いのちの輝き
いのちの輝き(いのちのかがやき)は、2025年日本国際博覧会(以下、万博)のロゴマークにおけるテーマ名、およびそこから派生したキャラクターに対する俗称。日本時間2020年8月25日にロゴマークが発表されるとともにその奇抜なデザインが話題を呼び、数々の創作が行われた。
ロゴマーク
編集いのちの輝きをテーマ[1]にTEAM INARI(チーム イナリ)が製作したデザインは、全体を細胞の集合体に見立てて、赤色の円や楕円などを組み合わせて構成するロゴマークで「いのちの輝き」が表現されている[2]。
1970年の日本万国博覧会のロゴマークの一部を細胞核として使用する[3]ユーモアと奇抜さが審査員の目に留まり、選出されることとなった[4]。
チーム代表者の シマダ タモツ によると太陽の塔のように衝撃と独創性のあるものを目指して製作されており[5]、「万博の顔になっていくのが最高にうれしい」と述べている[6]。
発表までの流れ
編集日本の大阪府大阪市此花区夢洲で開催される予定の万博のロゴマークは、2019年11月29日から12月15日にかけて一般公募が行われた[7]。最優秀賞受賞者に賞金300万円が贈呈されるという一般公募に対する応募件数は5894件におよぶ。
「いのち輝く未来社会のデザイン」という万博のテーマを重視し、交差・輪・うねりといったデザインで力強さや調和などを表現した作品を漫画家荒木飛呂彦[8]、映画監督河瀨直美や元女子サッカー選手澤穂希、建築家安藤忠雄を中心する[9]選考委員会が候補を5作品まで絞り込んだ。
決定の際、日本を含む186ヶ国で著作権情報や商標登録を調査し、類似した作品が存在しないことが確かめられた[10]この候補5作品は2020年春に発表予定であったが、新型コロナウイルス感染症の世界的流行に伴って発表を延期。同年8月3日にロゴマーク決定の最終候補5作品が発表される。
同年8月3日から8月11日にかけて一般からの意見が募集された後[10]、新型コロナウイルス感染症の流行以降の世界で万博を彩るものを選びたいという方針の下で[10]選考委員11名のうち8名が チーム イナリ のデザイン案に票を投じ[11]、2020年8月25日に発表された[12]。
2022年3月22日には、同月中に募集された万博の公式キャラクターとしてロゴマークと共通した最終候補のA案、B案、C案が選定。最終的に「「水の都」の要素となる水と結びつき、様々な形になれる」C案が採用[13]。同年7月18日に「ミャクミャク」が愛称として決定された[14]。
反響
編集日本国際博覧会協会がロゴマークの特許を出願し公式グッズも販売予定であることから、非公式グッズの販売は認められていないものの、個人の範疇で楽しむことは容認されている[15]。
インターネット上
編集発表直後、ロゴマークは大きく意見が割れることとなった。擬人化絵をはじめイラストも発表から1日も経たないうちに数多く製作され、編み物やパン・サラダなどのグッズや無料ゲームを製作するユーザーも見られた。
ユーザーの間ではミスタードーナツのポン・デ・リングやキャラメルコーン(パッケージ)[16]、『寄生獣』のミギー[17]、『星のカービィ』のクラッコ[18]、神話生物[19]、『沙耶の唄』の肉妖、SCP財団のSCP-066[20]、映画『SF人喰いアメーバの恐怖』[21]などになぞらえるユーザーが多発し、「コロシテくん」などのあだ名も付けられた[8]。
細胞核が眼球として解釈されたことも手伝って[22]、不気味な印象[23]や、むしろ可愛らしい印象[24]を与えるなど、Twitterではロゴマークというよりもキャラクターとして扱われるこの過程で「いのちの輝きくん」という名称が広まりを見せた[20][25][26]。
著名人
編集政治家丸山穂高はロゴマークに対して生理的に気持ち悪いと述べ、嫌悪する言葉を並べた[9][27]。一方で大阪府知事吉村洋文は「噛めば噛むほど味が出る」「脳裏にへばりつくようなロゴ」と高評価し[28][29]、茂木健一郎も賛否両論あることを踏まえた上で「生命の豊穣と強靭性を象徴するような印象」とコメントし絶賛した[9][30]。若新雄純も人々を引き留める違和感が巧妙にデザインされていると評価した[31]。
Twitterの大喜利で話題に上ったコンテンツも少なからずロゴマークに反応を示しており、ムックや『メイドインアビス』作者つくしあきひとなどが肯定的な反応を見せている[32][33]。
脚注
編集出典
編集- ^ “大阪・関西万博ロゴマーク公募サイト”. 公益社団法人2025年日本国際博覧会協会. 2020年8月26日閲覧。
- ^ 「万博ロゴ、奇抜さやユーモア決め手に 細胞の連なり表現」『朝日新聞』2020年8月26日。2020年8月26日閲覧。
- ^ 「大阪・関西万博ロゴ決定 赤い細胞に70年ロゴ取り入れ「いのちの輝き」表現」『毎日新聞』2020年8月25日。2020年8月26日閲覧。
- ^ 「万博ロゴ、奇抜さやユーモア決め手に 細胞の連なり表現」『朝日新聞』2020年8月26日。2020年8月26日閲覧。
- ^ 「大阪・関西万博ロゴ決定 赤い細胞に70年ロゴ取り入れ「いのちの輝き」表現」『毎日新聞』2020年8月25日。2020年8月26日閲覧。
- ^ 「万博ロゴ、奇抜さやユーモア決め手に 細胞の連なり表現」『朝日新聞』2020年8月26日。2020年8月26日閲覧。
