Atari XEGS

アタリが発売したゲーム機

ATARI XEGS(Atari XE Video Game System、アタリXEビデオゲームシステム)とは、 アタリ・コープが1987年に発売したゲーム機。価格は199USドル。

Atari XE Video Game System
Atari XEGS
Atari XEGS
メーカー Atari Corporation
種別 据置型ゲーム機
世代 第3世代
発売日 アメリカ合衆国の旗 1987年
CPU MOS Technology 6502C
対応メディア ROMカートリッジ
対応ストレージ バックアップRAMカートリッジ
コントローラ入力 ジョイスティック/光線銃
互換ハードウェア Atari 8ビット・コンピュータ
前世代ハードウェア Atari 7800
次世代ハードウェア Atari Jaguar
テンプレートを表示

概要

編集

ATARI XEGSはAtari社が展開していた8ビットパソコンであるAtari 65XEに基づいて設計されており、既存のAtari 8ビットシリーズ用のソフトウェアを利用できる互換性があった。ゲーム機ではあるが、専用のキーボードを接続することでパソコンとしても利用できる。その場合は完全なAtari 65XEとして利用でき、既存のAtari 8ビット・コンピュータ用の周辺機器もすべて接続できる。

「コンピュータ」としても使える「ゲーム機」、と言うコンセプトであったが、コンピュータとしては高性能な16ビット機に対抗できず、ゲーム機としては任天堂NESに対抗できず、対応ゲームは1979年発売のAtari 400用の大昔のゲームがパッケージを変えて再リリースされるばかりで、商業的に失敗した。

経緯

編集

アタリ社は1977年にゲーム機Atari 2600を発売。1980年代頃より北米で大ブームとなる。一方1979年よりAtari 400やAtari 800といった8ビット・コンピュータも販売し、ヒットさせた。

その後1982年、Atari 2600の後継機としてAtari 5200を発売。しかしAtari 5200はAtari 400を基に設計していながらAtari 400と全く互換性がなかったため、ゲーム機としては安価でゲームが揃っているAtari 2600の市場にシェアを食われ、ハイスペックマシンとしてはパソコンとして利用できる上にゲームが揃っているAtari 400/800の市場にシェアを食われ、失敗した。そのためAtari 5200を断念し、1984年にはAtari 2600の真の後継機としてAtari 2600との互換性を持ったAtari 7800を開発し試験販売するも、アタリ社は1983年のアタリショックによって経営が傾き、1984年に会社が分割される。

1984年、分割されたAtari社のゲーム機・パソコン部門をジャック・トラミエルが買収し、アタリ・コープとなった。トラミエル体制となった1985年、Atari 8ビット・コンピュータの後継シリーズである16ビットパソコンAtari STを発売、1986年にはAtari 2600の真の後継機Atari 7800を正式発売すると同時に、Atari 2600の廉価版であるAtari 2600jrも発売した。

そして1987年に発売されたのが、Atari 8ビット・コンピュータと完全な互換性を持つゲーム機ATARI XEGSである。ゲーム機としては1986年発売のAtari 7800の後継機に当たり、パソコンとしては1979年発売のAtari 400の同世代機に当たる。

展開

編集

上記の経緯のため、XEGSはAtari 5200の徹を踏まないように細心の注意が払われた。もともとXEGSはAtari 400とAtari 800を基に設計される予定であったが、Atari 5200の再来と受け取られる恐れがあったため、Atari 65XE準拠に変更された[1]。Atari 8ビットコンピュータと全く互換性がなかったAtari 5200とは違い、Atari XEGSはAtari 8ビットコンピュータと完全な互換性を有しており、キーボードをつなぐことで完全なAtari 8ビットコンピュータとしても使える上に、周辺機器も接続できるように完全な互換性を持たされた[2]

Atari XEGSは、16ビットパソコンに押されつつあるAtari 8ビットコンピュータの販売不振の改善と、任天堂NESに押されつつあるAtari製ゲーム機の市場シェア拡大を目的としてリリースされた。Atari XEGSは「初めてのコンピュータ」であると同時に「洗練されたゲーム機」としてのイメージ戦略を取り、市場から淘汰されつつある8ビットコンピュータのラインを再利用する方針がAtariから小売とデベロッパに提示された。

しかしAtari XEGSは成功せず、時折Atari 2600jrやAtari 7800と同じ棚に並んでいるのを見る程度で、ゲーム機としてはアタリの他の機種ともどもNESにシェアを食われ、ハイスペックマシンとしては16ビットパソコンにシェアを食われ、すぐに市場から淘汰された。

ゲーム

編集

Atari XEGSはAtari 8ビットコンピュータ版の『ミサイルコマンド[2]、『Flight Simulator II』と光線銃対応の『Bug Hunt』をバンドルしていた。XEGSはAtari 8ビットコンピュータと完全な互換性を有しているため、XEGS用ゲームとしてリリースされたものは、Atari 400/800用ゲームの外箱を再パッケージしただけの作品が多かった。大昔のAtari 400用ゲームの外箱に「XEGS対応」のシールを貼っただけのソフトもあった[1]

周辺機器

編集

ジョイスティックのみが付属したスタンダードモデルと、ジョイスティックに加えてキーボードと光線銃が付属したデラックスパックが販売されていた。

全モデルに付属のジョイスティックは灰色の一般的なCX-40ジョイスティック(いわゆるATARI仕様のジョイスティック)が付属している。デラックスモデルに付属のXG-1光線銃はアタリがリリースした初めての光線銃で[2][3]、『ダックハント』とザッパーをバンドルしていたNESの対抗してのものと見られるが、NESのザッパーと比べて著しく精度が低く、マスターシステムの光線銃に付け替えるものもいた。ちなみに光線銃はアタリ規格のコントローラーとしてAtari 2600やAtari 7800でも流用が可能である。

他、ディスクドライブ、モデム、プリンターなど、Atari 8ビットコンピュータで利用可能な周辺機器は基本的に全て接続可能である。

出典

編集
  1. ^ a b Wolf, Mark J. P. (2008). The video game explosion: a history from PONG to PlayStation and beyond. Greenwood Publishing Group. p. 60. ISBN 978-0-313-33868-7 
  2. ^ a b c Atari 8 Bit Computers - 1979-1987”. Classic Gaming. July 21, 2010閲覧。
  3. ^ Herman, Leonard; Horwitz, Jer; Kent, Steve; Miller, Skyler. “Video Games Are Back 1985-1988”. The History of Video Games. GameSpot. July 21, 2010閲覧。

関連項目

編集