バストランペット
バストランペット(英: bass trumpet)は、トランペットの一種。通常のトランペットより管長が長く、低い音域を奏する。G管、F管、E♭管(これらはアルトトランペットまたはトランペット・コントラルトとも呼ばれる)はトランペット奏者でも演奏できるが、C管、B♭管などの真正のバストランペットは通常トロンボーン奏者が持ち替えで奏する。
バストランペット | ||||||
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各言語での名称 | ||||||
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C管のバストランペット | ||||||
分類 | ||||||
関連楽器 | ||||||
概説
編集今日のバストランペットは、19世紀初頭にドイツの騎兵音楽で使用され発展してきたヴァルヴ・トランペットに目を付けた[1]ドイツの作曲家ワーグナーが創案した[2]楽器が基になっていると考えられる。
バストランペットは製造者によって違いが大きく、ヴァルヴ・トロンボーンに近いものから、円錐管の部分の広がりが大きくサクソルンやバス・フリューゲルホルンに近いものまで様々である。
なお、バストランペットという名称は、後述のストラヴィンスキーの用例にも見られるように、今日ではアルトトランペットを含む長管のヴァルヴ・トランペットの総称としても用いられている[3]。
アルトトランペット
編集アルトトランペットはロシアの作曲家リムスキー=コルサコフが創案したとされ、1892年に初演された歌劇『ムラダ』で初めて使用した[2]。リムスキー=コルサコフの作品では3本のトランペットの最低音を豊かに響かせるため[4]に第3トランペットのパートに指定されていることが多く、F管トランペットより大きめのボアサイズとベルを持つが、今日では使われることがない[5]。
F管トランペット
編集マーラー、ブルックナー、J.シュトラウスからシベリウス、エルガー、ニールセンなど多くの作曲家の作品に指定されている楽器で、F管のアルトトランペットと同じ長さだが、普通のB♭トランペットと同じようなボアサイズとベルを持つ[5]。アルトトランペットとは異なり、通常のトランペットの音域を演奏する。そのため、このパートは普通のトランペットで演奏されることがほとんどである。
オーケストラにおける使用例
編集アルトトランペット
編集バストランペット
編集脚注
編集参考文献
編集- 伊福部昭『管弦楽法』音楽之友社、1953年
- 佐伯茂樹「リムスキー=コルサコフが考案したアルトトランペットを再現する」『パイパーズ』301号、杉原書店、2006年
- アンソニー・ベインズ 著、福井一 訳『金管楽器とその歴史』音楽之友社、1991年。ISBN 4-276-12472-7。
- 『新音楽事典 楽語』音楽之友社、1977年。ISBN 4-276-00013-0。
- 佐伯茂樹『名曲の「常識」「非常識」 - オーケストラのなかの管楽器考現学』音楽之友社、2002年。ISBN 4-276-21062-3。