日本とジンバブエの関係

日本とジンバブエの関係(にほんとジンバブエのかんけい、ショナ語: Hukama pakati Japan uye Zimbabwe英語: Japan-Zimbabwe relations) では、日本ジンバブエの関係について概説する。

日本とジンバブエの関係
JapanとZimbabweの位置を示した地図

日本

ジンバブエ

両国の比較

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  ジンバブエ   日本 両国の差
人口 1464万5468人(2019年)[1] 1億2626万人(2019年)[2] 日本ジンバブエの約8.6倍
国土面積 38万6000 km²[3] 37万7972 km²[4] ジンバブエ日本の約1.02倍
人口密度 37 人/km²(2018年)[5] 347 人/km²(2018年)[6] 日本ジンバブエの約9.4倍
首都 ハラレ 東京都
最大都市 ハラレ 東京都区部
政体 大統領制 共和制 民主制議院内閣制[7]
公用語 英語 ショナ語 北ンデベレ語 日本語事実上
通貨 RTGSドル 日本円
国教 なし なし
人間開発指数 0.563[8] 0.919[8]
民主主義指数 3.16[9] 7.99[9]
GDP(名目) 214億4075万米ドル(2019年)[10] 5兆819億6954万米ドル(2019年)[11] 日本ジンバブエの約237倍
一人当たり名目GDP 1464.0米ドル(2019年)[12] 40246.9米ドル(2019年)[13] 日本ジンバブエの約27.5倍
GDP(購買力平価) 433億7176万米ドル(2019年)[14] 5兆5043億3091米ドル(2019年)[15] 日本ジンバブエの約126.9倍
一人当たり実質GDP 2961.4米ドル(2019年)[16] 43593.5米ドル(2019年)[17] 日本ジンバブエの約14.7倍
経済成長率 -8.1%(2019年)[18] 0.7%(2019年)[19]
軍事 5億4693万9000米ドル(2019年)[20] 476億902万米ドル(2019年)[21] 日本ジンバブエの約87倍
地図    

歴史

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駐日ジンバブエ大使館全景(東京
 
ジンバブエ大使公邸(東京

1960年、当時まだイギリスの保護領「ローデシア・ニヤサランド連邦」であった時代に、首都ソールズベリー(現在のハラレ)に在ソールズベリー日本国総領事館が開設した[3][22]。しかし、北ローデシアザンビアとして、ニヤサランドマラウイとして独立を果たすと連邦は解体され、残った南ローデシア(現在のジンバブエにあたる地域)はローデシア共和国として一方的に独立を宣言。白人が実権を握り人種差別政策が推し進められていた事から国際社会はこれを認めず、国際連合の南ローデシア制裁決議履行の一環として在ソールズベリー総領事館は1968年に閉館した[23]

国際社会の圧力により1979年にはイギリス植民地に復帰し、1980年には改めてジンバブエ共和国として独立。これによりローデシア問題ローデシア紛争は終結し、日本はジンバブエを国家承認。1981年5月2日にはハラレ在ジンバブエ日本国大使館が開設し、一方のジンバブエ側は1982年3月8日に東京駐日ジンバブエ大使館を開設した[3]

外交

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日本からは、近年では2015年9月に外務大臣政務官中根一幸がジンバブエを訪問し、ロバート・ムガベ大統領に表敬したほか、ジンバブエ外相のシンバラシェ・ムンベンゲグウィ英語版と会談を実施した[24]。なお、中根一幸は同年4月にインドネシアジャカルタでもシンバラシェ・ムンベンゲグウィ英語版と会談を実施していた[25]

一方、ジンバブエの要人としては長年ジンバブエ大統領を務めたロバート・ムガベがその在任期間の長さを反映して、何度か訪日を実施[3]。近年では2013年や2015年、2016年に訪日し安倍晋三首脳会談を実施しており[26][27][28]、特に2016年の会談では経済安全保障面での協力を促す共同声明の発出が遂げられた[29]。その後、新たにジンバブエ大統領となったエマーソン・ムナンガグワは2019年8月にアフリカ開発会議の為に日本を訪れ、安倍晋三と首脳会談を実施し友好関係を維持した[30]

そのほか、2008年にはシンバラシェ・ムンベンゲグウィ英語版・ジンバブエ外相が訪日を実施して、当時外務大臣であった高村正彦と外相会談を実施している[31]

経済交流

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2017年までに累計1000億円以上の経済支援を実施しており、アメリカ合衆国や旧宗主国イギリスに次ぐジンバブエの主要援助国の一つである[3]。近年の主要な援助としては、安定した農業のための「ニャコンバ灌漑事業のための灌漑開発計画(17.91億円)」[32]やジンバブエの北部と南部を結ぶ「南北回廊北部区間道路改修計画(22.88億円)」[33]などが挙げられる。2016年には日ジンバブエ首脳会談に関連して、安倍晋三ロバート・ムガベの立ち合いのもとさらなる無償資金協力に関する書簡が交換された[34]

