アジェナ標的機(アジェナひょうてきき、Agena target vehicle,ATV)はアメリカ合衆国ジェミニ計画で用いられた宇宙船。無人機であり、軌道上におけるランデブーやドッキングの技術開発に用いられた。

アジェナ標的機

元々、アジェナは偵察衛星として開発されていたものであった。これにドッキング・ユニットを増設し、軌道上での技術試験衛星として用いたものである。ATVはケープカナベラル空軍基地LC-14発射台よりアトラス・ロケットを用いて打ち上げられる。

ATVとの軌道上ランデブー/ドッキングのために、ATVの打上げの約90分後(概ね軌道周回時間)にジェミニ宇宙船はLC-19発射台より打ち上げられた。ATVとの軌道上での試験としては、ランデブー/ドッキングの一環として、以下のようなものが行なわれた。

  • ドッキング状態における姿勢制御。(ジェミニ8号では、ジェミニ宇宙船のスラスタの不調により制御に失敗、途中中止となった)
  • 船外活動の研究。
  • ATVのエンジンを用い、高軌道への遷移。
  • 重力勾配安定化(Gravity-gradient stabilization)による姿勢制御(テザー推進)の試験。ATVとジェミニ宇宙船を30m離れてロープで結び、重力の影響を観察。

ATVは試験終了後、比較的短期間に大気圏に突入している。

アジェナ標的機 ジェミニ計画 発射 大気圏突入 NSSDC ID 備考
GATV-5002 ジェミニ6号 1965年10月25日
15:00:04 UTC
1965年10月25日
15:06:20 UTC
GEM6T 爆発により軌道投入失敗、3,261-kg
GATV-5003 ジェミニ8号 1966年3月16日
15:00:03 UTC
1967年9月15日 1966-019A 最初のドッキング試験、3,175-kg
後にジェミニ10号ともランデブー
GATV-5004 ジェミニ9号 1966年5月17日
15:12:00 UTC
1966年5月17日
15:19:00 UTC
GEM9TA 軌道投入失敗、3,252-kg
ATDA #02186 ジェミニ9-A号 1966年6月1日
15:00:02 UTC
1966年6月11日 1966-046A シュラウドが開かず、ドッキングは行なわれなかった、794 kg
GATV-5005 ジェミニ10号 1966年7月18日
20:39:46 UTC
1966年12月29日 1966-065A ジェミニ10号を加速し、遠地点763kmの軌道に投入、3,175-kg
GATV-5006 ジェミニ11号 1966年9月12日
13:05:01 UTC
1966年12月30日 1966-080A ジェミニ11号を加速し、遠地点1,374kmの軌道に投入、3,175-kg
微小重力を用いた姿勢制御の研究
GATV-5001A ジェミニ12号 1966年11月11日
19:07:58 UTC
1966年12月23日 1966-103A ATVのエンジン不調のため、軌道変更試験は行わず、
テザーによる重力姿勢制御の実験、3,175-kg

外部リンク

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