アホ (Ajo) は、アメリカ合衆国アリゾナ州南部、ピーマ郡に位置する町。正式な都市・町村ではない所属未定地、CDPである。人口は3,304人(2010年国勢調査[1])。

アホ

Ajo
アホ広場(1990年)
アホ広場(1990年)
アリゾナ州・ピマ郡内の位置
アリゾナ州の位置
アリゾナ州の位置
座標:北緯32度22分53秒 西経112度52分10秒 / 北緯32.38139度 西経112.86944度 / 32.38139; -112.86944座標: 北緯32度22分53秒 西経112度52分10秒 / 北緯32.38139度 西経112.86944度 / 32.38139; -112.86944
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
アリゾナ州の旗 アリゾナ州
ピマ郡
面積
 • 合計 28.1 mi2 (72.7 km2)
 • 陸地 28.1 mi2 (72.7 km2)
 • 水域 0.0 mi2 (0.0 km2)
標高
1,759 ft (536 m)
人口
(2010)
 • 合計 3,304人
 • 密度 131.9人/mi2 (51.0人/km2)
等時帯 UTC-7 (MST夏時間なし))
ZIPコード
85321
市外局番 520
FIPSコード 04-00870
GNIS feature ID 0000538
カトリック教会

アホはアリゾナ州道85号沿いにあり、メキシコ国境から70kmほどである。そのため、人口に占めるヒスパニックラテン系の割合が37%と高くなっている。また、オルガン・パイプ・カクタス国定公園 (Organ Pipe Cactus National Monument) に最も近い町でもある。

同地の発音は日本語では「阿呆」に近いが、スペイン語ではにんにくを意味する語であり、先住民のパパゴ族(現在のトホノ・オーダム族)の言葉では絵を描くことを意味する。パパゴ族はこの地域から赤色の絵具を得ていたのである。たまねぎのようなアホユリもこの近くに生息する。また、アホにはサワロサボテンCactoideae)やオコチロなどのソノラ砂漠の植物も自生している。

歴史

編集

アホには鉱石の埋蔵量が多かったため、古く先住民やスペイン人、アメリカ人は鉱産資源を採取していた。1800年頃には「古いこうもり穴」(Old Bat Hole) とよばれるスペイン鉱山があったが、後に先住民に襲撃されたため放棄された。トム・チャイルズ (Tom Childs) は1847年に最初のアメリカ人としてこの地を訪れ、20m程のシャフトやメスキートのはしご、生皮の手桶などが揃えられている鉱坑跡を発見した。良質の銅鉱石が採掘されたためアホはアリゾナ初の鉱山となり、溶錬のために鉱石はウェールズに海輸された。

しかしながら、1900年頃に低質の銅鉱石を製錬する方法が発明されるまで、アホはあまり注目されることはなかった。1906年にはジョン・グリーンウェイ大佐がニュー・コーネリア・カッパー社 (New Cornelia Copper) を立ち上げ大規模な拡大を行った。1921年、アメリカ最大の銅会社であるフェルプス・ドッジ社 (Phelps Dodge) がニュー・コーネリア社を買収した。その後何十年にも渡ってアホでは1,000人以上のフェルプス・ドッジ社の従業員が働いていたが、1983年に激しいストライキの最中に閉山した。現在ではアリゾナ州の多くの他地域同様、リタイアした高齢者が居住する地域となっている。

地理

編集

アホは北緯32度22分53秒 西経112度52分10秒 / 北緯32.38139度 西経112.86944度 / 32.38139; -112.86944 (32.381348, -112.869407) に位置している。日本では八代市熊本県)や延岡市宮崎県)とほぼ同緯度である。

アメリカ合衆国統計局によると、アホは総面積 72.7km² (28.1mi²) である。全域が陸地であり、水域はない。

アホはアリゾナ州の多くの他地域同様、1年を通じて温暖で、乾燥している。そのため、リタイアした高齢者が多く住む地域となっている。ケッペンの気候区分ではBW砂漠気候)に属す。

