アフリカバオバブ
アフリカバオバブ(学名: Adansonia digitata)は、アオイ目パンヤ科バオバブ属の植物。アフリカ大陸のサバンナ地域に広く分布している。バオバブのなかでも一般的な樹種で、樹形はずんぐりしており、直径10メートル (m) を越える巨木になる。アフリカの現地の言葉で、ブワブワ(bwabwa)、ムワンバ(mwamba)、ムブユ(mubuty)、モワナ(mowana)などとよばれる[1]。
アフリカバオバブ | |||||||||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Adansonia digitata L. | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
African Baobab |
分布
編集アフリカ大陸のセネガルからスーダンにかけての熱帯乾燥地域、アフリカ大陸東部のエチオピアからモザンビークにかけて広く分布している。サハラ砂漠以南のアフリカ大陸のサバンナでは、よく見られる[1]。
形態・生態
編集アフリカバオバブは、群生していることもあるが単独で生えることが多い[1]。木の寿命は、推定で2000年ほど生きられると考えられている[1]。
樹高は25メートル (m) ほどで、幹の周長も同じくらいになる[1]。古木の幹の表面はなめらかで、そのほとんどは菌類の感染によって中が空洞になっている[1]。幹はやわらかくて水分が多く、ここに数千リットルの水を蓄えておくことができる[1]。さらに、樹木としては非常に珍しく、幹の水分の貯蔵量によって木が大きくなったり縮んだりする[1]。葉は5枚または7枚の小葉からなる[1]。
花は一日花で、大きな白い5弁花が吊り下がって咲き、酸っぱいような芳香がある[1]。花は花蜜が少ない代わりに、雄蕊がたくさんある[1]。オオコウモリやガラゴは、この雄蕊を食べながら花粉を浴び、花から花へと移動して花粉を媒介する[1]。花後は柄の先に、25センチメートル (cm) ほどもある卵形をした茶色の果実をぶら下げてつける[1]。果実はゾウやヒヒなどの動物に食べられて、種子が撒布される[1]。
利用
編集果実、葉は食用となる。樹皮は薬用、繊維、家畜の飼料などに利用される。実の表面はやわらかく、果肉は酸っぱくてポロポロしており、ビタミンCを多く含んでおり、さっぱりした飲料の材料になる[1]。種子はコーヒーの代用品として利用される[1]。樹皮から採られた繊維からは、マットや帽子などが作られていて商品としても売られている[1]。
古木の幹の空洞は、隠れ家、倉庫、バーのほか、仮設の牢屋にも使われるという[1]。
伝説
編集アフリカバオバブの木が分不相応な企てをし、すったもんだの末に、怒った創造主によって木がひっくり返されて、空中に根をさらしたという言い伝えがある[1]。アフリカの多くの言い伝えでは、アフリカバオバブは祖先の霊の住処と見なされており、有害な力と結びつけられることもある[1]。アフリカではバオバブは尊重される木であり、こうした信仰から保護の対象につながっている[1]。
脚注
編集参考文献
編集- ジョナサン・ドローリ 著、三枝小夜子 訳『世界の樹木をめぐる80の物語』柏書房、2019年12月1日。ISBN 978-4-7601-5190-5。