- ^ “大阪・関西万博ロゴマーク公募サイト”. 公益社団法人2025年日本国際博覧会協会. 2020年8月26日閲覧。
- ^ a b 吉川大貴「大阪万博のロゴマーク、「ボスキャラみたい」とTwitterで話題に」『ITmedia』2020年8月25日。2020年8月26日閲覧。
- ^ a b c “大阪万博ロゴマークに“キモい”“どうしてこうなった”の声も公式「受け入れて〜」”. 週刊女性PRIME (2020年8月26日). 2020年8月26日閲覧。
- ^ a b c 「大阪万博ロゴ、最終候補5作品発表 8月下旬にも決定」『日本経済新聞』2020年8月3日。2020年8月26日閲覧。
- ^ 「つかみはOK、大阪万博ロゴ 賛否両論も…創作意欲かき立てる?」『産経新聞』2020年8月29日。2020年8月30日閲覧。
- ^ 「大阪・関西万博ロゴ決定 赤い細胞に70年ロゴ取り入れ「いのちの輝き」表現」『毎日新聞』2020年8月25日。2020年8月26日閲覧。
- ^ “大阪・関西万博2025 公式キャラクターが決定”. あとなび (2022年3月22日). 2022年7月24日閲覧。
- ^ “何者?ミャクミャクの正体に迫る”. NHK. NHK大阪放送局 (2022年7月21日). 2022年7月24日閲覧。
- ^ 「つかみはOK、大阪万博ロゴ 賛否両論も…創作意欲かき立てる?」『産経新聞』2020年8月29日。2020年8月30日閲覧。
- ^ 「ポン・デ・リング?キャラメルコーン?2025年大阪・関西万博のロゴマーク発表でトレンド入り」『中日スポーツ』2020年8月25日。2020年8月26日閲覧。
- ^ 「大阪・関西万博ロゴマーク決定で「寄生獣」が「似てる」とトレンド入り」『デイリースポーツ』2020年8月25日。2020年8月26日閲覧。
- ^ “大阪・関西万博のロゴ決定に「気持ち悪い」「かわいい」と意見が割れる SNSでは「何に見えるか大喜利」も”. ねとらぼ (2020年8月25日). 2020年8月26日閲覧。
- ^ 「ポン・デ・リング?キャラメルコーン?2025年大阪・関西万博のロゴマーク発表でトレンド入り」『中日スポーツ』2020年8月25日。2020年8月26日閲覧。
- ^ a b “万博のロゴマークが爆速でネットを席巻 グッズ製作、応援イラスト、擬人化など創作クラスタが大盛りあがり (1/3)”. ねとらぼ (2020年8月25日). 2020年8月26日閲覧。
- ^ “「シテ…コロシテ……」大阪万博ロゴマークが「いのちの輝き」をテーマにした名状し難きデザインで大人気に、ファンアートも多数登場”. ニコニコニュース. BUZZAP! (2020年8月25日). 2020年8月28日閲覧。
- ^ 「大阪・関西万博ロゴマーク決定で「寄生獣」が「似てる」とトレンド入り」『デイリースポーツ』2020年8月25日。2020年8月26日閲覧。
- ^ 吉川大貴「大阪万博のロゴマーク、「ボスキャラみたい」とTwitterで話題に」『ITmedia』2020年8月25日。2020年8月26日閲覧。
- ^ “大阪・関西万博のロゴ決定に「気持ち悪い」「かわいい」と意見が割れる SNSでは「何に見えるか大喜利」も”. ねとらぼ (2020年8月25日). 2020年8月26日閲覧。
- ^ “万博ロゴマークがたった1日で続々とゲーム化 「いのちの輝きくん」が踊ったり跳ねたり弾んだり (1/2)”. ねとらぼ (2020年8月26日). 2020年8月26日閲覧。
- ^ 「つかみはOK、大阪万博ロゴ 賛否両論も…創作意欲かき立てる?」『産経新聞』2020年8月29日。2020年8月30日閲覧。
- ^ 「丸山穂高氏が万博公式ロゴマークに大ボヤキ「なんでこれやねん?」」『東京スポーツ』2020年8月25日。2020年8月26日閲覧。
- ^ 「吉村知事 イジり倒される万博ロゴ「個性も姿形も違う細胞(人や命)同士が…」」『デイリースポーツ』2020年8月26日。2020年8月26日閲覧。
- ^ 「吉村知事、万博の独創的ロゴに「一生忘れられない」」『日刊スポーツ』2020年8月26日。2020年8月26日閲覧。
- ^ 「茂木健一郎氏、賛否両論の大阪万博ロゴマークを絶賛「なによりも強烈。さすが大阪! 半端ない!」」『スポーツ報知』2020年8月26日。2020年8月26日閲覧。
- ^ “「なんかこわい」大阪万博ロゴマークに賛否両論 若新雄純氏「違和感が上手にデザインされている」”. Ameba Times. (2020年8月29日) 2020年8月30日閲覧。
- ^ ムック【Mukku】 [@mukkuofficial] (2020年8月26日). "わわわ!このロゴを見た時に「あれっ?わたくしかな?」かと思いました!これは必ず大阪・関西万博に行かないと行けませんぞ〜". X(旧Twitter)より2020年8月30日閲覧。
- ^ つくしあきひと [@tukushiA] (2020年8月25日). "メイドインアビスでエゴサすると大阪万博のロゴ発表のニュース出てくるの何。それはともかく可愛くてインパクトあって素晴らしいロゴマークですね。". X(旧Twitter)より2020年8月30日閲覧。