あづましずくは、福島県で生成され2004年に品種登録されたブドウである。[1] なお、「あずましずく」のように、「あづま」「あずま」の両表記が見られるが、生成地の福島県にある吾妻山が語源であり、あ づ まが正しい表記となる。[2]

あづましずく

背景

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福島県では戦後デラウェアキャンベルを中心にぶどうの育成を行っていたが、市場では徐々に巨峰のような大粒のぶどうが消費者に好まれるようになっていった。しかし、巨峰の主要産地は福島県より西に位置しており、熟期・収量性においてどうしても出遅れることや、ジベレリン処理の労力集中も課題となっていた。さらに、先行して福島県北部で育てられていた巨峰の品種改良ぶどう高尾は寒さによる病害で栽培が難航し、福島県のブドウ栽培は停滞を余儀なくされていた。このような複数の課題を背景に、福島県果樹試験場(現:福島県農業総合センター果樹研究所)が育成したのが、あづましずくである。[1]

概要

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ブラックオリンピアを母、四倍体化ヒムロット・シードレスを父として交配して得た実生個体から選抜された[3]。父のシードレスの名の通り種無しである。あづましずくは極早生品種でお盆の前から収穫をスタートできることから、福島ぶどうの「出荷したぶどうが市場に出回るのが他県より遅い」という課題を克服し、より高い収益性が期待されている[1]

特徴

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糖度17〜19%と甘みが強い一方で酸味は少なく、濃厚な多果汁感があるジューシーな食味となっている。巨峰と比較すると肉質が柔らかく皮離れが良いことから食べやすい品種である。[1][3]

逸話

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福島県果樹試験場が農家に試作を頼んだ際、多くの農家が長梢栽培(ぶどうのつるを短く切らずに自然に近い形で栽培)する中、短梢栽培(つるを2・3芽だけ残して切る栽培)で露地栽培した農家では、粒の大きさも収穫量も大きく上回る結果となった[2]。福島県内の果樹農家によって栽培方法が確立され、栽培農家を増やしていったあづましずくだが、寒さに強い特性から、より北に位置する山形県や岩手県でも育成が開始され[4][5]、さらに北の秋田県でも育成が期待されている。[6][注釈 1] 



脚注

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注釈

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  1. ^ あづましずく種苗を生産・販売するためには、福島県との許諾契約が必要となる。[7]

出典

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  1. ^ a b c d 四倍体無核ブドウ新品種 あづましずく” (PDF). 福島農業総合センター研究報告. 2022年8月14日閲覧。
  2. ^ a b ふくしま味と技「あづましずく」 ふくしまファンクラブ会報第13号” (PDF). 福島県観光交流課. 2022年8月14日閲覧。
  3. ^ a b 「あづましずく」(ブドウ)のプロフィール” (PDF). 福島県農業総合センター果樹研究所 . 2022年8月14日閲覧。
  4. ^ 春夏秋冬 きょうから9月”. 岩手日日新聞社. 2022年8月13日閲覧。
  5. ^ 山形県産ぶどう あづましずく”. 2022年8月13日閲覧。
  6. ^ 実用化できる試験研究 秋田県南部におけるブドウ黒色系‘あづましずく’および白色系‘サンヴェルデ’の品種特性(令和2年度)”. 2020年9月22日閲覧。
  7. ^ 福島県育成品種(野菜・果樹・花き)の県外への許諾について〜福島県農林水産部園芸課”. 2022年8月13日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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