Astell&Kern
Astell&Kern(アステル アンド ケルン)は、韓国ドリームアスカンパニー社のオーディオブランドであるアイリバーの、高価格帯Hi-Fiオーディオシリーズ。特に高価格帯のデジタルオーディオプレーヤー (DAP)が著名。
Astellは古代ギリシャ語で「星」、Kernは「中心」を意味する。当初、日本語読みは 「アステル アンド カーン」とする予定だったが、日本の輸入販売代理店(旧マウスコンピュータ、現:アユート)が意見し、カーン→ケルンとなった経緯がある[1]。
概要
編集アイリバーは従来、デジタルオーディオプレーヤーの低・中価格帯製品を投入し、一定の評価を得ていた。しかし2010年代以降、MP3など高圧縮の非可逆圧縮音源の再生を目的とした従来のDAPはコモディティー化して市場が縮小し、かつiPodやスマートフォンなど同機能をもつ他の製品と競合していた[2]。
従来からのMP3プレーヤーとは一線を画し、差別化すべく、2012年初頭から本物のオーディオプレーヤーを作ることを目標とし[2]、市場調査と製品開発を進め、2012年10月に最初の製品を投入した。
製品概要
編集デジタルオーディオプレーヤーおよびイヤフォン・ヘッドフォンをメインとし、一部を除き、いずれの製品も日本国内では実売(消費税抜き)10万円以上の高価格帯となる。 アイリバーではスタジオレコーディングで作られたマスター音源を「Mastering Quality Sound (MQS)」と定義し、CDと比べて遥かに大きなデータ量を持つマスター音源(≒ハイレゾリューション音源)を再生できる製品を開発・販売している[2]。DAP製品は大学などの研究機関に協力を仰ぎ[1]、イヤフォン・ヘッドフォンに関しては他社との協業で製品開発を行っている。
主な製品
編集ここでは日本で販売されているおもな製品について記載する。
DAP
編集- AK100 (32GB + 増設microSDカード x2スロット)
- 最初の製品[3]。DACはウォルフソンWM8740を採用し、192kHz/24bitのPCMハイレゾ音源再生に対応する。DSD音源の再生は当初非対応であったが、後にファームウェアアップデートにより対応した。操作はタッチパネル式で、Android OSをベースとした独自UIとなっている(以降の製品も同様)。
- 後に数量限定でシルバーやゴールド、ワインレッドのカラーバリエーションモデルが登場した。
- AK100 MKII (32GB + 増設microSDカード x2スロット)
- AK100の出力インピーダンスを3Ωに変更、イコライザに「PRO EQ」などを追加した日本限定モデル。
- AK100 MKII LTD (32GB + 増設microSDカード x2スロット)
- AK100 MKIIのボディカラーをサファイアブルーにしたモデル。
- AK120 (64GB + 増設microSDカード x2スロット)
- AK120 TITAN (128GB + 増設microSDカード x2スロット)
- AK120の内蔵メモリを128GBに増量し、本体にアルマイト処理を施している。ファームウェア更新でnano.RIPEの192kHz/32bit音源8曲がプリインストールされた。
- AK240 (256GB + 増設microSDカード)[4]
- 外観は非対称多面体的なデザインが特徴。DSD128(5.6MHz/1bit)・PCM192kHz/24bit のネイティブ再生に対応。グラウンドをL/R独立させたデュアルDAC搭載・アンプ部のバランス回路構成によりバランス出力に対応している。2.5mm4極バランス出力端子を初めて搭載し、以降の同社製品・同業他社製品も含めてポータブル製品のバランス出力端子におけるデファクトスタンダードとなっている[5][6]。 Astell&Kernはこの製品の登場を機にハイエンドポータブルプレーヤーを代表するブランドと認識されるようになった[7]。 なお、実売価格は20万円を大きく超える。
- AK240 GOLD
- 元々、中国市場で縁起のいい色として販売されていた。国内では20台限定で販売された。
- AK240 BLUE NOTE EDITION
- ボディカラーをブルーにし、シリアルナンバーとBLUE NOTEロゴが刻印されたAK240とブルーノート・レコードアルバム75タイトルをリマスタリング・microSDに収録したアルバム75枚、全アルバムを収納するスタンドなどが付属。全世界1000台限定モデル。
- AK240 Stainless Steel
- ボディをステンレス鋼に変更したモデル。
- AK Jr (64GB + 増設microSDカード)
- AK100II (64GB + 増設microSDカード)
- AK100II KANA HANAZAWA EDITION
- AK100II けいおん!エディション
- AK100II Type-S Red Hot
- AK120II (128GB + 増設microSDカード)
「コア・ライン」「カジュアル・ライン」「パフォーマンス・ライン」の3ラインで製品展開している。
