うたかたの恋
『うたかたの恋』(うたかたのこい、原題:Mayerling)は、フランスの作家クロード・アネ(Claude Anet)の小説である。
概要
編集オーストリア=ハンガリー帝国の皇太子ルドルフと男爵令嬢マリー・ヴェッツェラの心中事件、通称「マイヤーリング事件」を基に、1930年に書かれた小説。
なお、実際のルドルフとマリーの関係や事件の真相については諸説ある。
あらすじ
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1888年4月、マリーとルドルフは劇場で偶然に出会い、激しい恋に落ちた。ラリッシュ夫人の協力もあって、二人は逢瀬を重ねる。しかし、周囲の圧力から二人は別れざるを得ず、さらにルドルフは陸軍大臣フリードリヒ公爵の陰謀に巻き込まれて追いつめられていた。1889年1月26日、ドイツ大使館でのパーティで、死を決意したルドルフはマリーに「来週の月曜日、旅に出よう」と告げる。そして1月29日に雪の降るマイヤーリングの別荘で二人は死を遂げた。
登場人物
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日本語版
編集日本では、岡田真吉の訳が三笠書房(1954年、若草文庫17)、創元社(1957年、世界大ロマン全集26)および角川書店(1969年、角川文庫)で出ていたが、いずれも絶版になっている。
「うたかたの恋」を原作とした作品
編集映画
編集- うたかたの戀(Mayerling, 1936年, フランス)
- 日本では昭和戦前は検閲により上映禁止とされ、戦後(1946年)になって公開となった。邦題は『うたかたの恋』とも表記される。
- 監督:アナトール・リトヴァク(Anatole Litvak)
- ルドルフ:シャルル・ボワイエ(Charles Boyer)
- マリア:ダニエル・ダリュー(Danielle Darrieux)
- フランツ・ヨゼフ皇帝:ジャン・ダックス(Jean Dax)
- 晩鐘(Kronprinz Rudolfs letzte Liebe, 1956年, オーストリア)
- 監督:ルドルフ・ユーゲルト(Rudolf Jugert)
- ルドルフ:ルドルフ・プラック(Rudolf Prack)
- マリー:クリスチアーネ・ヘルビガー(Christiane Hörbiger)
- エリザベート皇后:リル・ダゴファー(Lil Dagover)
- うたかたの恋(Mayerling, 1968年, フランス・イギリス合作)
- アネの小説だけでなく、ミシェル・アーノルド(Michael Arnold)の『親王(原題:L'Archiduc、英:The Archduke)』も原作としている。
- 監督・脚本:テレンス・ヤング(Terence Young)
- 撮影:アンリ・アルカン(Henri Alekan)
- 音楽:フランシス・レイ(Francis Lai)
- ルドルフ:オマー・シャリフ(Omar Sharif)
- マリア:カトリーヌ・ドヌーヴ(Catherine Deneuve)
- フランツ・ヨゼフ皇帝:ジェームズ・メイソン(James Mason)
- エリザベート皇后:エヴァ・ガードナー(Ava Gardner)
テレビドラマ
編集- マイヤーリング(Mayerling, 1957年, アメリカ)
- 製作・監督:アナトール・リトヴァク(Anatole Litvak)※1936年のフランス映画の監督
- マリア:オードリー・ヘプバーン(Audrey Hepburn)
- ルドルフ:メル・ファーラー(Mel Ferrer)
ミュージカル
編集→詳細は「うたかたの恋 (宝塚歌劇)」を参照
宝塚歌劇団の人気演目の一つである。
関連項目
編集関連書
編集- 仲晃『「うたかたの恋」の真実 ハプスブルク皇太子心中事件』 青灯社 ISBN 4-86228-003-X C1022