ぱじ
『ぱじ Momo-chan's grandfather "Paji"』は、村上たかしによる日本の漫画作品。集英社の『週刊ヤングジャンプ』に1999年から2004年にかけて連載された4コマ漫画。
ぱじ Momo-chan's grandfather "Paji" | |
---|---|
漫画 | |
作者 | 村上たかし |
出版社 | 集英社 |
掲載誌 | 週刊ヤングジャンプ |
レーベル | ヤングジャンプ・コミックス |
発表期間 | 1999年 - 2004年 |
巻数 | 全9巻 |
話数 | 258話 |
漫画:(愛蔵版コミックス) | |
作者 | 村上たかし |
出版社 | 集英社 |
レーベル | ヤングジャンプ・コミックス |
発売日 | 2011年5月20日 |
巻数 | 全1巻 |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | プロジェクト:漫画 |
ポータル | Portal:漫画 |
平成12年度 第4回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞[1]。
概要
編集阪神・淡路大震災を経験した著者が「家族との平凡な毎日こそ、この上ない宝物」との思いで執筆した作品[2]という。
『ナマケモノが見てた』など、やや毒気のあるギャグ漫画を描いてきた著者は「これまで『笑えるもの』を標榜し続けて十四年、ここへきてふと、『他愛のない、うつくしい話』を描いてみたくなったんです」「自分なりに心から愛しいと思えるもの、描きたい設定を考えてみたら、老人と子どもの二人暮らしになってしまいました。結果、はからずも本作は『欠損家庭のありよう』や『高齢者の生活、生きがい』といったかなりの難問を内包しています」と語っている[3]。
単行本は2005年までに全9巻が発行されたが、2011年5月に選り抜きエピソードをまとめて描き下ろしやイラストを加えた「愛蔵版」全1巻が発行された[4]。この際、同じ著者の作品を原作とする映画『星守る犬』の主演を務めた俳優西田敏行は「大人も子どもも人は互いに支えられてこそ生きられる。漫画に描かれる2人を見て、自分も人と繋がって生きていると思った」と推薦文を寄せた[5]。
単行本中扉の作品(ぱじの絵や粘土細工、手作りパン等)は村上の長女が作成した物で、単行本9巻(最終巻)では村上が長女に「作品作りを頑張ってくれてありがとう」と感謝のコメントを記していた。
あらすじ
編集とある町で、両親を亡くした孫娘ももと、父親代わりとして彼女を育てる祖父茂吉、そしてそれを支える周囲の人々を描く[4][5]。
表題の「ぱじ」とは、ももが茂吉を「パパ代わりのおじいちゃん」の意味で使う呼び名。
登場人物
編集咲田家
編集- 咲田 茂吉(さきた もきち)
- 連載開始時では75歳。娘と娘婿を相次いで亡くし、遺された孫娘のももを親代わりとして引き取り、大事に育てている。
- ももの成長を感慨深く思う反面、少しずつ老いる自分と、今後のももの身を案じている。
- お人好しで人を騙す事ができない性分。町内会の手品教室でも、観客にタネをバラしてしまう。また涙もろく、絵本の読み聞かせや映画を観て号泣する事も。歌は非常に音痴。
- 一時は脳内出血で倒れ入院するも、無事回復する。
- かつては市電に勤めていた事があり、機械いじりが得意(ただしICが入った機械は苦手)。その腕を活かし、伊達に誘われ修理店を開業する。
- 咲田 もも(さきた もも)
- 連載開始時では4歳。誕生日は3月4日。両親を亡くし茂吉と二人暮らしだが、茂吉を「ぱじ」と呼んで慕い、周囲から優しく見守られつつ様々な事を教わり成長していく。
- どんな事でも楽しむポジティブな明るさを持つしっかり者で、茂吉や友達を気遣ったり、時には冷静にツッコミをする事もある。
