、日本コロムビアのデノン・レーベル(のちに「Blow Up」に改称)に販売を委託したGARO、小坂忠などのアーティストを送り出す。
1977年、レコード会社アルファレコード(Alfa Records Inc.)設立、「アルファ&アソシエイツ」「マッシュルーム」の音源発売権も同社に移行。サーカス、カシオペア、イエロー・マジック・オーケストラの成功で知名度も大きく上がる。
1978年、アメリカのA&Mレコードの販売権をキングレコードから移管。ハーブ・アルパート、クインシー・ジョーンズ、セルジオ・メンデス、ニュー・ウェイヴのポリス、ジョー・ジャクソンなどが次々とヒットした。
1980年、アルファ&アソシエイツがヤナセグループに入る。同年、ロサンゼルスにおいて現地法人「アルファアメリカ」設立(1983年に撤退)。
この時期村井が、アルファミュージックの運営に参加していた当時の妻「大橋一恵(作詞家・訳詞家での筆名:大橋一枝)」と離婚[1]。その際、大橋がアルファミュージックの経営を引き継いで分離独立し、社名を「ケイ・ミュージック・パブリシング」(Kay Music Publishing)に変更する。以降のケイ・ミュージックは大橋がエグゼクティブプロデューサーとなって原盤製作およびアーティストマネジメントも開始し、児島由美・山口美央子・山本達彦・クリスティらを手掛ける。一方の村井は、アルファミュージックの分離以降の楽曲を管理する音楽出版社「1980 Music Inc.」を設立し、アルファレコードの楽曲出版権はケイ・ミュージック・パブリシングと1980 Musicの2社で管理される。
1982年、兄弟会社として、小杉理宇造と山下達郎がアルファ・ムーンを設立。
1985年、村井が退職。
1990年代初頭、当時の主要株主であったヤナセが、バブル崩壊により資本を引き揚げる。そして1994年、別資本が立ち上がり、アルファレコードの業務は新会社に移管される。移管された新会社はアルファミュージック(2代目、Alfa Music CO.,LTD.)に社名を再変更、ケイ・ミュージック・パブリシングを経営していた大橋が社長に就任する。アルファ・ムーンはアルファレコードから独立し、ワーナー・ミュージック・グループ傘下となる(後にMMG → イーストウエスト・ジャパンを経てワーナーミュージック・ジャパンに吸収合併)。
1995年、東京都港区に所有していた自社スタジオ「Studio A」を閉鎖。
1998年10月、社員のほとんどを解雇し事業規模を縮小。レコード制作から撤退し、原盤管理会社として残る。
1999年、ケイ・ミュージック・パブリシングと合併[2]。この合併にて(2代目)アルファミュージックの法人格が消滅し、アルファレコードの全楽曲管理がケイ・ミュージックに移動する。同時に、ケイ・ミュージックがアルファミュージック(Alfa Music CO.,LTD.)に社名を変更する。ケイ・ミュージックが「アルファミュージック(初代)の社名変更」であることから、この合併により、設立当時の法人格に戻ったことになる。
2001年4月、全世界での使用も含めた著作権管理および原盤使用権をソニー・ミュージックパブリッシングに委託。それ以降は基本的に、ソニー・ミュージックダイレクト(現・ソニー・ミュージックレーベルズ)から旧譜が復刻発売(販売委託はソニー・ミュージックディストリビューションズ → ソニー・ミュージックマーケティング → ソニー・ミュージックソリューションズが担当)されているが、例外として荒井由実とLOGIC SYSTEM[注 1]の音源はユニバーサル ミュージック ジャパンが、松山千春[注 2]の音源は日本コロムビアがそれぞれ販売委託。
設立から半世紀を迎えた2019年4月1日、ソニー・ミュージックパブリッシングが大橋より全株式を取得し、同社の完全子会社となる[3]。それに伴い、ソニー・ミュージックパブリッシングの見上チャールズ一裕が社長に就任する。
レコード会社として独立後、販売元は当初ビクター音楽産業(後にビクターエンタテインメント〈初代〉を経てJVCケンウッド・ビクターエンタテインメントに一旦改称し、再度ビクターエンタテインメント〈二代目〉に回帰)であったが、1998年にレコード制作から撤退するまでの間、ワーナーパイオニア(現:ワーナーミュージック・ジャパン)→日本コロムビア→東芝EMIと販売元の系列替えがあった[注 3]。
