わが母の記
映画作品
概要
編集昭和の文豪である井上靖が68歳の時に出版した自伝的小説。老いた母の80歳から亡くなる89歳について書かれた「花の下」(1964年)、「月の光」(1969年)、「雪の面」(1974年)の3部作となっている。
『しろばんば』などに描かれている5歳の時から8年間、伊豆の山奥の土蔵で彼を育てた曽祖父の妾で小説家の伊上洪作(いがみこうさく)とは血の繋がらない「おぬいばあさん」(実在の名は「おかの」)との生活について、自分は捨てられたのではないかという疑問があった。ある朝、おぬいに息子を奪われたという母親・八重の言葉に感情を抑えられなくなった伊上は、初めて母と対決しようと「息子さんを郷里に置き去りにしたんですよね」と問いつめる。しかし、八重の口からこぼれたのは、伊上が想像もしなかったある「想い」だった。
書誌情報
編集- 講談社『わが母の記』 1975年発行 ASIN B000J967XG
- 講談社文庫『わが母の記 花の下・月の光・雪の面』 1977年5月発行 ASIN B000J8UDEQ
- 講談社文芸文庫『わが母の記 花の下・月の光・雪の面』 1997年7月発行 ISBN 978-4061975750
- 岩波書店『井上靖短篇集 第五巻』 1999年4月発行 ISBN 978-4000263054
- 講談社文庫『わが母の記』 2012年3月発行 ISBN 978-4062772228
映画
編集わが母の記 | |
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Chronicle of My Mother | |
監督 | 原田眞人 |
脚本 | 原田眞人 |
原作 | 井上靖 |
製作総指揮 | 石塚慶生 |
出演者 |
役所広司 樹木希林 宮﨑あおい ミムラ 南果歩 キムラ緑子 真野恵里菜 |
音楽 | 富貴晴美 |
撮影 | 芦澤明子 |
編集 | 原田遊人 |
制作会社 | ピーズ・インターナショナル |
製作会社 | 「わが母の記」製作委員会 |
配給 | 松竹 |
公開 | 2012年4月28日 |
上映時間 | 118分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
製作費 | 2.8億円 [1] |
興行収入 | 13.3億円[2] |
映画『わが母の記』(英題:Chronicle of My Mother)は、2012年に公開された。監督は原田眞人、主演は役所広司と樹木希林。第35回モントリオール世界映画祭審査員特別グランプリ受賞。
キャッチコピーは「たとえ忘れてしまっても、きっと愛だけが残る。」
井上靖の育った地である伊豆市や沼津市にて、地元の全面支援体制でロケ撮影が行われ、実際に東京都世田谷区にある井上の自邸でも行われた[3]。
全国223スクリーンで公開され、2012年4月28、29日の初日2日間で興収1億1859万9200円、動員10万8720人となり、映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)で初登場第5位となった[4]。
キャスト
編集- 伊上洪作(伊上家の長男、作家) - 役所広司
- 八重(伊上家の母) - 樹木希林
- 琴子(洪作の三女) - 宮﨑あおい
- 志賀子(伊上家の長女・明夫の妻) - キムラ緑子
- 桑子(伊上家の次女、自称古美術商) - 南果歩
- 郁子(洪作の長女) - ミムラ
- 紀子(洪作の次女) - 菊池亜希子
- 瀬川(カタツムリの瀬川・運転手兼書生のち編集者) - 三浦貴大
- 貞代(女中) - 真野恵里菜
- 美津(洪作の妻) - 赤間麻里子
- 隼人(伊上家の父) - 三國連太郎 ※2013年4月14日に死去したため、これが遺作となった。
- 明夫(志賀子の夫) - 小宮孝泰
- 若き日の八重 - 内田也哉子(クレジットなし)
- 女給 - 大久保佳代子
- クールなダンプ男 - 橋本じゅん
- 米子 - 仁山貴恵
- 珠代(洪作の秘書) - 伊藤久美子