- バナナやカレーライスが大好物で、バナナに貼ったシールを集めている。茂吉が耳が遠いため、普段から声が大きい。遺伝からか非常に音痴。
- 保育園に通っていたが、後に(単行本7巻から)小学校に入学。
- ガメ
- 咲田家のペットであるミシシッピアカミミガメ。
- 茂吉が自分が亡き後も孫を見守ってくれると思い、ペットショップで購入した(始めに購入した亀は翌日死んだ為、ももが交換した)。
- さんざんな目に遭わされている為、名前を呼ぶと逃げる習性がついた。
- さくら
- 茂吉の娘でももの母親。故人。幼少期はももにそっくりな顔で、男の子向けの怪獣フィギュアを集めていた模様。
- 生前に、ももへのメッセージや誕生日プレゼントを用意していた。
近隣の住民
編集- 伊達 銀二(だて ぎんじ)
- 咲田家の隣に住む発明家。年齢の割に道楽者で、かつては世界を旅したり、様々な事業に手を付けていたらしい。
- マサチューセッツ工科大学博士号を持ち、茂吉とももの会話から、一山当てようと新しいビジネスや発明を思いつく事もある。
- 娘はアイドルの春日 うらら(55歳の時にできた子供らしい)。自分は家族を捨てた身のため、陰ながら応援している。
- 「人に使われるのはイヤ」という性分で、茂吉と共に修理店を開業する。
- ハルさん
- 茂吉の茶飲み友達のお婆さん。物知りで、茂吉やももに機転の利いたアドバイスを伝授する。
- ももの観ていたアニメ番組の展開やシュールストレミングの開缶方法まで知っているなど雑学も豊富。
- 裁縫・料理をはじめ、鍼の免状を持っていたり線香花火を自作したりと多才だが、絵画や造形は苦手。
- 茂吉にひそかな想いを寄せている。
- よもぎ
- ハルの孫娘。大学生からハルの家に居候する。
- 栗本を「サルに祟られたロックンローラー」(栗本が彼女の前で赤面する事や「六浪」をごまかすためついた嘘)と信じ込んでいる。
- 栗本 幸夫(くりもと ゆきお)
- 大学受験に落ち続け、六浪までしている青年。
- 伊達が勉強を教える師匠役につくものの、要領が悪く空気も読むことも下手で、しばしば呆れさせる言動をとる。
- よもぎに一目惚れし、彼女が通う大学の学園祭で告白するが振られてしまう。
- ママ
- 伊達の行きつけのスナック“うつぼかずら”のママ。迫力のある顔で、ももに「自分で倒した毛皮を着ている」と思われた。
- 若い頃はレースクィーン志望だったらしい。
保育園・小学校
編集- 南 ヨリ(みなみ ヨリ)
- ももが通う保育園に転入し、ももの親友になった女の子。小学校でもクラスメイトとなる。
- 家は8人兄弟・13人暮らしの大家族で、大家族もののテレビ番組『南さん家が大変だぁー!!』に出ている。
- 南家では兄弟にお下がりを回せるように、持ち物の名前部分に大きく余白を取ってあったり、かまくらを「増築」と呼んでいたりする。
- 「カエル顔」と呼ばれるのを気にしている。
- ノリくん
- ももが通う保育園・小学校のクラスメイトの男の子。
- やんちゃで大ざっぱな性格。奔放な行動で周りを戸惑わせる。
- 薔薇園 ミキ(ばらぞの ミキ)
- ももが二年生になってからクラスメイトになった女の子。売れっ子子役でもあり負けず嫌い。
- すみれ
- ももが通う保育園の保母。自身も男手一つで育てられたらしく、咲田家には思い入れがある。
- 海野 もくず(うみの もくず)
- ももが通う小学校の担任教師。1年3組担当。ネガティブな性格で、家庭訪問では行く先々で動物に噛み付かれる。梅雨時には体に菌糸が生える。
- 山野 こりす(やまの こりす)
- 身長145センチと小柄な教師で、校内見学や卒業式では六年生の児童達からいじられてしまう。1年1組担当。
- 畑野 めぐみ(はたけの めぐみ)
- こりすとは逆に大柄な教師。1年2組担当。
- 給食のおじさん