洋楽部門では、A&Mレコードのほか、一時期ゾンバ・レコード、ミュート・レコードなどの国内盤の発売元のほか、ユーロビートのコンピレーションCD「ザッツ・ユーロビート」シリーズを定期的に出しており、カイリー・ミノーグなどを日本に紹介した。
2020年4月24日ソニー・ミュージックグループでの再出発と、創立50年プロジェクト「ALFA50」の始動を発表。プロジェクトの始動に併せ、アルファミュージックの公式サイトやTwitterなどのSNS公式アカウントを立ち上げた。その第1弾として、全世界配信ストリーミングサービスを開始。吉田美奈子、佐藤博、ハイ・ファイ・セットのアルバムが各音楽配信サイトおよびストリーミングサービスで解禁された[4]。
、アルファミュージック創立50年を機に2024年、アルファミュージック創立55周年プロジェクトとして、制作活動を再開。第一弾としてRYUSENKEI(「流線形」から改称)のアルバムを4月にリリースした[5]。同年、かつて1977年に細野晴臣とアルファレコードがプロデューサー契約を結び、その第1作として制作されていたもののレコーディングから47年間お蔵入りとなっていたリンダ・キャリエールのアルバム『Linda Carriere』が、アルファミュージックに保管されていたマルチテープを用い、細野立ち合いのもと、GOH HOTODAがミックスを施し商品化が実現。CDの発売日はアルファミュージックの創立記念日にあたる7月17日に、アナログ盤はアルファミュージック創立55周年プロジェクトの一環として8月3日にソニー・ミュージックレーベルズよりそれぞれリリースされた[6]。
邦楽レーベル
編集- YEN(¥EN・エン)(1982年〜1985年)
- G.M.O.(1986年〜1994年)
- 1985年に立ち上げられた日本初のゲームミュージック専門レーベル。このレーベルの担当者がサイトロン(サイトロン・レーベル)の立ち上げに参画する。
- HYS(1986年〜1988年)
- 戸川純のレーベル
- EDGE(1986年〜1989年)
- ZAZA(1990年設立)※ロック系のレーベル。
- NEWS(松山千春専用レーベル:1985年 - 1987年)
- NEWSレコード解散後、松山の移籍と共に設けられたレーベル。1987年を以て消滅。
- Magic Land(1996年設立)
- SPIN(1990年設立)
- On-Uサウンドの日本発売。YMOのリミックスアルバムも多数発売。
- SEXCITE
洋楽レーベル(ライセンス、サブライセンスを含む)
編集- ALFA international
- アルファ・アメリカ独自制作で、ルルやビリー・ヴェラ アンド ザ・ビーターズなどを発売していたが、ビリー・ヴェラの「アット・ディス・モーメント」は発売後、アルファがアメリカ事務所を閉鎖した数年を経て、テレビドラマでの挿入歌に採用され全米チャート第1位を獲得する。後に、ユーロビートや洋楽作品のライセンス受託主体レーベルになる。
- 1992年頃、アンダーグラウンド・レジスタンスやHARD WAXといったドイツのレーベル、日本発売。
- A&M Records
- ジャネット・ジャクソンやスクイーズ、ジョー・ジャクソン、ポリスなど英・米のA&Mと直接契約していた原盤のみを使用(現在はユニバーサル ミュージックLLCが取り扱い)。
- Sonet - スウェーデンの老舗レコード会社。
- シークレット・サービス等が日本発売された。現在は業務を閉鎖し、旧譜はユニバーサル ミュージック内のストックホルム・レコードから発売されている。
- PWL Records
- 1980年代、英国のストック・エイトキン・ウォーターマンのピート・ウォーターマンが設立したレコード会社。但し、その殆どはアーティスト単位でレコード会社にライセンスされ、リック・アストリーはBMG、ソニアやブラザー・ビヨンドはEMI、アーティストとしてのストック・エイトキン・ウォーターマンはA&Mの各PWLレーベルから販売されていた。