- 轟 - 齋賀正和
- 落合 - 藤井宏之
- 井上肇
- 高川裕也
- 池田良
- しゅはまはるみ
- 矢柴俊博
- 佐伯新
- 樋渡真司
- 望月章男
- 日向丈
- 瀧川英次
- 佐渡山順久
- 昇(郁子の夫) - 長澤壮太郎
スタッフ
編集- 監督・脚本 - 原田眞人
- 原作 - 井上靖『わが母の記 花の下・月の光・雪の面』(講談社刊)
- プロデューサー - 石塚慶生
- 撮影 - 芦澤明子
- 美術 - 山崎秀満
- 照明 - 永田英則
- 衣装 - 宮本まさ江
- 編集 - 原田遊人
- 音楽 - 富貴晴美
- 録音 - 松本昇和
- 整音 - 矢野正人
- 音響効果 - 柴崎憲治
- ヘアメイク - 吉野節子
- スクリプター - 川野恵美
- DIT/VE - 鏡原圭吾
- VFXスーパーバイザー - 小田一生
- VFX - ナイス・デー
- 音楽プロデューサー - 竹中恵子
- 装飾 - 佐原敦史
- 小道具 - 片岸雅浩
- 助監督 - 谷口正行
- 制作担当 - 金子拓也
- ラインプロデューサー - 樋口慎祐
- スタジオ - 東映東京撮影所
- 現像 - 東京現像所
- 取材協力 - 神奈川近代文学館、逓信総合博物館、商船三井、伊豆近代文学博物館
- 協力 - 「わが母の記」を支援する会(静岡県、沼津市、伊豆市、伊東市、沼津商工会議所、フィルムコミッション伊豆、ハリプロ映像協会、井上靖記念文化財団、井上靖ふるさと会、伊豆市観光協会天城支部、天城湯ヶ島温泉旅館組合、伊東商工会議所、沼津観光協会、沼津青年会議所、沼津市商店街連盟、沼津ホテル旅館協同組合、フィルム微助人、NPOサプライズ ほか)
- 協賛 - スルガ銀行、井上靖文学館、朝日生命、ほか
- 配給 - 松竹
- 製作プロダクション - ピーズ・インターナショナル
- 製作 - 「わが母の記」製作委員会(松竹、キングレコード、電通、衛星劇場、中部日本放送、ワコー、Yahoo! JAPAN、朝日新聞社、静岡新聞社)
- 文部科学省特別選定(青年向き、成人向き、家庭向き)
受賞歴
編集- 第35回モントリオール世界映画祭 審査員特別グランプリ
- 第16回釜山国際映画祭 クロージング作品
- 第47回シカゴ映画祭 コンベンション部門
- 第31回ハワイ映画祭 Spotlight on Japan部門
- 第42回インド映画祭 Kaleidoscope部門
- 第23回パームスプリングス国際映画祭 Modern Masters部門
- 第4回TAMA映画賞
- 最優秀男優賞(役所広司)
- 最優秀女優賞(樹木希林、宮崎あおい)
- 第67回毎日映画コンクール 撮影賞 - 芦澤明子[5]
- 第25回日刊スポーツ映画大賞 - 助演女優賞(樹木希林)
- 第36回日本アカデミー賞 最優秀主演女優賞(樹木希林)
- 優秀作品賞、優秀監督賞(原田眞人)、優秀脚本賞(原田眞人)、優秀主演男優賞(役所広司)、優秀助演女優賞(宮崎あおい)、優秀音楽賞(富貴晴美)、優秀撮影賞(芦澤明子)、優秀照明賞(永田英則)、優秀美術賞(山崎秀満)、優秀録音賞(松本昇和(録音)/矢野正人(整音))、優秀編集賞(原田遊人)
- 2012度全国映連賞
- 作品賞
- 男優賞:役所広司
- 特別賞:芦澤明子(撮影)
関連作品
編集出典
編集- ^ 樹木希林、認知症の役は「やりたがる役者がいないので私に回ってくる(笑)」、cinemacafe.net、2012年4月18日。
- ^ 2012年興行収入10億円以上番組 (PDF) - 日本映画製作者連盟
- ^ 『わが母の記』で原田組初参加の宮崎あおいに堺雅人がアドバイス!? 2012年5月7日 ムービーコレクション
- ^ 『テルマエ・ロマエ』公開4日で8億円突破の大ヒットスタート!! 初登場トップ獲得!シネマトゥデイ 2012年5月2日
- ^ 鈴木隆; 広瀬登 (2013年1月18日). “毎日映画コンクール:大賞は「終の信託」”. 毎日jp. 毎日新聞社. pp. 1-2. 2013年2月7日閲覧。