2018年日本の対ジンバブエ貿易は、輸出32.4億円に対し輸入16.4億円と日本側の黒字となっている。輸出品は主に自動車化学製品などで、輸入品は主に鉄鋼鉱物などの資源である[3]

直接投資としては、豊田通商がジンバブエで事業を展開し[35]関西ペイントはジンバブエ大手塗装会社アストラ・インダストリーズを買収して南部アフリカのビジネス拠点としている[36][37]。ジンバブエ第二の都市ブラワヨで開催されたジンバブエ国際貿易見本市2019では日本ブースが設けられ、富士フイルムなどが参加した[38]

旧通貨であるジンバブエ・ドルは2000年代ハイパーインフレーションによって殆どその価値を失っており、ジンバブエはより信用のある9種の外貨を法定通貨として定め、その中には日本円も含まれていた[39]。なお、実際に流通したのは米ドル南アフリカ・ランドであり、日本円の流通はごく稀であった。

文化交流

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両国大使館の広報・文化活動を通じた文化交流が行われている。

ユネスコ世界文化遺産「ムベンデ・ジェルサレマの踊り」に対するユネスコ無形文化遺産保護日本信託基金を通じた保護プロジェクトの支援が2006年から2009年にかけて実施されていた[40]

スポーツ面でジンバブエのブラワヨ出身であるプロ野球選手シェパード・シバンダが、香川オリーブガイナーズ福井ミラクルエレファンツで活躍した[41]。また、首都ハラレ出身であるプロバスケットボール選手ジュリアン・マブンガB.LEAGUEの4クラブに所属し7シーズンに渡り活躍した[42]

外交使節

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駐ジンバブエ日本大使

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駐日ジンバブエ大使

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氏名 在任期間 官職名 備考
1 ニャマヤロ・ハーバート・カテッザ 1982年 - 1990年 特命全権大使 信任状捧呈は4月28日[43]
初代
2 テンダイ・ムトンフ 1990年 - 1994年[44][45] 特命全権大使 信任状捧呈は6月27日[46][47]
3 ブズワニ・ドナルド・モトビ英語版 1994年 - 1998年[48] 特命全権大使 信任状捧呈は5月24日[49][50]
4 アンドリュー・ハマ・ムテトワ 1999年 - 2002年[51] 特命全権大使 信任状捧呈は7月21日[52][53]
ピーター・チャリ 2002年 - 2003年[54] 臨時代理大使
5 スチュアート・ハロルド・コンバーバッハ英語版 2003年 - 2014年[55] 特命全権大使 信任状捧呈は1月22日[56]
ロイド・シトーレ 2014年 - 2015年[57] 臨時代理大使
6 タイタス・メリスワ・ジョナサン・アブ=バスツ 2015年 - 2022年[58] 特命全権大使 信任状捧呈は10月22日[59]
ルテンド・パイダモヨ・マツァンガイセ 2022年 - 2023年[60] 臨時代理大使
7 ステュワート・ニャコチョ 2023年 - 特命全権大使 信任状捧呈は4月24日[61]

