1999年J2最終節(1999ねんJ2さいしゅうせつ)は1999年11月21日に行われたJリーグ ディビジョン2 (J2) 第36節(最終節)のことである。本稿では特に、この試合の結果次第でJリーグ ディビジョン1 (J1) 昇格がかかっていた大分トリニータFC東京の関わる、以下の2試合について記す。

特に大分対山形戦は、大分がこの試合で劇的な形でJ1昇格を逃したことから、大分の立場に立って「大分の悲劇(おおいたのひげき)」とも呼ばれ、後にルポルタージュ「秋天の陽炎」(しゅうてんのかげろう)が金子達仁によりスポーツ誌「Sports Graphic Number」に掲載され、後に加筆の上、単行本として発行された。

最終節までの経過

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1999年Jリーグはこの年から二部制を導入した。この年にJ2に参加した10クラブは4回戦総当たりの各クラブ36試合ずつを行い、翌年のJ1自動昇格となる上位2クラブを目指していた。そのなかから川崎フロンターレとFC東京が1歩抜け出し、そして11月5日に行われた第34節・サガン鳥栖戦(等々力陸上競技場)で川崎が延長勝ちによりJ1昇格を決めた。

これを2位で追いかけていたFC東京も昇格を確実視されていたが、第29節から4連敗をするなどで第35節までに1勝6敗と失速。一方、3位に付けていた大分は第28節のFC東京との直接対決に敗れる(この時点でFC東京との勝ち点差は12)ものの、そこから5連勝(うち延長Vゴール勝ち2勝)を含む6勝1敗で急浮上、第35節終了時点でついにFC東京をとらえ、2位に浮上した。

1999 Jリーグ ディビジョン2 順位表(第35節終了時点・抜粋)[1]
順位 チーム 勝点 試合 勝利 (90分勝) (延長勝) 引分 敗戦 得点 失点 得失点差 備考
1 川崎フロンターレ 73 35 25 20 5 3 7 68 32 +36 J2優勝決定
2 大分トリニータ 62 35 21 18 3 2 12 61 41 +20
3 FC東京 61 35 20 18 2 3 12 50 35 +15

※この年のレギュレーションは「90分での勝利:勝ち点3」「延長Vゴールでの勝利:勝ち点2」「引き分け:勝ち点1」「敗戦:勝ち点0」であった

最終節

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概要

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最終戦となる第36節で大分は、90分以内の勝利であれば文句なく、延長VゴールでもFC東京が90分以内に大差で勝利しない限りJ1昇格を決めることができ、逆にFC東京は90分以内の勝利をしたうえで大分の実質引き分け以下[注 1]、また延長Vゴール勝ちの場合は大分が敗戦することでJ1昇格と、自力での昇格は不可能な状況にあった。しかもFC東京の最終節の対戦相手は、今季3戦3敗と大の苦手にしていた4位・アルビレックス新潟であった。

最終節の結果に基づく順位動向
クラブ
結果(勝ち点)
大分
勝(65) V勝(64) 分(63) 負(62)
FC

勝(64) 大分 得失点[条件 1] FC東京 FC東京
V勝(63) 大分 大分 大分 FC東京
分(62) 大分 大分 大分 得失点[条件 2]
負(61) 大分 大分 大分 大分

条件に関する注釈

  1. ^ FC東京が90分以内に7点差以上をつけて勝利、もしくは12-6以上の6点差での勝利の場合FC東京が昇格。それ以外の場合は大分が昇格。
  2. ^ 大分が90分以内に4点差以上つけられて敗戦しない限り大分が昇格(4点差の場合は得点数の比較による)。5点差以上つけられた場合はFC東京が昇格。

試合経過

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13時00分、同時に試合が開始される。

前半31分、新潟では加賀見健介のゴールにより、FC東京が先制。

この時点での得点
大分 0-0 山形
新潟 0-1 FC東京

一方の大分では両チームとも無得点の状態で前半が終了。

前半終了時点での順位表(抜粋)
順位 チーム 試合 勝利 勝点 (90分勝) (延長勝) 引分 敗戦 得失点差 得点 失点 状況
2 FC東京 36 21 64 19 2 3 12 +16 51 35 J1昇格
3 大分トリニータ 36 21 63 18 3 3 12 +20 61 41 J2残留

後半15分、大分はウィルのゴールが決まり先制。

大分 1-0 山形
新潟 0-1 FC東京
後半15分時点での順位表(抜粋)
順位 チーム 試合 勝利 勝点 (90分勝) (延長勝) 引分 敗戦 得失点差 得点 失点 状況
2 大分トリニータ 36 22 65 19 3 2 12 +21 62 41 J1昇格
3 FC東京 36 21 64 19 2 3 12 +16 51 35 J2残留