- AK380(256GB + 増設microSDカード)[9]
- クレードルやジャケット型外付アンプなどの拡張端子や0.1dB単位で調整可能なパラメトリックイコライザなどプロフェッショナルユースを見越した機能を搭載している。Bluetooth接続機能やDLNA機能も搭載している。DACはAKM AK4490をLR独立して搭載し、PCM384kHz/32bitおよびDSD11.2MHzのネイティブ再生に対応。実売価格は約40万円。
- AK380 SS
- AK380のボディをステンレス鋼に変更したモデル。
- AK380 Copper
- AK380のボディを純銅に変更したモデル。
- AK320 (128GB + 増設microSDカード)
- AK380をダウングレードした中堅モデル。DSDおよび32bitPCMは24bitPCMに変換して再生される。
- AK300 (64GB + 増設microSDカード)
- AK380/AK320をさらにダウングレードしたエントリーモデル。DACはAK4490をシングル(LR供用)搭載。
- AK70 (64GB + 増設microSDカード)
- AK Jrの後継モデルで、バランス出力が搭載された。
- AK70 MKII (64GB + 増設microSDカード)
- AK70 MKII Marine Blue
- AK70 MKII Sunshine Red
- AK70 MKII 劇場版 Fate/stay night
- AK70 MKII Yui Ogura Edition
- AK70 MKII (64GB + 増設microSDカード)
- KANN (64GB + 増設SDカード + 増設microSDカード)[10]
- 単体でAK300+AK380AMP相当の、アンバランス出力4Vrms、バランス出力7Vrmsの強力なヘッドホンアンプを内蔵している。ヘッドホン出力とは独立したライン出力端子を搭載している。DACはAK4490をシングル(LR供用)搭載し、PCM384kHz/32bitおよびDSD11.2MHzのネイティブ再生に対応。実売価格は約13万円。
「フラグシップライン」「プレミアムライン」「スタンダードライン」の3ラインで展開されている[11]。
- A&ultima SP1000(256GB + 増設microSDカード x2スロット)
- AK-380の後継に当たる。第4世代のハイエンドモデルとして、「究極」を意味するA&ultimaというセグメント名が付加されている[12]。通常モデルとして筐体素材の異なるSSとCopperがラインナップされる。実売価格は約40万円。
- 前世代のAK3xxシリーズ同様、底面には専用アンプ等を接続するための端子(5ピン)が搭載されている。
- A&ultima SP1000 Onyx Black
- A&ultima SP1000M(128GB + 増設microSDカード)
- SP1000を小型軽量化したモデル。筐体素材はアルミニウム。底面の専用AMP等接続用5ピン端子は省略されている。
- A&ultima SP1000M Gold (256GB + 増設microSDカード) 筐体に金メッキコーティングされたブラス(真鍮)素材を使用している。
- A&ultima SP2000(512GB + 増設microSDカード)
- SP1000に継ぐ、A&ultimaシリーズの新しいモデル。通常モデルとして筐体素材の異なるSSとCopperがラインナップされる。限定モデルとしてOnyx Black およびVegas Gold が発売された。(素材はともにステンレススチール) 単体での十分な出力性能を確保できたとの理由から、専用アンプ等の接続端子は廃止されている。
- A&futura SE100
- A&futuraのセグメント名が付加されたプレミアムラインの最初の製品
- A&futura SE100 fripside edition
- 音楽ユニット「fripSide」のコラボレーションモデル
- A&futura SE100 PHENEX
- 劇場版アニメーション作品「機動戦士ガンダムNT」とのコラボレーションモデル
- A&futura SE200
- A&futuraシリーズの第2弾となるモデル
- A&norma SR15
- A&normaのセグメント名が付加されたスタンダードラインの最初の製品
- A&norma SR15 ウマ娘 プリティーダービーSpecial Edition
イヤフォン・ヘッドフォン
編集- AK100-111iS
- AKR01
- AKR02
- ファイナルオーディオデザインとの協業製品。FI-BA-SSをベースとしてAK120用にチューニングしている。
- AKR03[14]
- AK T5p
- ベイヤーダイナミックのT5pを2.5mm4極バランス接続に対応したヘッドフォン。リケーブル非対応。
- AK T5p 2nd Generation
- AK T8iE
