クスノキ

クスノキ目クスノキ科の植物
くすのきから転送)

クスノキ(楠[2]・樟[3]学名: Cinnamomum camphora)とは、クスノキ科ニッケイ属の樹木である。

クスノキ
新緑のクスノキ(福岡県、5月)
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : モクレン類 Magnoliids
: クスノキ目 Laurales
: クスノキ科 Lauraceae
: ニッケイ属 Cinnamomum
: クスノキ C. camphora
学名
Cinnamomum camphora
(L.) J.Presl (1825)[1]
和名
クスノキ
英名
Camphor Laurel

形態

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常緑広葉樹[4]大高木で高さは8 - 25メートル (m) ほどになり[5]、幹回りが3 m以上になる巨木が多い[6]。生長スピードは速く[7]、暖地で特によく生育し[8]、大きなものは高さ30 m以上、目通りの周囲22 m以上、樹齢約800年という巨樹になる個体もある[9]。樹冠もゆったりと広がって大きくなり[8]、単木ではこんもりとした樹形をなす。樹皮は茶褐色から暗褐色で、縦に細く短冊状に裂ける[10][3]。若枝は無毛で、黄緑色をしている[3]

互生し、表面は緑色でつやがあり、裏面は灰緑色[2]。葉身は革質で、長さ5 - 11センチメートル (cm) の先の尖った卵形から楕円形で[10][2]、表裏面とも無毛[4]葉縁は全縁で波打つ[11]。主脈の根本近くから左右に一対のやや太い側脈が出る三行脈である[3]が、幼木の場合は見えづらく羽状脈にも見える。

三行脈の分岐点には1ミリメートル (mm) ほどの一対の小さな膨らみがあり、この内部に空洞があって葉の裏側で開口している[3][11]。これをダニ室という(後述[5]。春の芽吹きの若葉は、はじめ赤くやがて明るい緑色になり[12]葉柄が赤色のものと緑色のものがあり、赤いものが多いと全体として視覚的に赤っぽく感じられ目につく[8]。葉の寿命はほぼ1年で、春(4月末 - 5月上旬)に新しい葉が出るときに、古い葉が赤く紅葉して一斉に落葉する[13][2]

花期は初夏(5 - 6月)で、葉の付け根から円錐花序を直立させて、直径5 mmほどの小さなが多数咲く[14][10][2]。花色は、はじめは白色であるが、あとに黄緑色を帯びる[4]花被片は6個ある[10]

果期は秋(10 - 11月)。果実は直径7 - 9ミリメートル (mm) 程度の球形の液果で、はじめは淡緑色だか11 - 12月になると黒色に熟す[14][10][4]。果皮の中には、直径5 - 6 mm程度の種子が一つ入っている[4]が食べて種子散布に与るが、人間の食用には適さない。種子は産地によって大きさに差があるという[15]

冬芽は赤褐色をした長卵形で、芽鱗に覆われている。芽鱗には毛がある。一年生枝は緑色ないし褐色で光沢がある。切断面の髄は白色で五角形をしている[16]

生態

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挿し木繁殖も容易である。成長速度や耐乾性は実生苗よりも良いという[17]

クスノキはアレロパシーが強く他の植物の生育を阻害している報告がある[18]

陰樹であるが成長は早く、素早く林冠に達して優勢になる戦略だと見られている[19][20]。クスノキの葉の寿命は約1年で旧葉は4月ごろ落葉するが、すぐに新芽が展開するので「常緑樹」となる。年間を通したクロロフィルの動態に着目すると、クスノキは新芽の展開時から光合成能力が高く、落葉樹で極めて成長が速いケヤキに似ているという[21]

海岸地帯、落ち葉を頻繁に除去し土壌がむき出しの寺社の境内や都市公園など乾燥の激しい地域によく出現することから、クスノキの耐乾性についてはよく研究されている[22][23]

耐塩性も比較的高く、高潮で海水が浸水するような状況でも萌芽更新で再生する[24]

葉はアオスジアゲハの幼虫が食べることで知られる。カラスは新芽を食べるという[25]

暖地の半日陰を好み、寒さには弱い性質で、土壌の質は砂礫土がよく、根は深く張る[12]。植栽適期は3月中旬 - 4月下旬・6月下旬 - 7月上旬・9月と言われ[4]、植え付けは暖かくなった5 - 9月に行い、剪定は3月下旬 - 4月に行う[12]。施肥の必要はない[12]

