柴田望
柴田 望(しばたのぞむ、1975年12月20日 - )は、日本の詩人。北海道旭川市在住。詩誌『フラジャイル』代表。詩誌『指名手配』同人[1]。
北海道詩人協会理事。(公財)北海道文学館評議員。日本詩人クラブ会員。小樽詩話会会員。東鷹栖安部公房の会事務局長を務める[2]。
来歴
編集岩見沢市に生まれる[3]。北海道岩見沢西高等学校時代はロック・バンドを結成して音楽活動をおこなっていた[3]。
旭川大学2年の時に、教授で文芸評論家でもある高野斗志美のゼミに入り、戦後文学や現代詩について学ぶ[3][4]。1998年旭川で同人誌『タイムポテンシャル』を高野斗志美らと創刊[5]。
1997年3月号の『詩と思想』(土曜美術社出版販売)に作品「かみあわないときもある」が「柴田昌志」名義で掲載される[6]。「今回の投稿作品のなかで、いちばん面白いと思った作品である。表現に荒っぽさや、独りよがりも見えるが、それなりに発見した詩の魅力を表現している。」(高木秋尾選)[7]
2007年7月18日、北海道新聞「ほっかいどうの詩」に、作品「これは、とけい」とそれまでの略歴が掲載される[8]。
2008年9月1日発行の『北の詩精神 ’01~’07』(「北の詩精神」編集委員会 北海道新聞社編集局文化部)に、詩集『音楽』より、横書きの作品「葡萄の子ども」が掲載される[9]。
2016年以降、北海道内の詩のイベントに参加、朗読や楽器演奏、映像制作など多様な詩の表現を試みる[10]。また、この頃から北海道新聞日曜文芸《詩》に作品が入選・掲載される(「文學[11]」「天秤[12]」「プラン[13]」「感謝[14]」など)。
2017年2月25日、旭川市中央図書館にて、東鷹栖安部公房の会として安部公房の初期詩集『無名詩集』の朗読会を開催、映像と音楽を用いた朗読と作品解説を行う[15]。同年11月 詩集『黒本』(デザインエッグ社)が第51回北海道新聞文学賞詩部門候補となる[16]。
2017年12月2日、詩誌『フラジャイル』を木暮純、二宮清隆らと創刊した[17]。これは北海道で72年間刊行された詩誌『青芽』(富田正一主宰)の後継誌という位置づけである[3]。まちなかぶんか小屋にて創刊記念朗読会を開催した。公式ブログも同時に発足させている[3][18]。
2018年6月17日、詩誌『青芽』終刊・お別れ会にて司会を務める(会場:アートホテル旭川)。このとき開催された朗読会で作品「手紙」を朗読し、金賞を受賞[19]。
2019年6月、詩集『顔』(デザインエッグ社)を出版[20]。
2020年7月10日、詩集『顔』が本庄英雄の詩集『空を泳ぐ』(中西印刷)とともに、第57回北海道詩人協会賞に選ばれた[21][22][23][24]。
2021年3月6日、7日に上演された旭川歴史市民劇『旭川青春グラフィティ ザ・ゴールデンエイジ』[25]に出演。小熊秀雄の詩友であり、萩原朔太郎と親交のあった詩人・鈴木政輝役を演じた。この市民劇に関して7月に出版された那須敦志『旭川歴史市民劇 旭川青春グラフィティ ザ・ゴールデンエイジ -コロナ禍中の住民劇全記録』(中西出版)に序文「詩のマチ、演劇のマチ、文化のマチ旭川をコロナから取り戻す。」を寄稿した[26]。
2021年7月28日、詩集『壁/楯/ドライブ/海岸線』を発行。「本のタイトルが目次になっている」と「覚書」にあるが、書名にはない「感謝」という作品が最後に置かれる[27]。
2021年9月、令和3年度旭川市文化奨励賞を受賞[28]。「師であり師友である、旭川文学資料館学芸員の沓澤章俊さんと、いつも(笑顔で、と)励ましてくださる勤め先の上司に感謝したい。」とコメントした[28]。
著書
編集詩集
編集- 『黒本』デザインエッグ、2017年6月1日 ISBN 978-4-86543-932-8[29]
- 『顔』デザインエッグ、2019年6月17日 ISBN 978-4-8150-1203-8[30]
- 『壁/楯/ドライブ/海岸線』(2021年7月28日 フラジャイル党、デザインエッグISBN 978-4-8150-2808-4、Amazon Kindleより出版)[31]
関連文献
編集- 若宮明彦「柴田望の新境地を読む―詩集『顔』」『波打ち際の詩想を歩く』文化企画アオサギ、2020年[32]
脚注
編集- ^ 佐相憲一 (2020). “編集後記にかえて”. 指名手配 創刊号: p71.