後半19分、大分のゴールキーパーのプレーがバックパスを手で扱ったとして反則とされ、山形がゴールエリア内での間接フリーキックを得たが、大分はこれを防ぎきる。

後半44分(ロスタイム)、山形・吉田達磨のフリーキックが大分ゴールに直接入り、土壇場で1-1の同点に追いつかれた。その後、1-1のまま90分間が終了。同じころ、FC東京は新潟市陸上競技場で、前半に挙げた1点を守りきり、アルビレックス新潟に1-0で勝利。

この時点での得点
大分 1-1 山形
新潟 0-1 FC東京
90分終了時点での順位表(抜粋)
順位 チーム 試合 勝利 勝点 (90分勝) (延長勝) 引分 敗戦 得失点差 得点 失点 状況
2 FC東京 36 21 64 19 2 3 12 +16 51 35 J1昇格
3 大分トリニータ 36 21 63 18 3 3 12 +20 61 41 J2残留

これにより大分はJ1昇格にはVゴール勝ちしかない状況となり、さらに92分に山形・平間智和が退場処分となり大分が数的優位に立つと、さらに攻め続けたものの山形のディフェンスに阻まれこのままタイムアップ。

最終結果
大分 1-1 山形
新潟 0-1 FC東京
最終順位
順位 チーム 試合 勝利 勝点 (90分勝) (延長勝) 引分 敗戦 得失点差 得点 失点 状況
2 FC東京 36 21 64 19 2 3 12 +16 51 35 J1昇格
3 大分トリニータ 36 21 63 18 3 3 12 +20 61 41 J2残留

概要

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大分トリニータ 1 - 1
(延長)
モンテディオ山形
ウィル   60分 公式データ 吉田達磨   89分
大分市営陸上競技場
観客数: 15,702人
主審: 越山賢一
大分トリニータ
GK 01 小山健二
DF 03 村田一弘
DF 04 平岡靖成
DF 26 吉村寿洋   110分
MF 05 若松大樹   26分
MF 08 山根巌
MF 09 崔大植
MF 14 エドウィン   80分
FW 10 ウィル
FW 11 塩川岳人   103分
FW 28 神野卓哉
サブメンバー
GK 17 吉坂圭介
DF 12 山崎哲也
MF 16 金本圭太   26分
MF 07 川崎元気   103分
FW 30 竹村栄哉   80分
監督
石崎信弘
モンテディオ山形
GK 01 鈴木克美
DF 03 太田雅之   51分
DF 04 岩元洋成
DF 05 本街直樹
DF 18 佐藤淳志
MF 07 吉田達磨   89分
MF 02 内山俊彦   73分
MF 06 高橋健二   40分
MF 10 バウテル   99分   94分
MF 15 平間智和   92分
FW 09 真下佐登史
サブメンバー
GK 21 斉藤武志
DF 22 鷲田雅一
MF 08 ムタイル   51分   89分
MF 24 小久保純   73分
MF 11 中森大介   99分
監督
植木繁晴

1999年11月21日
13:00
アルビレックス新潟 0 - 1 FC東京
公式データ 加賀見健介   31分
新潟市陸上競技場
観客数: 6,210人
主審: 布瀬直次
アルビレックス新潟
GK 20 吉原慎也
DF 02 木澤正徳
DF 03 セルジオ
DF 14 高橋直樹
DF 12 中野圭一郎
MF 07 瀬戸春樹
MF 22 秋葉忠宏
MF 06 水越潤   59分
MF 09 リカルド   80分
FW 11 鳴尾直軌
FW 17 鈴木慎吾
サブメンバー
GK 01 木寺浩一
DF 04 柴暢彦   80分
MF 08 筒井紀章
MF 24 式田高義   59分   73分
FW 10 サウロ   59分
監督
永井良和
FC東京
GK 22 鈴木敬之
DF 12 梅山修
DF 26 小峯隆幸
DF 03 サンドロ
DF 08 藤山竜仁
MF 07 浅利悟
MF 15 アウミール
MF 14 佐藤由紀彦   81分
MF 13 加賀見健介   86分
MF 10 奥原崇   75分
FW 11 アマラオ   73分
サブメンバー
GK 21 遠藤大志
DF 05 古邊芳昇
MF 06 新條宏喜   86分
MF 18 岡元勇人
FW 17 鏑木享   75分
監督
大熊清

脚注

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注記

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  1. ^ 大分が延長Vゴールの場合は得失点差、続いて総得点の比較となるが、どちらもFC東京が1試合で逆転するのはほぼ不可能なほど、大分のほうが大きく上回っていた。

出典

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  1. ^ 1999Jリーグ ディビジョン2 順位表 【第35節】”. 日本プロサッカーリーグ. 2014年3月5日閲覧。

関連書籍

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  • 金子達仁『秋天の陽炎』文春文庫、2003年。ISBN 978-4167634049 

関連項目

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