すべての犬は天国へ行く
『すべての犬は天国へ行く』(すべてのいぬはてんごくへいく、EVERY DOG GOES TO HEAVEN)は、ケラリーノ・サンドロヴィッチの戯曲。劇団「ナイロン100℃」により21st Sessionとして東京・本多劇場で2001年4月6日に初演、論創社より2002年8月25日に刊行の同名戯曲集に収録された。第1回朝日舞台芸術賞受賞作[注 1]。 本作は、殺し合いの果てに男たちが死に絶え、女だけの町となったアメリカ合衆国西部の町で[1]、古びた居酒屋を舞台に[2]、残された女たちの狂気をシリアスかつコミカルに描いた西部劇である[3][4]。
すべての犬は天国へ行く | |
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訳題 | every dog goes to heaven |
作者 | ケラリーノ・サンドロヴィッチ |
国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
ジャンル | 戯曲 |
初出情報 | |
初出 | 舞台公演 |
刊本情報 | |
収録 | 『すべての犬は天国へ行く』 |
出版元 | 論創社 |
出版年月日 | 2002年8月25日 |
初演情報 | |
公演名 | ナイロン100℃ 21st Session |
場所 | 本多劇場 |
初演公開日 | 2001年4月6日 |
劇団 | ナイロン100℃ |
受賞 | |
第1回朝日舞台芸術賞[注 1] | |
ポータル 文学 ポータル 舞台芸術 |
2015年、劇団「ぬいぐるみハンター」により上演。同年、プラチナ・ペーパーズの堤泰之の演出によってリメイクされた[5]。
あらすじ
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西部開拓時代、ある町の居酒屋兼娼館で、小間使いの母子が掃除に来るところから物語は始まる[2]。殺し合いによって男たちは皆死に、残された女たちは途方に暮れ、ただ酒を飲むほかなく、居酒屋の二階にある売春宿は商売が立ち行かなくなっていた[2]。 彼女たちは男がいた時のようにふるまうが、やがて町の奇妙なバランスがやがて女たちを蝕んでいき[3]、次第に壊れていく[6][2]。
登場人物
編集上演
編集リメイク版はネルケプランニングの松田誠によって提案され[9]、発表に伴い、脚本を担当したケラリーノ・サンドロヴィッチはアイドルがアイドルでなくなるかもしれないことを悩み考え抜いた結果[10]、「なにより、ああした世界にいながらこうした作品に挑んでくれたことを評価。が、問題を挙げればキリがない」と振り返った[11]。
劇中には過激な表現や暴力的な描写が含まれ[3]、リメイク版を担当した乃木坂46の桜井玲香と松村沙友理はラブシーンを演じ[12]、舞台初挑戦となる生駒里奈は[4]、決意表明として[13]、役作りのために前髪を切った[14]。
日程
編集オリジナル版(日程)
編集ナイロン100℃ 21st Sessionとして、2001年4月6日から4月22日まで東京・本多劇場にて上演。
ぬいぐるみハンター版(日程)
編集ぬいぐるみハンタープロデュース公演として、2015年4月29日から5月10日まで王子小劇場にて上演。
リメイク版(日程)
編集2015年10月1日から12日までAiiA 2.5 Theater Tokyoで上演。
キャスト
編集オリジナル版(キャスト)
編集以下は2001年の4月6日から22日までの上演時のキャストである[要出典]。
- エルザ - 犬山犬子[15]
- エリセンダ - 峯村リエ[15]
- クレメンタイン - 松永玲子[15]
- エバ - 今江冬子[15]
- マリネ - 長田奈麻[15]
- メリィ - 澤田由紀子[要出典]
- チビ - 新谷真弓[15]
- カトリーヌ - 杉山薫[要出典]
- ガス - 村岡希美[15]
- カトリーヌ(グルーバッハ夫人) - 安沢千草[15]
- カミーラ - 明星真由美[要出典]
- 医者の妻 - 横町慶子(ロマンチカ)[要出典]
- クローディア - 森野文子[要出典]
- デボア - 戸川純[要出典]
- 靴屋の少女 - 植木夏十[15]
- 取り巻きA - 皆戸麻衣[15]
ぬいぐるみハンター版(キャスト)
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リメイク版(キャスト)
