楢己智(ならのこち)は、古代日本の人物。楢氏の始祖とされる。秦氏

概要

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「己智」は古代朝鮮語で、おそらく首長を意味する語に由来する。己知、許智、巨智とも書く。『新撰姓氏録』の己智条(三一ニ - 九四〇)には、次のようにある。

己智。太子(しんのたいし)、胡亥(こがい)自(よ)り出づ。

佐伯有清に拠れば、『新撰姓氏録』における己智氏の本拠は、大和国添上郡楢中郷(ならなかのごう)(奈良県天理市楢町)だったという。

なお、『新撰姓氏録』の細分でも確認できるとおり、己智はあくまでも漢民族に出自する。また、同書には、三林(みつはやしのきみ)、長岡忌寸(ながおかのいみき)、山村忌寸(やまむらのいみき)、桜田(さくらだのむらじ)が己智の同祖とある。

楢己智は大楢君素止奈か

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佐井寺僧道薬墓出土品のうち道薬の墓誌(奈良国立博物館所蔵)、表面(左)と裏面(右)

昭和33年(1958年)、奈良県天理市で墓誌と骨蔵器が発見された。その銀製の墓誌には次のようにあった。

(表)佐井寺僧 道薬師 族姓大楢君素止奈之孫
(裏)和銅七年歳次甲寅二月廿六日命過

佐井寺の僧の道薬は、大楢君素止奈の孫である、という意味である。楢の字から楢氏との関係が示唆されるが、はっきりとしたことは分からないという。発見された墓誌と骨蔵器は重要文化財に指定され、現在奈良国立博物館が所蔵する。

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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