IoMT
IoMT(英:Internet of Medical Things)とは、医療におけるIoTのこと[1]。「医療分野のモノのインターネット」とも表現される[2]。IoMT学会による正確な定義は「医療機器とヘルスケアのITシステムを、オンラインのコンピューターネットワークを通じてつなぐ概念」である[3][注釈 1]。
具体的な内容としては、病棟であれば医療機器・施設・患者をインターネットで結ぶ[5]。これにより、病院機能の飛躍的な向上を図れる。IoMTの導入対象は、5つの医療段階(フェーズ)に分けられる。①未病・ヘルスケア、②在宅医療、③診断、④治療、⑤治療予後医療・リハビリの5段階である[3]。
導入分野
編集2020年11月時点で、国内で導入されている分野と品目、参入している主な企業は下記のとおりである。[6]。
項目 | 詳細 |
---|---|
ニューメディカルソリューション | 電子カルテシステム、疾患管理ソリューション、AI診断支援ソリューション、画像解析ソリューション、医用画像プラットフォームサービス、4K8K医療ソリューション、医療用ディスプレイ、術場/術野カメラ、手術映像記録/配信システム、手術用顕微鏡システム、硬性内視鏡、ナノマシン、手術/治療支援ロボット、3Dプリンター |
メディカル/ヘルスケアフュージョン |
オンライン医療ソリューション、遠隔医療システム、スマートウェアソリューション、インプランタブルソリューション、フードテックソリューション、ブレインテックソリューション、ヘルスケア住宅 |
ダスト&インフェクションコントロール | 滅菌器、内視鏡洗浄機、滅菌管理トレーサビリティシステム、電解水生成装置、空間除菌脱臭装置、紫外線除菌脱臭装置、光触媒除菌脱臭装置、ウイルス追跡ソリューション、アレルギー可視化ソリューション |
参入企業 |
eBASE、PHC、アキュレイ、エアロシールド、エルピクセル、大塚製薬、オプティム、カゴメ、カリーナシステム、キヤノンITSメディカル、サンスター技研、正晃テック、日機装、ブレイゾン・セラピューティクス、ホシザキ、ミツフジ、メディアシーク、メディカル・データ・ビジョン、メドレー、リバーフィールド |
事例
編集開封検知付アルミ箔による服薬管理
編集従来の服薬管理では「患者が医師・薬剤師の指導どおりに服薬できるか」がという課題があった。開封検知付アルミ箔は、この服薬管理を自動で行う。患者が開封した時点で担当医などに通知される仕組みである[7]。
この技術により、薬の飲み忘れにとどまらず過剰服用の防止も可能。2019年11月時点ではまだ実証試験段階である。試験ではUACJ・UACJ製箔が回路印刷箔の開発と製造、SAPジャパンがソフトウェアの提供、ドクターズが実証試験フィールドの提供及び医療者の意見のフィードバックを担っている[8]。
医療アプリ
編集順天堂大学は2021年2月までに、下記8種類のIoMTに活用する医療アプリを開発・リリースしている[9]。
- STI OMOIYARI[10]
- いたみノート[11]
- ロコモニタープラス[12]
- アレルサーチ[13]
- ドライアイリズム[14]
- インフルレポート[15]
- iPARKSTUDY[16]
- ぜんそくログ[17]
医療情報システム
編集医療情報システムは、端的にいうと医療機器をインターネットでつなぐ。医療用画像診断機器やメディカルレコーダー、X線診断装置や超音波診断装置などの診断機器を、インターネット経由で連携させる。これにより、広範囲かつ高速、緻密な分析が可能となる[18]。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ 医療領域におけるIoT – IoMT - 日本機械学会誌
- ^ OT、IoT、IoMT へと攻撃対象の拡大に対応した脅威マネジメント - IBM
- ^ a b IoMTとは - IoMT学会
- ^ IoTとは - NTTコミュニケーションズ
- ^ AI、IoMTの進展とともに順天堂が描く未来の医療 - 順天堂大学
- ^ IoMT(Internet of Medical Things)新市場の将来展望 2021 - 富士キメラ総研
- ^ SAPジャパンなど、開封検知付アルミ箔を使用した服薬管理システムの共同研究を開始 - 日本経済新聞
- ^ 開封を検知するアルミ箔で服薬状況を管理、UACJなどが実証試験 - 日経XTECH
- ^ 順天堂大学× ResearchKit® - 順天堂大学・大学院
- ^ 性感染症のセルフチェックができるアプリ「STI OMOIYARI」を公開 - 学校法人順天堂
- ^ 【練馬病院】iPhoneアプリ「いたみノート」で慢性疼痛と上手に付き合う! - 学校法人順天堂
- ^ ロコモ度チェックができるアプリ「ロコモニター」が人工知能を活用してバージョンアップ! - 学校法人順天堂
- ^ アプリを使って花粉症をチェック!花粉症予防アプリ「アレルサーチ」をリリース - 学校法人順天堂
- ^ 世界初! スマホアプリでドライアイ指数をチェック~順天堂大学眼科×iPhoneでドライアイのビッグデータ解析~ - 学校法人順天堂
- ^ アプリを使ってインフル調査 集約データを予防や治療戦略に活用~順天堂大学が日本初のインフルエンザ調査用iPhoneアプリ「インフルレポート」を開発~ - 学校法人順天堂
- ^ Apple ResearchKit(iPhoneアプリ)を用いた臨床研究について - 学校法人順天堂
- ^ 順天堂大学、iPhoneアプリを用いた臨床研究--ロコモ、喘息、パーキンソン病を対象に - CNET Japan
- ^ 富士ソフトが開発を手がける医療IoT"IoMT"とは? - PC-Webzine
参考文献
編集IoMT学会『IoMT学会誌』IoMT学会編集委員会 Vol.1~3(2018年5月号、2019年7月号、2020年9月号)