編集以下は2015年10月1日から12日まで、AiiA 2.5 Theater Tokyoで上演された舞台のキャストである[16]。上演当時の乃木坂46メンバーは太字で表記。
- メリィ - 生駒里奈[17]
- クレメンタイン - 伊藤万理華[17]
- エルザ - 井上小百合[17]
- ガス - 斉藤優里[17]
- キキ、ボレーロ(男) - 桜井玲香(1人2役)[18]
- カトリーヌ、新聞配達の少女 - 新内眞衣(1人2役)[19]
- クローディア - 松村沙友理[20]
- マリネ - 若月佑美[17]
- エリセンダ - 東風万智子[17]
- カミーラ - 猫背椿[17]
- エバ - 柿丸美智恵[17]
- リトルチビ - ニーコ[17]
- グルーバッハ夫人 - 山下裕子[17]
- デボア - 鳥居みゆき[21]
- アンサンブル - 甚古萌[16]
- アンサンブル - 音華花(ex. ナト☆カン)[16]
- アンサンブル - 榎本美鈴[16]
- アンサンブル - 谷松香苗[16]
- アンサンブル - 伊藤桃花[16]
- アンサンブル - 山田琴美[16]
スタッフ
編集オリジナル版(スタッフ)
編集ぬいぐるみハンター版(スタッフ)
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リメイク版(スタッフ)
編集- 脚本 - ケラリーノ・サンドロヴィッチ[2]
- 演出 - 堤泰之[2]
- 制作 - ネルケプランニング[2]
評価
編集リメイク版(評価)
編集香月孝史はリメイク版を「キャストが『アイドル』という枠組みから外れて俳優として立ち回るための基盤の足掛かり」と位置づけ[22]、「アイドルと言うイメージからの脱却ではなく、アイドルと言うイメージの拡張である」とした[23]。 香月は、リメイク版の内容について「救いようのなさとコメディを両立させることが困難であることを示した作品だからこそ、東風万智子ら客演メンバーの力がなくては成り立たなかった」とし、陰鬱かつ閉鎖的な秀作と評した[23]。 実際、ラストシーンに登場する5人のうち4人は客演メンバーであり、重要な役回りを演じるデボアがその一人に含まれていたことについて、香月はアイドルを主演に据えることよりも戯曲と演出を尊重することを優先したとみており、リメイク版にとって必要不可欠だったと評している[23]。
受賞歴
編集オリジナル版(受賞歴)
編集ぬいぐるみハンター版(受賞歴)
編集書誌情報
編集- すべての犬は天国へ行く(2002年8月25日、論創社、ISBN 978-4-8460-0269-5) - 「テイク・ザ・マネー・アンド・ラン」を併録
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ “乃木坂46が舞台初日 ラブシーンに松村「恥ずかしい」”. SANSPO.COM (産経デジタル). (2015年10月1日) 2015年10月1日閲覧。
- ^ a b c d e f g “舞台「すべての犬は天国へ行く」特集”. OVERTURE〜輝け!!ミュージカル少女達〜 (BitPure). (2015年10月2日). オリジナルの2016年12月13日時点におけるアーカイブ。 2015年10月2日閲覧。
- ^ a b c “乃木坂46が異色の西部劇に挑む「すべての犬は天国へ行く」開幕 「ビックリして帰っていくような舞台を作りたい」”. TOKYO POP LINE (添野企画). (2015年10月1日) 2015年10月1日閲覧。
- ^ a b “乃木坂46生駒里奈、初舞台で“オンザ眉”に 「アイドルでもちゃんとやる!」女優魂見せる”. モデルプレス (ネットネイティブ). (2015年10月1日) 2015年10月1日閲覧。
- ^ 中村拓海 (2015年10月2日). “乃木坂46、舞台『すべての犬は天国に行く』初日ゲネプロレポート メンバーの演技力が強く光る内容に”. Real Sound (blueprint) 2015年10月2日閲覧。
- ^ “生駒ちゃん、決意の前髪バッサリ 乃木坂46舞台開幕”. 中日スポーツ(CHUNICHI Web) (中日新聞社). (2015年10月2日). オリジナルの2015年10月2日時点におけるアーカイブ。 2015年10月2日閲覧。