ダニ室

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葉の三行脈の根元には2か所の小さい穴が開いておりダニが住んでいる。これをダニ室という。このダニ室には捕食性のダニ(カブリダニ)が住んでおり、クスノキに害を与える草食性のダニ(フシダニ)を捕食し、駆除してもらう役割があると見られている。クスノキのダニ室には他の植物のものとは違った面白い性質が知られており、共生関係にある捕食性のダニを住まわせるだけでなく、敵対関係にある草食性のダニも住まわせている。これにより捕食性ダニにとっては餌を食べつくすことなく、安定して供給されている状態となる。クスノキとしては捕食性ダニが葉に定住してもらうことで、フシダニの害を低く抑える利点があると考えられている[26]

フシダニは葉の展開に合わせて新しい葉のダニ室へと移動していく[27]

ダニ室自体はクスノキ以外にも多くの植物から発見されている。ダニ室やフシダニついて日本語で読めるものとしては西田(2004)や上遠野(2003)の総説論文に詳しい[28][29]

分布

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東アジアおよび東南アジア一帯に分布する。日本では関東地方南部から九州にかけての太平洋側、および瀬戸内海沿岸に広く分布する。九州北部を除く日本海側は一般的に分布を欠くが、山陰地方に局所的に分布が見られる。南西諸島の分布は局所的で、奄美大島など自然分布ではないとされる島もある。史前帰化植物といわれることもあり、自然分布域には謎がある。

後述のように樟脳の取れる有用樹であり、各地に植林も行われたことも自然分布を不明にさせている。樟脳が合成樟脳に代わり放置され野生化しているところもある[30]

遺跡調査から大阪周辺でクスノキやカシ類などの常緑樹が優勢になったのは縄文時代、約7300年前の鬼界アカホヤ火山灰の降灰後であるといい、それまでは落葉広葉樹林が優勢だったという[31]

人間との関係

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薬用

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クスノキの最も有名な用途は樟脳の採取である。木部ないし葉を原料とし抽出する。木部を採集したものは樟木(しょうぼく)と呼ばれていた[9][32]。現在では伐採されることは稀で、枝葉からの採取が多いという[9]

樟脳には防虫効果があり、衣類の防虫剤として箪笥に入れられた[32]。葉や煙は防虫剤、鎮痛剤として用いられ、作業の際にクスノキを携帯していたという記録もある。江戸時代には、夏に夕暮れ時にクスノキの葉を焚いて、蚊遣りとしたほか、その煙に包まれて「自然養生にも良きよしと言えり」といった記録が残されている[9]。樟脳を精製したものはオランダ語でKamferといい、日本でもこれをカナ転写した「カンフル」とも呼ばれる。カンフルは、強心剤として注射薬に使われるほか、神経痛打撲に用いる軟膏チンキ、歯科用フェノールカンフルなど製薬原料として重要である[9][32]

民間療法では、疲労回復、肩こり腰痛、神経痛、リウマチなどの痛みを和らげるために、陰干しにした葉を布袋に入れて、浴湯料として風呂に入れる使い方が知られている[9]。また、1日量1 - 3グラムの木部(樟木)を400 ccの水に入れて30分ほど煎じ、3回に分けて服用する用法が知られる[32]

内服薬ではなく、貼り薬として使用した場合でも、発作を伴う副作用が起こることがあり、妊婦や子供に使用するべきではないとされる[33]

クスノキの生育に適するかつて台湾が日本領だったこともあり、日本の樟脳の生産量が世界一だったこともある。

抽出に当たって難しい装置は必要なく、簡易的な水蒸気蒸留でよい。葉を粉砕して水と混ぜ合わせ加熱し、発生した蒸気を冷却させ樟脳を得る。抽出された樟脳で防虫効果を確認するなどの応用もでき、学校の実験教材としても良いという[34]

木材

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気乾比重は0.5程度、辺材部は黄褐色、心材部は変位が大きいものが赤褐色になる。道管の配置は散孔材。

材は、古木になるほど年輪が入り組んで、材のひき方によって様々な模様のが現れる[2]。枝分かれが多く直線の材料が得難いという欠点はあるが、虫害や腐敗に強いため、古来から船の材料として重宝されていた[35]。古代の西日本では丸木舟の材料として、また、大阪湾沿岸からは、クスノキの大木を数本分連結し、舷側板を取り付けた古墳時代の舟が何艘も出土している。その様は、『古事記』の「仁徳記」に登場するクスノキ製の快速船「枯野」(からぬ)の逸話からも窺うことができる[36]。室町から江戸時代にかけて、軍船の材料にもなった。

