いて座σ星は、いて座で2番目に明るい恒星で2等星。南斗六星を作る星の1つ。

いて座σ星[1]
Sigma Sagittarii
仮符号・別名 ヌンキ[2], Nunki[3][4]
星座 いて座
見かけの等級 (mv) 2.067[1]
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α)  18h 55m 15.92650s[1]
赤緯 (Dec, δ) −26° 17′ 48.2068″[1]
赤方偏移 -0.000037[1]
視線速度 (Rv) -11.2km/s[1]
固有運動 (μ) 赤経: 15.14 ミリ秒/年[1]
赤緯: -53.43 ミリ秒/年[1]
年周視差 (π) 14.32 ± 0.29ミリ秒[1]
(誤差2%)
距離 228 ± 5 光年[注 1]
(70 ± 1 パーセク[注 1]
絶対等級 (MV) -2.2[注 2]
σ星の位置
物理的性質
半径 5 R[5]
質量 7.8M
自転速度 201km/s[6]
スペクトル分類 B2.5
光度 3,300 L[5]
表面温度 20,000 K[5]
色指数 (B-V) -0.22[6]
色指数 (U-B) -0.75[6]
色指数 (R-I) -0.21[6]
他のカタログでの名称
Sadira
いて座34番星[1]
CD -26 13595[1]
FK5 706[1], HD 175191[1]
HIP 92855[1], HR 7121[1]
SAO 187448[1]
Template (ノート 解説) ■Project
天の川いて座

概要

編集

太陽の7倍もの質量を持つため、中心核での核融合が早く進み、誕生からおよそ5000万年ほどで寿命を迎えるだろうと推測される[5]。そのときには、太陽と同じ程度の質量を持つ白色矮星になるだろうと考えられている[5]

いて座σ星は黄道に近いため、による掩蔽が起こり得る。また、稀に惑星による掩蔽も起こる。1981年11月17日には、金星による掩蔽が起こっている。いて座σ星は地球より外側の惑星によって掩蔽が起こる星としては、最も明るい星である。一方、2008年の時点で、直近に起こった火星による掩蔽は、423年9月3日である。

名称

編集

Sigma Sagittarii、略称 σ Sgr。固有名ヌンキ[2] (Nunki[3][4]) はシュメール象形文字で書かれた石版から見つかったバビロニアの名前である[3]アメリカの博物学者リチャード・ヒンクリー・アレンによって世に広められた[7]。アレンは海に関係した星座が続いて昇ってくることから「海のしるし」という意味の名前としている[7]が、確かな意味は伝わっていない[3]。バビロニアにおいてNUNki は、ユーフラテス川沿いにあったバビロニアの神エンキの都市エリドゥの天球上における姿であると考えられていた[3]。2016年8月21日に国際天文学連合の恒星の命名に関するワーキンググループ (Working Group on Star Names, WGSN) は、Nunki をいて座σ星の固有名として正式に承認した[4]

脚注

編集

注釈

編集
  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
  2. ^ 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。小数第1位まで表記

出典

編集
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q SIMBAD Astronomical Database”. Results for NAME NUNKI. 2017年3月13日閲覧。
  2. ^ a b 原恵『星座の神話 - 星座史と星名の意味』(新装改訂版第4刷)恒星社厚生閣、2007年2月28日、154頁。ISBN 978-4-7699-0825-8 
  3. ^ a b c d e Paul Kunitzsch; Tim Smart (2006). A Dictionary of Modern star Names: A Short Guide to 254 Star Names and Their Derivations. Sky Pub. Corp.. p. 52. ISBN 978-1-931559-44-7 
  4. ^ a b c IAU Catalog of Star Names”. 国際天文学連合. 2016年12月7日閲覧。
  5. ^ a b c d e Jim Kaler. “Nunki”. 2016年12月7日閲覧。
  6. ^ a b c d 輝星星表第5版
  7. ^ a b Richard Hinckley Allen. “Star Names, their lore and meaning”. 2014年4月29日閲覧。

関連項目

編集

外部リンク

編集