- 小学校の給食室で働く、職人気質のがんこ親父。作る給食は美味しく評判だが、いかつい顔のため初めて会う一年生は失神者が続出する。
サルスベリ総合病院
編集- 杉村(すぎむら)さん
- 茂吉が病院へ入院した時に出会った患者。オネエ口調で、自らおかまと告白している。
- 長年入院しているため、病院の“主(ぬし)"と呼ばれる存在になっており、医師以上に病院の知識や内情に詳しい。院内で文化祭・運動会・卒業式などの行事も仕切る。
- 双子の弟で、兄弟共に「おすぎ」(名字の“杉村”から)と呼ばれている。
- 鮎(あゆ)ちゃん
- ギャル風の入院患者で病院のファッションリーダー。「厚底松葉杖」や「ドス黒メイク」を流行させた事もある。
- 木下 豊(きのした ゆたか)
- 医師。色白で患者以上に病弱。酒に酔うと泣き上戸になる。
- 院長
- 杉村さんの言動に翻弄されながらも、院内の行事には神輿を担いだり積極的に参加している。
書誌情報
編集- 村上たかし『ぱじ Momo-chan's grandfather "Paji"』集英社<ヤングジャンプ・コミックス>、全9巻
- 第1巻(2000年2月23日発行) ISBN 978-4088758817
- 第2巻(2000年10月24日発行) ISBN 978-4088760711
- 第3巻(2001年5月23日発行) ISBN 978-4088761565
- 第4巻(2001年12月15日発行) ISBN 978-4088762432
- 第5巻(2002年8月24日発行) ISBN 978-4088763354
- 第6巻(2003年4月23日発行) ISBN 978-4088764122
- 第7巻(2003年10月22日発行) ISBN 978-4088765082
- 第8巻(2004年7月21日発行) ISBN 978-4088766393
- 第9巻(2005年2月23日発行)ISBN 978-4088767529
- 村上たかし『ぱじ Momo-chan's grandfather "Paji"』(愛蔵版)集英社<ヤングジャンプ・コミックス>、全1巻
テレビドラマ
編集ぱじ 〜ジイジと孫娘の愛情物語〜 | |
---|---|
ジャンル | テレビドラマ |
原作 | 村上たかし |
脚本 | 末安正子 |
監督 | 阿部雄一 |
出演者 |
伊東四朗 小林星蘭 井上真央 ほか |
エンディング | 福原美穂「THANK YOU」 |
製作 | |
プロデューサー |
小川治(チーフプロデューサー) 瀧川治水 布施等(MMJ) |
制作 |
テレビ東京 MMJ |
放送 | |
放送国・地域 | 日本 |
放送期間 | 2013年3月27日 |
放送時間 | 21:00 - 23:08 |
放送分 | 128分 |
回数 | 1 |
公式サイト |
ヒューマンドラマスペシャル『ぱじ〜ジイジと孫娘の愛情物語〜』(ぱじ〜ジイジとまごむすめのあいじょうものがたり〜)と題して、テレビ東京系列にて2013年3月27日の21時から23時8分(JST)に放送された。
キャスト
編集- 咲田 茂吉〈71〉 - 伊東四朗
- 咲田 もも〈5〉 - 小林星蘭(中学時代:松井ひなた)
- 咲田 もも〈25〉 - 井上真央(特別出演)
- 南 ヨリオ〈5〉 - 須田琉雅
- 南 ヨリオ〈25〉 - 牧田哲也
- 水野 さくら〈享年31〉 - ミムラ
- 水野 研助〈63〉 - 森本レオ
- 水野 和江〈61〉 - 田島令子
- 伊達 銀二〈65〉 - 伊武雅刀
- 青木 ハル〈68〉 - 吉行和子
- 山神 行雄〈62〉 - 三宅裕司(友情出演)
- 進藤 すみれ〈27〉 - 三倉茉奈
- 南 明子 - 西尾まり
- 青木 よもぎ〈15〉 - 宮武美桜
- 相川 肇 - 相島一之
- 医師 - 春海四方
- 勝野 - 飯田基祐
