Cromemco Cyclops
Cromemco Cyclops(クロメンコ サイクロプス)は、クロメンコが1975年に発売したデジタルカメラであり、世界初の商用化された完全デジタル処理のカメラである。
Cromemco Cyclops | |
メーカー | クロメンコ |
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レンズマウント | Dマウント |
レンズ | 25mm f2.8 |
センサー | 改造1kiB RAM IC |
イメージセンサー種類 | MOS |
最大解像度 | 32×32画素、16階調グレースケール |
フレームレート | 30 Hz |
発売 | 1975年 |
解説
編集画像素子としてMOSイメージセンサを使用していた[1]。初のマイクロコンピュータへのインターフェイスを持つデジタルカメラである。イメージセンサは1 kbのDRAMメモリチップを改造したもので、解像度は32×32画素(0.001メガピクセル)だった[1]。
Cyclopsとは、ギリシャ神話に登場する単眼の巨人キュクロープスのことで、このカメラが単眼であることからその名がつけられたものである[2]。
背景
編集Cyclopsは、テリー・ウォーカー、ハリー・ガーランド、ロジャー・メレンの3人によって開発され、『ポピュラーエレクトロニクス』1975年2月号でホビイストの電子工作として紹介された[3]。
その1ヶ月前の同誌では、MITS社のマイクロコンピュータAltair 8800が紹介されていた[4]。『ポピュラーエレクトロニクス』誌の技術編集者であるレス・ソロモンは、CyclopsとAltairのインターフェイスに価値を見出し、Cyclopsの開発者の1人のロジャー・メレンと、MITS社の社長であるエド・ロバーツに連絡を取り、コラボレーションについて話し合うことにした[5]。
メレンはニューメキシコ州アルバカーキのMITS本社でロバーツと会った。ロバーツはメレンに、AltairとCyclopsのインターフェイスを製作することを勧め、彼らがこのプロジェクトをすぐに開始できるよう、メレンにAltairを速やかに送ることを約束した[6]。
カリフォルニアに帰ったメレンは、ガーランドと、Cyclops等のAltair用の製品を製造するためのパートナーシップを結び、その名前をクロメンコとした[7]。1976年1月、MITS社はAltairの最初の周辺機器としてCromemco Cyclopsを発表した[8][9][10]。
技術
編集Cyclopsは、MOSメモリチップを改造した革新的なイメージセンサを使用していた[11]。チップ上面のカバーを取り外し、そこにガラスの板を取り付けて、半導体に直接光が当たるようにした。動作理論については、『ポピュラーエレクトロニクス』のオリジナル記事に記載されている[3]。最初は、32×32の配列に配置された1024個のメモリセルが、全て"1"の状態になっている。光が当たったメモリセルは、その状態が"0"に変化する。光が強ければ強いほど、"1"から"0"に変化するスピードが速くなる。
25mm F2.8のDマウントレンズにより、イメージセンサに像を結ぶように調整されている。各メモリセルの状態のスキャンを計16回行う。1回目のスキャンでは、全てのメモリセルの状態が"1"になっている。当たる光が強いセルほど"1"から"0"に早く変化するので、各セルが"1"から"0"に変わったタイミング(すなわち、そのときのスキャン回数)によって、各セルに当たる光の強さが分かる。ほとんど光が当たっていないセルは、最後まで"1"のままである。このようにして、Cyclopsは16階調のグレースケールのイメージを取得する。
Cyclopsには2つのバイアスライトがついており、低照度環境での感度を向上させることができる。このライトは手動でも、コンピュータ制御でも調整可能で、センサに均一な低レベルの光を照射することができる。一度調整すれば、低照度環境下でも、イメージからのわずかな入射光に対しても感度が向上する。
脚注
編集- ^ a b “Building the First Digital Camera”. Hackaday (17 April 2016). 30 April 2016閲覧。 “the Cyclops was the first digital camera”
- ^ 脇英世 (2009年8月11日). “クロメンコを作った2人”. @IT. 2020年5月24日閲覧。
- ^ a b Walker, Terry; Garland, Harry; Melen, Roger (February 1975). “Build Cyclops”. Popular Electronics (Ziff Davis) 7 (2): 27–31.
- ^ Edwards, H. Edward; Yates, William (January 1975). “Altair 8800 minicomputer”. Popular Electronics (Ziff Davis) 7 (1): 33–38.
- ^ Freiberger, Paul; Swaine, Michael (2000). Fire in the Valley: The Making of the Personal Computer (Second ed.). McGraw-Hill. p. 48
- ^ Levy, Steven (1984). Hackers: Heroes of the Computer Revolution. Garden City, NY: Anchor Press/Doubleday. pp. 202. ISBN 0-385-19195-2
- ^ Levering, Robert; Katz, Michael; Moskowitz, Milton (1984). The Computer Entrepreneurs. New American Library. pp. 36–40. ISBN 0-453-00477-6
- ^ Allen, Paul (2011). Idea Man: A Memoir by the Cofounder of Microsoft. New York: Penguin Group. p. 108. ISBN 978-1-59184-537-9. "The Altair even debuted a digital camera back in 1976."
- ^ Holley, Michael. “Popular Electronics, February 1975”. 2014年10月31日閲覧。 “The Cyclops was the first product of Cromemco. It was modified to be used with the Altair 8800 computer and an advertisement ran in the January 1976 issue of MITS Computer Notes.”
- ^ “Cyclops”. Computer Notes (MITS) 1 (7): 8. (January 1976). オリジナルのOctober 6, 2014時点におけるアーカイブ。 May 8, 2013閲覧。.
- ^ “CROMEMCO Computing”. 2014年10月31日閲覧。 “The sensor for that camera was a memory chip.”
外部リンク
編集- Video of Cromemco Cyclops Camera creator J. Terry Walker recalling his background, describing the conception and design of the Cyclops camera and demonstrating the camera. - YouTube
- Video of the Cromemco Cyclops Camera being used to control a ball going through a maze. - YouTube
- Video of the Cromemco Cyclops Camera being demonstrated at the 2018 East Coast Vintage Computer Festival. - Twitter
- Video of a simulation of the Cromemco Cyclops Camera running in an IMSAI simulation. - YouTube
- Cromemco Cyclops Camera Controller manual.
- Cromemco Cyclops Camera manual.