- アルファでは、日本地域で原盤使用権が浮いていた大量のSAWプロデュース作品や、デビュー時からPWLを離れるまでカイリー・ミノーグやジェイソン・ドノヴァンなど豪・マッシュルームレコードの制作とライセンス作品を販売していた。ユーロビートからクラブ志向にジャンルが傾倒すると、2 アンリミテッドやオーパス3などクラブカヴァー曲のサブライセンスも取得し「ザッツ・クラブトラックス」系列でのコンピレーション化、シングル化していた。
- PROTO Records
- ドラァグ・クイーンとして『ピンク・フラミンゴ』や『ポリエステル』『ヘアスプレー』(オリジナル版)など、映画に出演したディヴァインの楽曲が、カセット版ザッツ・ハイエナジーに初収録。その流れを汲む初期ザッツ・ユーロビートのメインアクトとして多くの楽曲がフィーチュアされた。特にディヴァインの初期作品"Native Love"や"Shoot Your Shot"などのボビー・オーランドのプロデュース作品、ナイトメア・レコード主宰のイアン・レヴィン作品を経て、全米ディスコチャートにも登場した"You Think You're a Man"、"Walk Like A Man"や"I'm So Beautiful"は、ストック・エイトキン・ウォーターマン・プロダクションがブレイクする前(スタジオ運営、フェアライトCMI導入前)の初期作品であり、ハイエナジーとユーロビートのジャンルを語る上で、最も重要なシンガー、パフォーマーである。
- Bellaphone - ドイツのレコード会社。
- ヘイゼル・ディーンのアルバム (Hearts First - 1984年作品)は、マスタリングからプレスまでアルファレコードが行い、日本語盤から日本語解説を省いてこのレーベルへ輸出・供給していた。
- FLEA、F.C.F. Records、ASIA Records、Discomagic その他 - イタリアの音楽出版社系レーベル。ファリーナ・アンド・クリバレンテのプロデュース作品がメイン。
- アルファが日本国内で使用ライセンスを請けた楽曲を、avex trax社の前身会社がレンタルレコード店向けに独自編集(MixCD化)して日本へ輸入した件を巡り、アルファから販売差し止めを要請され騒動となる。この件により、avex traxはレコード会社として発足し、独自の「SUPER EUROBEAT」シリーズを立ち上げる。
- ZOMBA Records - フロッグ・オブ・シーガルズやDJ・ジャジー・ジェフ&ザ・フレッシュ・プリンス、R・ケリー&パブリックアナウンスメントなどを日本で販売。
- アルファから離れた後、ブリトニー・スピアーズやレッドニックスらが世界規模のヒット曲を輩出。当時のBMGが吸収合併したため、現在はソニーミュージックのレーベルの一つ。
- ミュート・レコード - デペッシュ・モード、イレイジャーやライバッハ、ニッツァー・エブなどを日本で販売。
- アルファ・ジャズ
- 1988〜1998年、ジャズ専門レーベル。
ザッツ・ユーロビート シリーズのみ、制作:アルファ・ミュージック、販売:NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパンの4タイトルが存在する。
所属アーティスト
編集Alfa(ケイ・ミュージック所属・制作も含む)
編集あ行
編集- 赤い鳥
- 朝比奈マリア
- 荒井由実
- イエロー・マジック・オーケストラ
- いしだあゆみ(ビクターレコード → 日本コロムビア → アルファレコード。アルファレコード契約解除後、CBS・ソニーを経てトーラスレコードへ移籍)[注 4]
- 伊東ゆかり
- ウィズ
- エキスポ
- audio active - アルファレコード移管後、BEAT RECORDSをメンバー自ら立ち上げ国内リリースを展開。1stアルバムは1993年11月に発売後まもなく廃盤。
- 大野方栄
- 大村憲司
か行
編集- GARDEN
- カシオペア(アルファレコード → ポリドール → パイオニアLDC → アルファミュージック → ポニーキャニオン → ジェネオン エンタテインメント → 現・HATS UNLIMITED)
- 紙ふうせん
- GARO
- 桐ヶ谷仁 - のちに東芝EMI移籍
- CHRYSTY(クリスティ)
- ザ・グルーヴァーズ(アルファレコード → ポリドール → BM tunes)
- 小坂忠
- 児島由美
- 古代祐三
- 小森田実