- 高橋 早紀 - 奥田恵梨華
- 小林 あゆみ - 遠藤璃菜
スタッフ
編集- 原作 - 村上たかし『ぱじ』(ヤングジャンプ愛蔵版 / 集英社)
- 脚本 - 末安正子
- 監督 - 阿部雄一
- 主題歌 - 福原美穂「THANK YOU」(gr8!records)
- 演出補 - 谷口和彦
- サウンドデザイン - 石井和之
- CG - 小原彰夫
- マジック指導 - 麻友子
- 医療監修 - 井原義二
- 看護指導 - 石田喜代美
- 技術協力 - ビデオスタッフ、フォーチュン、ブル
- 美術協力 - テレビ朝日クリエイト
- 照明協力 - ザ・ホライズン
- チーフプロデューサー - 小川治(テレビ東京)
- プロデューサー - 瀧川治水(テレビ東京)、布施等(MMJ)
- プロデューサー補 - 荒木俊晴
- 製作 - テレビ東京、MMJ
放送局・放送時間
編集放送対象地域 | 放送局 | 系列 | 放送日・放送時間 | 備考 |
---|---|---|---|---|
関東広域圏 | テレビ東京 | テレビ東京系列 | 2013年3月27日 21:00 - 23:08 | 制作局 |
北海道 | テレビ北海道 | 同時ネット | ||
愛知県 | テレビ愛知 | |||
大阪府 | テレビ大阪 | |||
岡山県・香川県 | テレビせとうち | |||
福岡県 | TVQ九州放送 | |||
岐阜県 | 岐阜放送 | 独立放送局 | ||
滋賀県 | びわ湖放送 | |||
秋田県 | 秋田テレビ | フジテレビ系列 | 2013年6月8日 12:00 - 14:10 | |
山形県 | 山形放送 | 日本テレビ系列 | 2013年6月15日 14:00 - 16:10 | |
和歌山県 | テレビ和歌山 | 独立放送局 | 2013年6月28日 20:00 - 22:10 | |
愛媛県 | あいテレビ | TBS系列 | 2013年6月30日 14:00 - 16:06 | |
熊本県 | 熊本放送 | 2013年8月17日 12:10 - 14:20 | ||
新潟県 | 新潟テレビ21 | テレビ朝日系列 | 2013年9月13日 26:25 - 28:35 | |
福井県 | 福井テレビ | フジテレビ系列 | 2013年12月30日 14:30 - 16:42 | |
石川県 | 北陸朝日放送 | テレビ朝日系列 | 2014年1月3日 15:15 - 17:40 | |
福島県 | 福島放送 | 2014年1月4日 13:00 - 15:10 |
脚注
編集- ^ “平成12年度[第4回]文化庁メディア芸術祭 受賞作品”. 文化庁. 2013年1月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年2月9日閲覧。
- ^ a b “村上たかしの名作『ぱじ』、伊東四朗&小林星蘭でドラマ化”. ORICON STYLE (2013年2月9日). 2013年2月9日閲覧。
- ^ 単行本1巻あとがきより。
- ^ a b “村上たかし「ぱじ」選り抜き版発売!ひとコマぱじブログも”. コミックナタリー (2011年5月17日). 2013年2月9日閲覧。
- ^ a b “パパ代わりのおじいちゃん『ぱじ』4コマ漫画傑作選が復刻発売”. ORICON STYLE (2011年5月20日). 2013年2月9日閲覧。
- ^ “伊東四朗で人気コミック「ぱじ」ドラマ化”. SANSPO.COM (2013年2月9日). 2013年2月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年2月9日閲覧。
- ^ “【5月20日付】本日発売の単行本リスト”. コミックナタリー (2011年5月20日). 2013年2月9日閲覧。