脚注

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  1. ^ Population, total - Zimbabwe世界銀行.最終閲覧日2021年3月19日
  2. ^ Population, total - Japan世界銀行.最終閲覧日2021年3月17日
  3. ^ a b c d e f ジンバブエ共和国(Republic of Zimbabwe)基礎データ外務省.最終閲覧日2021年3月19日
  4. ^ 日本の統計2016 第1章~第29章 | 総務省統計局.最終閲覧日2021年3月17日
  5. ^ Population density (people per sq. km of land area) - Zimbabwe世界銀行.最終閲覧日2021年3月19日
  6. ^ Population density (people per sq. km of land area) - Japan世界銀行.最終閲覧日2021年3月17日
  7. ^ 日本国憲法で明確に定められている。
  8. ^ a b Human Development Report 2020国際連合開発計画.最終閲覧日2021年3月17日
  9. ^ a b Democracy Index 2020.最終閲覧日2021年3月17日
  10. ^ GDP (current US$) - Zimbabwe世界銀行.最終閲覧日2021年3月17日
  11. ^ GDP (current US$) - Japan世界銀行.最終閲覧日2021年3月17日
  12. ^ GDP per capita (current US$) - Zimbabwe世界銀行.最終閲覧日2021年3月19日
  13. ^ GDP per capita (current US$) - Japan世界銀行.最終閲覧日2021年3月17日
  14. ^ GDP, PPP (current international $) - Zimbabwe世界銀行.最終閲覧日2021年3月19日
  15. ^ GDP, PPP (current international $) - Japan世界銀行.最終閲覧日2021年3月17日
  16. ^ GDP per capita, PPP (current international $) - Zimbabwe世界銀行.最終閲覧日2021年3月19日
  17. ^ GDP per capita, PPP (current international $) - Japan世界銀行.最終閲覧日2021年3月17日
  18. ^ GDP growth (annual %) - Zimbabwe世界銀行.最終閲覧日2021年3月19日
  19. ^ GDP growth (annual %) - Japan世界銀行.最終閲覧日2021年3月17日
  20. ^ Military expenditure (current USD) - Zimbabwe世界銀行.最終閲覧日2021年3月19日
  21. ^ Military expenditure (current USD) - Japan世界銀行.最終閲覧日2021年3月17日
  22. ^ わが外交の近況(第5号) 昭和36年8月』 二 わが国と各地域との間の諸問題 > 英連邦関係 > 4 アフリカの英連邦諸国との関係 > (2) 在ソールズベリー総領事館の開館外務省
  23. ^ 『わが外交の近況 昭和43年度 (第13号)』 第2部 各説 > 第1章 わが国と各国との諸問題 > アフリカ地域 > 3. 南部アフリカ諸国との関係 > (2) 南ローデシアとの関係外務省
  24. ^ 中根外務大臣政務官のエチオピア及びジンバブエ訪問(結果)外務省
  25. ^ 中根外務大臣政務官とムンベンゲグウィ・ジンバブエ共和国外務大臣の会談
  26. ^ 日・ジンバブエ首脳会談(2013)外務省
  27. ^ 日・ジンバブエ首脳会談(2015)外務省
  28. ^ 日・ジンバブエ首脳会談(2016)外務省
  29. ^ ロバート・ガブリエル・ムガベ・ジンバブエ共和国大統領の公式実務訪問に際しての日本国とジンバブエ共和国の共同声明
  30. ^ 日・ジンバブエ首脳会談(2019)外務省
  31. ^ 日・ジンバブエ外相会談外務省
  32. ^ ニャコンバ灌漑事業のための灌漑開発計画‐ODA見える化サイト
  33. ^ 南北回廊北部区間道路改修計画‐ODA見える化サイト
  34. ^ ジンバブエに対する無償資金協力に関する書簡の交換外務省
  35. ^ アフリカでの事業展開について - 豊田通商株式会社
  36. ^ 関西ペイントがジンバブエ塗料大手買収、アフリカ事業拡大狙うREUTERS.2013年7月30日
  37. ^ 関西ペイント、ジンバブエ塗料最大手を買収 アフリカ南部開拓日本経済新聞.2013年7月28日
  38. ^ ジンバブエ国際見本市に日本ブース出展JETRO
  39. ^ ジンバブエが日本円を採用 困難な中央銀行の信用回復DIAMOND online.2014.3.3 0:12
  40. ^ 無形文化遺産の保護外務省
  41. ^ NPB初、「アフリカ人選手」誕生。「野球不毛の地」、アフリカと野球の浅からぬ縁Yahoo!ニュース.2019/12/6
  42. ^ ジュリアン・マブンガが自身のSNSで引退を発表…「またお会いすることを楽しみにしています」”. バスケットボールキング (2023年2月8日). 2023年2月8日閲覧。
  43. ^ 官報』第16575号(昭和57年5月1日)13頁
  44. ^ 【H.E.Dr. Tendai... - Embassy of Japan in Zimbabwe /在ジンバブエ日本国大使館”. Facebook. 在ジンバブエ日本国大使館 (2015年6月18日). 2024年2月22日閲覧。(日本語)(英語)
  45. ^ ご引見(平成5年)”. 宮内庁. 2024年2月22日閲覧。
  46. ^ 信任状捧呈式(平成2年)”. 宮内庁. 2024年2月22日閲覧。
  47. ^ 官報』第402号(平成2年6月29日)14頁
  48. ^ ご引見(平成5年)”. 宮内庁. 2024年2月22日閲覧。
  49. ^ 信任状捧呈式(平成10年)”. 宮内庁. 2024年2月22日閲覧。
  50. ^ 官報』第1406号(平成6年5月26日)8頁
  51. ^ ご引見(平成14年)”. 宮内庁. 2024年2月22日閲覧。
  52. ^ 信任状捧呈式(平成11年)”. 宮内庁. 2024年2月22日閲覧。
  53. ^ 官報』第2673号(平成11年7月23日)12頁
  54. ^ 在日ジンバブエ共和国大使館・総領事館”. Internet Archive. 外務省. 2002年12月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月22日閲覧。
  55. ^ ご引見(平成26年)”. 宮内庁. 2024年2月22日閲覧。
  56. ^ 報道発表”. 外務省 (2003年1月21日). 2024年2月22日閲覧。
  57. ^ 駐日各国大使リスト”. Internet Archive. 外務省 (2014年9月26日). 2014年10月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月22日閲覧。
  58. ^ 秋篠宮家のご日程:令和4年(7月~9月)”. 宮内庁. 2024年2月22日閲覧。
  59. ^ 新任駐日ジンバブエ大使の信任状捧呈”. 外務省 (2015年10月22日). 2024年2月22日閲覧。
  60. ^ 駐日各国大使リスト”. Internet Archive. 外務省 (2022年9月5日). 2022年9月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月22日閲覧。
  61. ^ 新任駐日ジンバブエ大使の信任状捧呈”. 外務省 (2023年4月24日). 2024年2月22日閲覧。

参考文献

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  • ジンバブエ共和国(Republic of Zimbabwe)基礎データ 外務省

関連項目

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外部リンク

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