仏像の材料としても使われた。木像の原料となる木は時代によって異なり、クスノキを原料とするものは比較的古く飛鳥時代ごろのものが多いとされる[37]玉虫厨子は主にヒノキ材で作られているが、蓮の花の部分だけはクスノキ材が使われているという

1940年、戦時色の強まった日本では、用材生産統制規則により特定の樹種の材について用途指定を実施。クスノキの使用用途については樟脳製造に限ることとなった[38]

樹脂による障害を引き起こしやすく製紙パルプ業界では良質な原料とはみなされていない[39]

庭園樹

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蒲生八幡神社の「蒲生の大楠」(鹿児島県姶良市)は日本最大の巨樹として知られる。

大木になることから個人の庭木に植えられることは少ないが、寺や神社の境内にはクスノキの巨木がしばしばみられる。この現象はシイやカシの常緑樹でも見られ、日本人の常緑樹信仰の一つの証拠だとする説もある。かつての南西日本にはシイ、カシ、クスノキなどの常緑広葉樹林が広がっていたが、過剰な木材、薪炭利用により植生遷移がアカマツコナラ林にまで退行した。このような中で伐採を制限された寺社の森林にのみ大木が残ったというものである[40]

街路樹は季節感のある落葉樹が好まれる傾向があるが、常緑のクスノキは明るい雰囲気があり、街路樹や公園樹としての植栽に盛んに使われる[14][41]神功皇后豊浦宮へ行幸した際に、クスノキを植えて日本最古の街路樹とした記録が残るが、正確な時期や場所は特定されていない[42]。大気汚染にも比較的強いといい街路樹として用いる際の利点の一つである[43]

葉の縁が石化し風でよく音を立てるため、騒音に対しての相殺効果が望めるという[44]

長寿大木になることから延命を目的とした樹木医学分野での研究が多いのもクスノキの特徴である。

象徴

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寺社に残るクスノキはご神木として人々の信仰の対象とされるものもある。日本最大のクスノキは、鹿児島県蒲生八幡神社の「蒲生の大楠」(幹周24.2 m)で、確認されている中で、幹周の上では全樹種を通じて日本最大の巨木である[45][46]。また、徳島県三好郡東みよし町には、1956年7月19日、文化財保護法により特別天然記念物に指定された大クスがあり、これは樹齢数千余年と推定され、根回り19メートル (m) 、目通りの周囲約13 m、枝張りは東西経45 m、南北経40 m、高さ約25 mである[47]。他に、特にクスノキが多い神社として、福岡県宇美八幡宮(国指定2本/県指定25本、幹周5 - 9.9 m 9本、10 - 14.9 m 1本、15 m以上 2本)、愛媛県大山祇神社(国指定38本/県指定1本、幹周5 - 9.9 m 10本超、10 - 14.9 m 2本、15 m以上 1本)が挙げられる。台湾には、神木樟樹公中国語版(和社神木とも)という世界最大級のクスノキがあり、幹周16.2 m、樹高44 mを測る。この樹は太い主幹が20 m以上も立ち上がる他にあまりない樹形をしている。

クスノキの花言葉を、「芳香」[6]とする文献がある。

著名なクスノキ

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  • 上谷の大クス埼玉県入間郡越生町大字上谷) - 埼玉県指定天然記念物。幹周15 m、樹高30 m、樹齢1000年。クスノキとしては自生北限域で、関東最大とされる巨樹[48][49]
  • 本郷弓町のクス東京都文京区本郷一丁目) - 幹周8.4 m、樹高20 m、樹齢600年。東京のマンションやオフィスビル密集地で、関東大震災や第二次世界大戦の東京大空襲から被害を免れて生き抜いてきた巨樹[50]
  • 明神の楠(神奈川県足柄下郡湯河原町宮下) - 湯河原町指定文化財(史跡)。幹周15.6 m、樹高15 m、樹齢800年。かつて五所神社の参道にあったとされる[51][52]
     