- ^ TOLTA マイナンバープロジェクト『閑散として、きょうの街はひときわあかるい』TOLTA、2020年7月5日、129頁。
- ^ a b c d e “柴田望さん(43)*詩誌「フラジャイ,/ル」代表*終刊「青芽」の歩み受け継ぐ*繊細な文学 若者にも発信”. 北海道新聞. (2019年4月14日) 2020年8月18日閲覧。
- ^ 神谷忠孝(代表)『北の表現者たち2014 北海道文学事典 補遺』(公財)北海道文学館、2014年3月31日、57頁。
- ^ 神谷忠孝(代表) (2014-3-31). 北の表現者たち2014 北海道文学事典 補遺. (公財)北海道文学館. p. 57
- ^ 土曜美術社出版販売「読者投稿昨作品」『詩と思想』1997年3月号、1997年、123頁。
- ^ 土曜美術社出版販売「選評 いかに感じ、いかに読ませるか 高木秋尾」『詩と思想』1997年3月号、1997年、127頁。
- ^ “ほっかいどうの詩 これは、とけい 柴田望”. 北海道新聞. (2007年7月18日)
- ^ 「北の詩精神」編集委員会『北の詩精神 ’01~’07』北海道新聞社編集局文化部、2008年9月1日、36-37頁。
- ^ 芦原伸『ラストカムイ 砂澤ビッキの木彫』白水社、2019年12月4日、34頁。
- ^ “日曜文芸 詩”. 北海道新聞. (2016年2月14日)
- ^ “日曜文芸 詩”. 北海道新聞. (2016年11月27日)
- ^ “日曜文芸 詩”. 北海道新聞. (2017年4月30日)
- ^ “日曜文芸 詩”. 北海道新聞. (2017年12月3日)
- ^ 渡辺拓也 (2017年3月1日). “安部公房の世界 ゆかりの地に”. 北海道新聞
- ^ “「文学賞の世界」”. pelebo@nifty.com. 2020年8月16日閲覧。
- ^ 川上舞 (2017年12月1日). “「青芽」の志 次世代に 道内最長71年の歴史に幕”. 北海道新聞
- ^ “詩誌『FRAGILE(フラジャイル)』創刊 創刊71年の『青芽』の志を受け継ぐ”. あさひかわ新聞. (2017年11月21日)
- ^ 青い芽文芸社 (著)、富田正一(編)「詩誌『青芽』終刊 同人・会友 お別れ会報告記 本田初美」『青芽』No.576、2018年7月30日、83頁。
- ^ 三角みづ紀 (2019年11月12日). “道内文学 詩 番場早苗第3詩集 説明抑え情景巧みに描く”. 北海道新聞
- ^ “北海道詩人協会賞が決定”. 北海道新聞. (2020年7月21日)
- ^ “~柴田望さんが北海道詩人協会賞を受賞~詩集『顔』に旭川の詩人として11年ぶり”. メディアあさひかわ. (2020年8月15日)
- ^ 渡辺拓也 (2020年8月20日). “柴田さん 北海道詩人協会賞 岩見沢出身 第二詩集『顔』”. 北海道新聞
- ^ 佐藤愛未 (2020年8月25日). “道詩人協会賞に柴田さん 旭川在住 創作、発刊 尽力したい”. 北海道新聞
- ^ 佐藤愛未、折田智之 (2021年3月7日). “旭川歴史市民劇 31年ぶり上演 コロナで延期 大正から昭和 青年の成長描く”. 北海道新聞
- ^ 那須 敦志『旭川歴史市民劇 旭川青春グラフィティ ザ・ゴールデンエイジ』中西印刷、2021年7月31日、3-5頁。ISBN 978-4-89115-400-4 。
- ^ 佐久間和久 (2021年9月28日). “詩誌「フラジャイル」代表 柴田望さん 詩集『顔/楯/ドライブ/海岸線』出版”. あさひかわ新聞
- ^ a b 星野真 (2021年10月5日). “市文化賞にあべさん、功労賞 秋岡さん、奨励賞 柴田さん”. 北海道新聞
- ^ 柴田望『黒本』デザインエッグ、2017‐6‐1.。
- ^ 柴田望『顔』デザインエッグ、2019‐6‐17.。
- ^ 柴田望『壁/楯/ドライブ/海岸線』フラジャイル党、2021‐7‐28.。
- ^ 若宮明彦『波打ち際の詩想を歩く』文化企画アオサギ、2020年6月12日 。