「BOOK」データベース(ぶっくデータベース)とは、紀伊國屋書店トーハン日本出版販売日外アソシエーツの4社の共同事業として運営されている図書内容情報データベース[1]。単にBOOKとも呼ばれる[2]

概要

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基本的な書誌のほか、などに記された本の要旨や目次などを詳細に掲載していることが特徴として挙げられる[3]。これにより、利用者はタイトルには含まれていないキーワードでの書籍の検索が可能となる[4]。トーハンや日本出版販売から提供される1日平均270冊、年間点数6万冊前後の新刊コピー・入力してデータの採録を行っており[5]、その情報量は1年間でB4用紙50万枚分におよぶ[6]

採録の対象は日本国内で出版されて流通した書籍のみとなっており、雑誌漫画学習参考書は対象外とされている[2][7]

歴史

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  • 1979年頃、日外アソシエーツを中心に「日本書籍新刊情報システム」構想の検討が始まる[8]。これは、基本的な書誌だけではなく、書籍の内容に関するキーワードまで含めたデータを常に最新の状態で提供し、利用者がオンラインで自由に使用できることを目指すものであった[8]
  • 1985年、紀伊國屋書店がトーハン、日本出版販売の2社に働きかけ、日外アソシエーツとともにデータベース構築のコンソーシアムを立ち上げる[8][9]
  • 1986年1月から正式にサービスを開始し、データの採録も始まる[7]。当時の国内新刊書籍は年間で3万冊ほどだったが、個人・企業ともにコンピュータは広く普及しておらず、サービスの需要は少なかった[10]
  • 1987年4月、紀伊國屋書店は日外アソシエーツ、日立製作所と共同で、新聞辞典などの情報をCD-ROMで提供する「電子書斎バイブルズ」の販売を開始[11]。この中には、「BOOK」データベースの情報も含まれていた[12]
  • 1988年からは「BOOK」データベースに採録しているデータを1年毎にまとめた「ブックページ 本の年鑑」の出版が始まる[13]
  • 1994年頃に日本のインターネットが一般化されると、利用者の間で「インターネットの情報は無料」という考え方が広がり、有料の「BOOK」データベースは危機的な状況を迎える[10]
  • 2000年11月、Amazon.comの日本版サイトAmazon.co.jpがサービスの提供を開始[14]。書籍を手に取って中身を確認できないというオンライン書店の特性上、「BOOK」データベースのような書籍の中身に関する情報のニーズは高く、「インターネット書店に有料でデータを提供し、書店は利用者に無料でデータを開放する」というビジネスモデルが成立した[15]
  • 2015年、「BOOKデータASPサービス」の提供を開始[16]。自前の目録を構築する図書館がデータ利用権を購入するというビジネスモデルを作り上げ、提供開始から1年で利用図書館が100館を突破[16]

脚注

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  1. ^ 三浦 & 国友 1990, p. 2
  2. ^ a b 森岡 2016, p. 457
  3. ^ 石田 et al. 2006, p. 86
  4. ^ 森岡 2016, p. 458
  5. ^ 森岡 2016, p. 459
  6. ^ 日外アソシエーツ 2010, p. 1
  7. ^ a b 日外アソシエーツ 2014
  8. ^ a b c 三浦 1999, p. 793
  9. ^ 三浦 2006, p. 10
  10. ^ a b 森岡 2016, p. 460
  11. ^ 湯浅 2000, p. 60
  12. ^ 三浦 2006, p. 11
  13. ^ 三浦 1999, p. 794
  14. ^ 大谷 2012, p. 68
  15. ^ 森岡 2016, p. 461
  16. ^ a b 森岡 2016, p. 463

参考文献

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  • 石田栄美; 宮田洋輔; 神門典子; 上田修一「目次と帯を用いた図書の自動分類」『情報処理学会研究報告デジタルドキュメント』第33号、情報処理学会、85-92頁、2006年。 NAID 110004687621 
  • 大谷卓史「インターネットECの生成と展開-社会史の試み」『吉備国際大学研究紀要 人文・社会科学系』第22号、吉備国際大学、59-82頁、2012年。 NAID 110009004303 
  • 日外アソシエーツOPAC用「BOOKデータベース」目次・要旨・キーワード販売のご案内 -図書館OPAC検索利用者と利用回数を増やします-」『KINOLINE』第2巻、第31号、紀伊國屋書店、2010年https://www.kinokuniya.co.jp/03f/kinoline/1003_06.pdf 
  • 日外アソシエーツ『「BOOK」データベース』2014年http://www.nichigai.co.jp/dcs/index3.html2017年5月5日閲覧 
  • 三浦勲; 国友二治夫「「BOOK」データベースの構築とその活用」『情報処理学会研究報告 情報システムと社会環境研究報告』第59号、情報処理学会、1-12頁、1990年。 NAID 170000035245 
  • 三浦勲「データベース余話 データベースBOOK:そして終稿」『情報管理』第9巻、第42号、科学技術振興機構、793-796頁、1999年。 NAID 130000071141 
  • 三浦勲「学術専門情報流通と書店の役割:紀伊國屋書店の事例」『実践女子短期大学紀要』第27号、実践女子大学、1-15頁、2006年。 NAID 110004829744 
  • 森岡浩「「BOOK」データベースの起死回生:時代に求められる書誌情報を追って」『情報管理』第7巻、第59号、科学技術振興機構、457-464頁、2016年。 NAID 40020947013 
  • 湯浅俊彦『デジタル時代の出版メディア』ポット出版、2000年。ISBN 9784939015274