- ベイヤーダイナミックとの協業製品で、カナル形イヤフォンとしては初めてテスラテクノロジーを搭載。バランス接続用リケーブルが付属する。
- AK T8iE MKII
- AK T1p
- JH Audio THE SIREN SERIES
- JHオーディオとのダブルブランド製品。
- Layla Universal Fit
- Angie Universal Fit
- RoxanneII Universal Fit
- LaylaII Universal Fit
- AngieII Universal Fit
- Rosie Universal Fit
- Michelle Universal Fit
- Michelle Limited
- Billie Jean
- DIANA
据置型オーディオ
編集- AK500N
- CDドライブ搭載ネットワーク対応ミュージックサーバー。PCM to DSD機能、内蔵バッテリー搭載。内蔵ストレージは1TB/2TB/4TBのSSDで、4TBモデルの日本発売は未定。
- AK T1
- スピーカー一体型ネットワーク対応サウンドシステム。microSDカードスロットを搭載し、内蔵メモリは非搭載。
- ACRO L1000
- USB-DAC内蔵のデスクトップ用小型デジタルプリメインアンプ。
- ACRO S1000
- デスクトップ・パッシブスピーカー。
その他
編集- AK10 DAC内蔵の小型ヘッドフォンアンプ
- AK10 ラブライブ!エディション
- ラブライブ!とのコラボレーション商品。全9色で各メンバーごとのイメージカラーを採用。付属ケースにはラブライブ!のロゴが刻印されている。(プレミアムバンダイおよびL-MART限定
- AK380 AMP AK380/AK320/AK300にドッキングして取り付ける専用高出力ヘッドフォンアンプ。
- SP1000 AMP SP1000にドッキングして取り付ける専用高出力ヘッドフォンアンプ。
- AK RECORDER
- AK380/AK320/AK300にドッキングして取り付けるリニアPCMレコーダモジュール。DSD5.6MHzでの録音も可能。
- AK CD-RIPPER
- AK380/AK320/AK240/AK120II/AK100IIなどのDAP製品のUSB端子と接続して用いるCDリッピング専用ドライブ。後にモデルチェンジし、AK CD-RIPPER II が発売されている。
など。
脚注
編集- ^ a b “【海外視察】Astell&Kern iriver本社視察にいってみた!~Vol.1~ (イヤホン・ヘッドホン専門店 旧e☆イヤホンのBlog)” (2014年10月24日). 2016年9月5日閲覧。
- ^ a b c “【ヘッドホン祭】iriver、Astell&Kernのハイレゾポータブルプレーヤー「AK100」説明会を開催”. 音元出版 (2012年10月27日). 2016年9月5日閲覧。
- ^ iriver、“Astell&Kern”の192/24対応ポータブルプレーヤー「AK100」を正式発表(2012年10月10日 音元出版)
- ^ 20万円超え! オーディオファンを魅了するアイリバー「AK240」 - 日経トレンディネット(2014年3月17日 日経BP社)
- ^ P-2.5/4G 【2.5mm4極プラグ】 - オヤイデ店舗 オリジナル商品・限定商品(小柳出電気商会、2016年7月1日閲覧)
- ^ 【レビュー】イヤホンのバランス接続は本当に効果があるのか試してみた - 旧<ヘッドバンク(2015年12月15日付 株式会社HEDGEHOG STUDIO)
- ^ 【レビュー】ブランド別ハイレゾプレーヤー 全モデル一気聴き!〜Astell&Kern編 | Hi-Res Recopal -ハイレゾレコパル-(2016年7月30日付 小学館)
- ^ 後に辿りつく場所のハイレゾ版は音楽配信サイトのmoraで配信されたが、音源は96kHz/24bitのFLACとなっている。
- ^ 【第129回】50万円DAP「AK380」を「どうせ買えないがゆえの冷静さ」で厳しくレビュー - Phile-web(2015年7月21日 音元出版)
- ^ 外部アンプいらずの駆動力! “いろいろできる”異色のAKプレーヤー「KANN」 - AV Watch(2017年6月13日付 インプレス)
- ^ Astell&Kern「A&futura SE100」は約22万円、「A&norma SR15」は約10万円【音質レポートあり】(2018年5月31日付 音元出版)
- ^ 最上を超える最上プレーヤー、Astell&Kern「A&ultima SP1000」を聴く - AV Watch(2017年6月16日付 インプレス)
- ^ 【レビュー】小さくてもハイレゾ高音質「Astell & Kern AK100」を聴く - AV Watch(2012年11月14日付 インプレス)
- ^ JH Audio「ROXANNE」をAK240に最適化したイヤフォン「AKR03」 - AV Watch(2014年5月2日付 インプレス)