    明神の楠(神奈川県湯河原町)
  • 葛見神社の大クス静岡県伊東市馬場町) - 国の天然記念物。幹周15.7 m、樹高20 m、樹齢1000年。葛見神社の御神木で、幹の中心部は空洞になっている[53]
  • 来宮神社の大楠(静岡県熱海市西山町) - 国の天然記念物。幹周23.9 m、樹高20 m、樹齢2000年。来宮神社の御神木で、幹周は日本第2位の巨木[54]
  • 清田の大樟(愛知県蒲郡市清田町下新屋) - 国の天然記念物。幹周11.7 m、樹高22 m、樹齢1000年。幹周は中部地方最大、コブのような主幹から四方に枝を広げる[55]
  • 引作の大楠三重県南牟婁郡御浜町引作) - 三重県指定天然記念物、新日本名木100選。幹周14.9 m、樹高35 m、樹齢1500年。三重県最大のクスノキ[56][57]
  • 水屋の大クス(三重県松阪市飯高町赤桶宮東) - 三重県指定天然記念物。幹周13.1 m、樹高38 m、樹齢伝承1000年。地元では「大くすさん」の呼び名で親しまれている水屋神社の御神木[58][59][60]
  • 薫蓋樟大阪府門真市三ツ島一丁目) - 国の天然記念物、大阪みどりの百選、新日本名木100選。幹周12.5 m、樹高24 m、樹齢1000年。三島神社境内に所在する大阪府最大の巨樹[61][62]
  • 大神社のクス(和歌山県紀の川市粉川) - 紀の川市指定天然記念物。幹周11.3 m、樹高20 m、樹齢伝承1000年。大神社の御神木[63][64]
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    川棚のクスの森(山口県下関市)
    川棚のクスの森山口県下関市豊浦町大字川棚下小野) - 国の天然記念物。幹周10.2 m、樹高21 m、樹齢300年以上。日本三大樟樹(しょうじゅ)の一つ[65]、18本の大枝に分かれて最長の枝は27 mにもなる[66]
  • 加茂の大クス(徳島県三好郡東みよし町加茂) - 国の特別天然記念物。幹周13 m、樹高25 m、樹齢1000年。樹形の美しさと樹冠の大きさは日本有数[67][68][69]
  • 壇の大クス(徳島県吉野川市鴨島町森藤) - 徳島県指定天然記念物。幹周10.8 m、樹高23 m、樹齢950年。旧鴨島町森藤の壇という台地にある若宮神社境内に所在。2009年に樹勢が衰えて葉の大半を枯らすという危機を乗り越えた[70][71]
  • 志々島の大くす香川県三豊市詫間町志々島) - 香川県指定天然記念物。幹周14 m、樹高40 m、樹齢伝承1000年。かつての土砂崩れで木の下のほうが埋まり、根元から枝分かれした特異な樹姿をしている[72][73]
  • 生樹の御門愛媛県今治市大三島町宮浦) - 愛媛県指定天然記念物。幹周15.5 m、樹高10 m、樹齢300年以上。大山祇神社の奥の院あり、木の根元にある2×3 mの空洞が門のように通じていることからこの名がある[74]
  • 乎知命御手植の楠(愛媛県今治市大三島町宮浦) - 国の天然記念物。幹周11.0 m、樹高15 m、樹齢伝承2600年。大山祇神社には38本のクスノキがあり、この木を含めて天然記念物に指定されている[75]
  • 大谷のクスノキ高知県須崎市大谷) - 国の天然記念物。幹周17.1 m、樹高25 m、樹齢2000年。須賀神社に立つ四国最大の巨樹[76][77]
  • 本庄の大樟福岡県築上郡築上町本庄) - 国の天然記念物。幹周21 m、樹高23 m、樹齢1900年。大楠神社に立ち、枝は何本もの支柱に支えられ、大きな洞がある[77]
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    衣掛の森(福岡県宇美町)
    衣掛の森(福岡県糟屋郡宇美町宇美一丁目) - 国の天然記念物。幹周20.0 m、樹高20 m、樹齢300年以上。宇美八幡宮にある2本ある国の天然記念物の指定されたうちの1本。神功皇后が応神天皇を出産した際に、産衣を掛けた木と伝えられている[78]
  • 湯蓋の森(福岡県糟屋郡宇美町宇美一丁目) - 国の天然記念物。幹周15.3 m、樹高23 m、樹齢1500年。宇美八幡宮の御神木。名前は、神功皇后が応神天皇を出産した際に、この木の下で産湯を使い、枝葉が産湯の蓋をしているよう見えたことに由来[79][80]
  • 隠家森(福岡県朝倉市山田) - 国の天然記念物。幹周18 m、樹高21 m、樹齢伝承1500年。名前は、その昔、朝倉の関所を通れないものが身を隠したことに由来[81]
  • 太宰府天満宮の大楠(福岡県太宰府市宰府四丁目) - 国の天然記念物。幹周12.5 m、樹高33 m、樹齢300年以上。太宰府天満宮の「天神の森」にあるうちの最大のクスノキ[82]
  • 川古の大楠佐賀県武雄市若木町大字川古) - 国の天然記念物。幹周21.0 m、樹高25 m、樹齢3000年。1200年前に行基によって樹肌に仏像が彫られたといわれる日本三大クスの1本[83][84][85]
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    武雄の大楠(佐賀県武雄市)
    武雄の大楠(佐賀県武雄市武雄町武雄) - 武雄市指定天然記念物。幹周20 m、樹高30 m、樹齢3000年。武雄神社の御神木で、奥の林に所在し、幹に大きな空洞を開いている[83][86][87]
  • 塚崎の大楠(佐賀県武雄市武雄町武雄) - 武雄市指定天然記念物。幹周13.9 m、樹高18 m、樹齢300年以上。1963年の落雷で主幹の上部が失われてほとんどが空洞化してもなお、葉を茂らせている[83][88]
  • 諫早公園の大クス(長崎県諫早市高城町) - 国の天然記念物。幹周11.8 m、樹高35 m、樹齢不明。高城跡の山頂に立つクスノキの巨木[89]
  • 山王神社の大クス(長崎県長崎市坂本) - 長崎市指定天然記念物。幹周6.3/8.7 m、樹高21m/22 m、樹齢500 - 600年。山王神社境内の参道を挟むように2本が並び立つクスノキで、被爆の2か月後に新芽を芽吹いたと伝わる[90]
  • 藤崎台のクスノキ群熊本県中央区宮内) - 国の天然記念物。最大の個体は幹周20.0 m、樹高22 m、樹齢1000年。藤崎八旛宮の旧地であった藤崎台球場に所在[91]
  • 寂心さんのクス(熊本県熊本市北迫町) - 熊本県指定天然記念物。幹周13.3 m、樹高30 m、樹齢800年。寂心とは戦国時代の領主となった鹿子木親員の戒名からとったもので、クスの木の下に墓があるといわれる[92][93]
  • 柞原八幡宮のクス大分県大分市上八幡三組) - 国の天然記念物。幹周21.0 m、樹高30 m、樹齢伝承3000年。柞原八幡宮に所在。大分県最大のクスノキで、幹には大きな空洞ができている[94]
  • 蒲生のクス鹿児島県姶良市蒲生町上久徳) - 国の特別天然記念物。幹周24.2 m、樹高30 m、樹齢伝承1500年。日本最大の幹周を持つ巨樹として知られる[95][96]
  • 志布志の大クス(鹿児島県志布志市志布志町安楽) - 国の天然記念物。幹周17.1 m、樹高24 m、樹齢伝承1200年。山宮神社の参道に立つクスノキの巨木[97]
  • 塚崎のクス鹿児島県肝属郡肝付町野崎) - 国の天然記念物。幹周14.0 m、樹高30 m、樹齢1300年。塚崎古墳群1号墳(円墳)の上に生える[98][99]