さ行
編集- サーカス
- 佐藤博
- サンディー&ザ・サンセッツ
- シーナ&ロケッツ
- 菅原進 - ビリーバンバンが解散した1981年から1982年まで在籍。アルファレコード契約解除後、バップ、RCA / RVCを経てキングレコードへ移籍
- 鈴木こう
- スターリン
- SUPER BAD
- スネークマンショー
- スーパー・エキセントリック・シアター
- ソフトバレエ
た行
編集- 太陽の塔
- タモリ
- 九十九一
- TELEX (テレックス)
- としたろうとリバーサイド(としたろうは、ソロでTOSHITAROとしてアポロンへ移籍)
な行
編集は行
編集- ハイ・ファイ・セット(後にCBS・ソニーへ移籍)
- Pas de chat(パディシャ)
- ハリー・ジェーン
- B・A・T(BLACK CATSの久米浩司・久米良昌兄弟が結成したバンド)
- 日出郎(のちにニューセンチュリー・レコードへ移籍、現・VIVID SOUNDへ移籍)
- 日向敏文
- ビリー・ヴェラ
- 広谷順子
- フィフィ・ザ・フリー - 1969年11月のアルファ・レーベル発足、第一弾アーティスト(日本コロムビアへレコード配給委託)
- 布施博
- Blue Film
- ブレッド&バター
- 深町純
ま行
編集- MAX Q(英語版) - INXSのマイケル・ハッチェンスを中心としたユニット。
- 松山千春(キャニオンレコード → NEWSレコード → アルファNEWSレーベル → アルファ → 現・日本コロムビア)
- 三好鉄生 - のちにクラウンレコードへ移籍
- 村井麻里子
- MELON
や行
編集ら行
編集- ルネ(・シマール、René Simard) - カナダ出身。1974年に日本デビューした当時13歳のボーイソプラノ。
- LOGIC SYSTEM - (東芝EMI → アルファレコード → ブリッジ)
わ行
編集YEN
編集あ行
編集か行
編集さ行
編集た行
編集は行
編集G.M.O.
編集HYS
編集EDGE
編集- ヴァリエテ(有近真澄、山田多理)
- cutting edge
- ゼロスペクター
- P-MODEL - ジャパンレコード離脱後インディーズを得て移籍。 アルファ契約解除後、どのレコード会社との契約を交わす事なく1988年活動休止。その後平沢進はポリドールに移籍。
- POISON POP(TENSAWのSaybowとミチアキが結成したユニット)
NEWS
編集ZAZA
編集参考文献
編集- 『ジャズ名門レーベル大事典 Swing Journal 1999年5月臨時増刊』スイングジャーナル社、1999年、338頁。
- 「私の履歴書 村井邦彦」『日本経済新聞 東京朝刊』日本経済新聞社、2023年2月28日。
- 大橋一惠『女は音楽プロダクションで成功する』KKベストセラーズ、1984年
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ 1986年5月8日分読売新聞別刷4P
- ^ 1999年(平成11年)2月22日官報第2570号・20ページ
- ^ https://www.sme.co.jp/s/SME/pressrelease/detail/INFO00283?ima=0000&link=ROBO004 2019年4月1日 付ソニー・ミュージックエンタテインメント発プレスリリースより
- ^ “アルファ50周年企画で吉田美奈子、佐藤博、ハイ・ファイ・セットのアルバム解禁”. 音楽ナタリー. 株式会社ナターシャ (2020年4月24日). 2020年4月24日閲覧。
- ^ “流線形がSincereを正式メンバーに迎えて“RYUSENKEI”としてリブート アルバムをリリース”. CDJournal (2024年2月29日). 2024年8月8日閲覧。
- ^ “細野晴臣プロデュース、リンダ・キャリエール幻のアルバムが47年経て正式発売”. 音楽ナタリー. 株式会社ナターシャ (2024年4月22日). 2024年8月9日閲覧。
外部リンク
編集- 公式ウェブサイト
- ALFA MUSIC YouTube Channel - YouTubeチャンネル
- アルファレコード (@alfamusic1969) - Instagram