- ^ “「アイドルの壁をぶち壊したい」乃木坂46熱演の舞台開幕”. ナタリー (ナターシャ). (2015年10月17日) 2015年10月17日閲覧。
- ^ 香月孝史 (2015年11月13日). “乃木坂46が「内と外」をつなぐ最新舞台公演 - 乃木坂46論 第4回”. BLOGOS. LINE. 2015年12月31日閲覧。
- ^ 今野義雄(インタビュアー:香月孝史)「乃木坂46運営・今野義雄氏が語る、グループの“安定”と“課題” 「2016年は激動の年になる」」『Real Sound』、2016年1月30日 。2016年1月30日閲覧。
- ^ 真紀和泉 (2015年10月16日). “乃木坂46、舞台『すべての犬は天国に行く』初日ゲネプロレポート メンバーの演技力が強く光る内容に”. Techinsight (メディアプロダクツジャパン) 2015年10月16日閲覧。
- ^ 石田安竹 (2015年10月17日). “過激シーンも! 乃木坂46の本格舞台で映画関係者が目を光らせたメンバーは?”. アサ芸プラス (メディアプロダクツジャパン) 2015年10月17日閲覧。
- ^ “乃木坂・松村沙友理 色気解放!?”. デイリースポーツ online (デイリースポーツ). (2015年10月2日) 2015年10月2日閲覧。
- ^ “乃木坂46の生駒里奈、初舞台で女優魂「決意表明として前髪を切りました!」”. マイナビニュース (マイナビ). (2015年10月2日) 2015年10月2日閲覧。
- ^ “乃木坂・松村沙友理、桜井玲香とラブシーン「色気が開放」”. ORICON STYLE (oricon ME). (2015年10月1日) 2015年10月1日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k “ナイロン100℃”. ナイロン100℃. ナイロン100℃ (2015年). 2015年12月31日閲覧。
- ^ a b c d e f g “乃木坂46生駒里奈ら、ナイロン100℃の名作舞台リメイクに挑戦”. ナタリー (ナターシャ). (2015年9月14日) 2015年9月14日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j “乃木坂46松村沙友理&桜井玲香が初ラブシーン挑戦”. nikkansports.com (日刊スポーツ新聞社). (2015年10月1日) 2015年10月1日閲覧。
- ^ 桜井玲香 (2015年10月23日). “2015.10.23”. 乃木坂46 桜井玲香 公式ブログ. 乃木坂46LLC. 2015年10月23日閲覧。
- ^ “これは、壊れた女たちの西部劇──乃木坂46が歩む新たな道。舞台『すべての犬は天国に行く』”. ダ・ヴィンチニュース (KADOKAWA). (2015年10月28日) 2015年10月28日閲覧。
- ^ “乃木坂46松村&桜井「色気開放」ラブシーン初挑戦”. nikkansports.com (日刊スポーツ新聞社). (2015年10月2日) 2015年10月2日閲覧。
- ^ 真紀和泉 (2015年10月7日). “乃木坂46、舞台『すべての犬は天国に行く』初日ゲネプロレポート メンバーの演技力が強く光る内容に”. Techinsight (メディアプロダクツジャパン) 2015年10月7日閲覧。
- ^ 香月孝史 (2015年10月14日). “乃木坂46が舞台『すべての犬は天国へ行く』で手にした、グループとしての強靭な武器(1ページ目)”. リアルサウンド. 2015年10月20日閲覧。
- ^ a b c 香月孝史 (2015年10月14日). “乃木坂46が舞台『すべての犬は天国へ行く』で手にした、グループとしての強靭な武器(2ページ目)”. リアルサウンド. 2015年10月20日閲覧。
- ^ “第1回(2001年)受賞者(敬称略)”. 朝日舞台芸術賞. 朝日新聞社. 2020年7月29日閲覧。
- ^ “2015年度佐藤佐吉賞”. 花まる学習会王子小劇場. 2020年7月29日閲覧。
- ^ “佐藤佐吉賞が発表/作品部門 最優秀賞は ぬいぐるみハンター「すべての犬は天国へ行く」”. SPICE (イープラス). (2016年1月20日) 2020年7月29日閲覧。
外部リンク
編集- すべての犬は天国へ行く - 論創社
- Past Play - ナイロン100℃
- 公式ウェブサイト - NELKE PLANNING