自治体・大学の木

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大学の木

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国外

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名称

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標準和名はクスノキ。木を抜いたクスとも呼ばれ、これはトチノキタブノキなども同じである。標準和名の由来は日本語の「臭い木」、「燻る(燻ぼる)木」「奇し木」「腐らない(久須)木」「薬の木」に因む説、台湾原住民が呼ぶ近縁種の名前が「クス」の音に近く[100]、これに由来する説もある[101]。漢字は「楠」もしくは「樟」が当てられる。

同属近縁のタブノキが非常に多くの方言名を持つのに対し、クスノキの方言名は非常に少ない[102][103][104][100]。九州にはアカグス、アオグスと呼び分ける地域があり[105]、新芽が展開する時の色合いで分けるといわれている[8]

英名はcamphor treeやcamphorwood(カンフルの木)、camphor laurel(カンフルのゲッケイジュ)と呼ばれ、クスノキから採取できる医薬品カンフル(camphor)に因む。学名では、属名がシナモン(肉桂)を意味する Cinnamomum 、種小名は樟脳を意味する camphora になっている[8]中国名は、樟(しょう)[32]または樟樹という[1]

脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cinnamomum camphora (L.) J.Presl クスノキ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年7月8日閲覧。
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  4. ^ a b c d e f 山﨑誠子 2019, p. 44.
  5. ^ a b 林将之 2008a, p. 76.
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  7. ^ 山﨑誠子 2019, p. 45.
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  11. ^ a b 林将之 2011, p. 30.
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参考文献

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関連項目

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外部リンク

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