アニエールの水浴
『アニエールの水浴』(アニエールのすいよく、仏: Une baignade à Asnières, 英: Bathers at Asnières)は、フランスの画家ジョルジュ・スーラが描いた絵画[1][2][3]。ロンドンのナショナル・ギャラリーに所蔵されている。
フランス語: Une baignade à Asnières 英語: Bathers at Asnières | |
作者 | ジョルジュ・スーラ |
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製作年 | 1884年 |
種類 | 油彩、キャンバス |
寸法 | 201 cm × 301.5 cm (79 in × 118.7 in) |
所蔵 | ナショナル・ギャラリー、ロンドン |
概要
編集縦 201 センチメートル、横 301.5 センチメートルの大きさをもつ作品である[4]。1883年の春、スーラが本作の製作に取りかかる[5][1]。1884年、スーラは本作を完成させ、サロンに送ったが落選する[2]。
本作は、同年12月にパリで開催された第1回アンデパンダン展に出品される[6][7]。同年5月、スーラは『グランド・ジャット島の日曜日の午後』の製作に取りかかっている[5][2]。
本作に描かれている水浴場は、パリの北西の近郊にあるアニエールとクリシーとの間に架橋されていた2本の橋から上流のセーヌ川の左岸に存在した[1]。1883年に製作された『黒い馬、習作』は、本作の画面左半分の習作である[8]。
作品
編集晴れて気温が上がった夏のある日の午後の光景が描かれている[9]。画面の右上には、セーヌ川の中州にあるグランド・ジャット島が描かれている[10]。画面前景には、川岸で寝そべったり、体育座りをしたりしてゆったりとくつろいでいる男性の他に、川の中に入って水浴びをしている少年の姿が描かれている[11][12][10]。
彼らの多くは、川やグランド・ジャット島のほうを向いている[1]。画面の手前右端に描かれた少年は、赤色の帽子を被っており、丸めた両手を口もとに添え、グランド・ジャット島のほうに呼びかけている[9]。画面後方には、クリシーの向こう側に広がる工場地帯の煙突群の他に、鉄橋が描かれている[1][13][9]。
川面には、三色旗を掲げた渡し船やボートなどが描かれている[1][10]。乗客を乗せた渡し船は、グランド・ジャット島へ向かっており、乗客は、『グランド・ジャット島の日曜日の午後』で描かれたような身分の高い階級に属する人物であるとされる[1]。画面の最右部に描かれたボートを漕ぐ人物は、画面の端で切り取られている[9][1]。
脚注
編集- ^ a b c d e f g h 『点に要約された絵画』 2000, p. 21.
- ^ a b c 『点描のモデルニテ』 2014, p. 10.
- ^ “Bathers at Asnières”. ナショナル・ギャラリー. 2019年8月4日閲覧。
- ^ 『点描のモデルニテ』 2014, p. 35.
- ^ a b “年譜 土田真紀編 ヴァン・ド・ヴェルド展図録”. 三重県立美術館. 2019年8月4日閲覧。
- ^ “印象派を超えて 点描の画家たち”. 国立新美術館. 2019年8月4日閲覧。
- ^ 『点に要約された絵画』 2000, p. 24.
- ^ 『点に要約された絵画』 2000, p. 22.
- ^ a b c d 田中智子 (2012年7月). “スーラ、ジョルジュ「アニエールの水浴」”. 大塚国際美術館. 2019年8月4日閲覧。
- ^ a b c “ジョルジュ・スーラ (1859-1891) 《アニエールの水浴》”. 獨協大学. 2019年8月4日閲覧。
- ^ 『点に要約された絵画』 2000, pp. 21, 23.
- ^ 『しぐさで読む美術史』 2015, p. 165.
- ^ 千足伸行「シニャックとアナーキズム(1) : "社会的芸術"(上) (記念特別号)」『成城文藝』第200巻、成城大学文芸学部、2007年9月、124-99頁、ISSN 0286-5718、CRID 1050001202604103808、2023年5月29日閲覧。
参考文献
編集- ハーヨ・デュヒティング『ジョルジュ・スーラ 1859 - 1891 点に要約された絵画』タッシェン・ジャパン〈タッシェン・ニュー・ベーシック・アート・シリーズ〉、2000年11月。ISBN 978-4-88783-016-5。
- 坂上桂子『ジョルジュ・スーラ 点描のモデルニテ』ブリュッケ、2014年6月。ISBN 978-4-434-19349-1。
- 宮下規久朗『しぐさで読む美術史』筑摩書房〈ちくま文庫〉、2015年12月。ISBN 978-4-480-43318-3。