街は南北に伸び、南端に採掘場があった。銅を露天掘りしていたため、現在でも直径1.5kmほどのほぼ円形のすり鉢型の採掘跡が残っている。すり鉢の底まで約350m掘り進んだ。街の東には一辺が1kmから1.5kmに及ぶ3つの選鉱用池の跡があり、街自体とほぼ同じ面積を占めていた。採掘場の南には小さな山があり、南から北に向かって街は緩やかな坂の上に広がる。乾燥地であるため、無数の枯れ川が南から北に流れ、周囲は一種の悪地を成している。最大の枯れ川はギブソン涸れ谷 (Gibson Arroyo) と呼ばれている。

気候

編集
アホ (1971-2000年; 極値1914-2001年)の気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
最高気温記録 °C°F 29
(85)
33
(92)
37
(98)
39
(103)
44
(111)
46
(115)
47
(117)
46
(115)
45
(113)
42
(107)
35
(95)
31
(88)
47
(117)
平均最高気温 °C°F 18.3
(65.0)
20.9
(69.6)
23.4
(74.1)
27.8
(82.0)
31.9
(89.5)
37.6
(99.6)
39
(102.2)
38.3
(100.9)
36.2
(97.1)
30.4
(86.8)
23.3
(74.0)
18.4
(65.1)
28.8
(83.8)
平均最低気温 °C°F 6.7
(44.0)
8.3
(46.9)
10.1
(50.2)
13.3
(56.0)
17.6
(63.7)
22.5
(72.5)
25.3
(77.5)
24.6
(76.2)
22.4
(72.4)
17.3
(63.2)
11.1
(51.9)
6.8
(44.3)
15.5
(59.9)
最低気温記録 °C°F −8
(17)
−6
(22)
−3
(27)
2
(35)
−1
(31)
10
(50)
14
(58)
14
(57)
9
(49)
0
(32)
−1
(30)
−6
(22)
−8
(17)
雨量 mm (inch) 17
(0.67)
17
(0.67)
19.3
(0.76)
5.8
(0.23)
3.8
(0.15)
1.3
(0.05)
19.3
(0.76)
41.1
(1.62)
20.8
(0.82)
16
(0.63)
12.7
(0.50)
22.4
(0.88)
196.5
(7.74)
平均降雨日数 (≥0.01 inch) 2.6 2.6 3.1 1.4 0.7 0.4 3.4 5.0 2.7 2.2 1.9 2.9 28.9
出典:National Oceanic and Atmospheric Administration [2]

近隣の主要都市

編集

これら3都市はいずれも規模の大きい空港を持っており、アホへの玄関口となる。

人口動勢

編集

以下は2000年国勢調査による人口統計データである。

基礎データ

  • 人口: 3,705人
  • 世帯数: 1,659世帯
  • 家族数: 1,088家族
  • 人口密度: 51.0人/km²(132.0人/mi²)
  • 住居数: 2,485軒
  • 住居密度: 34.2軒/km²(88.5軒/mi²)

人種別人口構成

年齢別人口構成

  • 18歳未満: 20.6%
  • 18-24歳: 4.9%
  • 25-44歳: 17.2%
  • 45-64歳: 25.3%
  • 65歳以上: 32.1%
  • 年齢の中央値: 52歳
  • 性比(女性100人あたり男性の人口)
    • 総人口: 90.3
    • 18歳以上: 88.3

世帯と家族

  • 18歳未満の子供がいる: 19.7%
  • 結婚・同居している夫婦: 51.4%
  • 未婚・離婚・死別女性が世帯主: 10.6%
  • 非家族世帯: 34.4%
  • 単身世帯: 30.1%
  • 65歳以上の老人1人暮らし: 17.1%
  • 平均構成人数
    • 世帯: 2.23人
    • 家族: 2.74人

収入と家計

  • 収入の中央値
    • 世帯: 25,618米ドル
    • 家族: 29,310米ドル
    • 性別
      • 男性: 28,000米ドル
      • 女性: 18,571米ドル
  • 人口1人当たり収入: 14,548米ドル
  • 貧困線以下
    • 対人口: 16.5%
    • 対世帯数: 22.3%
    • 18歳未満: 36.5%
    • 65歳以上: 9.0%

脚注

編集
  1. ^ Citypopulation.de
  2. ^ Climatography of the United States, No. 20 – 1971-2000: COOP ID: 020080 (AJO, AZ)”. National Oceanic and Atmospheric Administration (2004年). 2017年2月23日閲覧。 Retrieved on May 11, 2015.

関連項目

編集

参考文献

編集

外部リンク

編集