小林司 (精神医学者)
小林 司(こばやし つかさ、1929年3月21日[1] - 2010年9月27日[1])は、日本の精神科医、作家、翻訳家。
人物
編集青森県弘前市出身。 東京大学大学院博士課程修了。医学博士。大宅壮一東京マスコミ塾第7期生。上智大学カウンセリング研究所教授を経てメンタル・ヘルス国際情報センター所長。
洋子夫人は東山あかねという筆名で、「二人で一人」と公言している位である。「シャーロック・ホームズ」関連の共著・訳を中心に数十冊刊行している。
小林は極めて闊達なエスペランティストとしても知られ、日本エスペラント学会の顧問でもあった。エスペラントについてやその入門書、その開発者のザメンホフに関する著作も多く、共著・再刊を入れると100冊を超える著訳著を刊行。ジークムント・フロイト研究も著名。また、漫画家の小林エリカの父でもある。
筆名
編集小林司はエスペラント関係の著作には朝比賀 昇(あさひが のぼる)の筆名を使ったものが多数ある。この筆名は、エスペラントの著名な詩"La Tagiĝo"(ラ・タギージョ、意味は「夜明け」「日が昇ること」)に由来する[4]。また夫人の筆名の「東山あかね」はこの筆名と組になる名前である。
著書
編集- 『美しい英文の書き方』(大学書林) 1967
- 『精神医療と現代』(日本放送出版協会) 1972
- 『頭の栄養学 秀才は食事でつくられる』(光文社カッパブックス) 1975
- 『世界をひとつの言葉で - ザメンホフ伝』(国土社) 1976
- 『サラリーマンの心の病 仕事と遊びとノイローゼ』(日本労働協会) 1977
- 『出会いについて 精神科医のノートから』(日本放送出版協会、NHKブックス) 1983
- 『心にはたらく薬たち 精神治療薬と精神世界を拡げる薬』(筑摩書房、ちくまぶっくす) 1985
- 『なりたい自分になれる本 奇跡の行動療法』(光文社、カッパブックス) 1986
- 『心の健康学入門 ストレスからの脱出』(国土社) 1987
- 『脳を育てる脳を守る』(日本放送出版協会、NHKブックス) 1987
- 『性格を変えたいと思ったとき読む本 「新しい自分」への17章』(PHP研究所) 1988、のち改題『性格は変えられる ホームズとワトスンに学ぶ心理学講座』(PHP文庫)
- 『知能がきまる三歳までの栄養 秀才赤ちゃんをつくる』(社会保険出版社) 1988
- 『「生きがい」とは何か 自己実現へのみち』(日本放送出版協会、NHKブックス) 1989
- 『悩んだら読む本:メンタル・ヘルス111のQ&A』(PHP研究所) 1989
- 『頭をよくする栄養学』(三笠書房) 1993
- 『カウンセリング事典』(新曜社) 1993
- 『愛とは何か』(日本放送出版協会、NHKブックス) 1997
- 『心の謎を解く150のキーワード 現代人の心の不思議がわかる!』(講談社、ブルーバックス) 2000
- 『昭和ヒト桁パソコン挑戦日記』(宝島社新書) 2000
- 『入門こころの科学 知りたい自分の心・わかりたい他人の心』(あすなろ書房) 2001
- 『ザメンホフ 世界共通語を創ったユダヤ人医師の物語』(原書房) 2005
共著編
編集- 『エスペラント基本単語集』(石橋渡共編、白水社) 1959
- 『新精神薬理学:行動への薬理学的アプローチ』(医学書院) 1968
- 『日本エスペラント文献目録 1946-1972』(峰芳隆共編、エスペラント普及会) 1973
- 『学校精神衛生の展望』(徳田良仁共編、日本精神衛生会) 1975
- 『精神医学図書総覧』(編、岩崎学術出版社) 1975
- 『人間の心と性科学』1 - 2(徳田良仁共編、星和書店) 1977 - 1978
- 『医師・看護婦への道』(東山あかね共著、ポプラ社、君たちの将来は) 1978
- 『エスペラント運動の展望』(萩原洋子共著、世界文化研究会) 1978
- 『患者の心を開く:看護とカウンセリング』(桜井俊子共著、メヂカルフレンド社) 1988
- 『20世紀とは何だったのか マルクス・フロイト・ザメンホフ』(なだいなだ共著、朝日選書) 1992
- 『精神医学・行動科学辞典 英独仏ラー和』(徳田良仁共編、医学書院) 1993
- 『4時間で覚える地球語エスペラント』(萩原洋子共著、白水社) 1995
- 『カウンセリング大事典』(編、新曜社) 2004
- 『看護・介護のための心をかよわせる技術 「出会い」から緩和ケアまで』(桜井俊子共著、新曜社) 2008
シャーロック・ホームズ関連
編集- 『ガス燈に浮かぶシャーロック・ホームズ』(東山あかね共著、立風書房) 1978、のち再刊 1987
- 『シャーロック・ホームズ』(東山あかね共編、パシフィカ、名探偵読本) 1978
- 『シャーロック・ホームズ解読百科 推理小説の新しい楽しみ方』(東山あかね共著、河出書房新社) 1980
- 『シャーロック・ホームズ讃歌』(東山あかね共編、立風書房) 1980
- 『真説シャーロック・ホームズ』(東山あかね共著、講談社文庫) 1980
- 『名探偵ホームズの世界』(東山あかね共著、国土社、日本少年文庫) 1983
- 『シャーロック・ホームズの倫敦 写真集』(東山あかね共構成・文、植村正春写真、求竜堂) 1984
- 『シャーロック・ホームズの深層心理』(東山あかね共著、晶文社) 1986
- 『アイラヴシャーロックホームズ 「ホームズ物語」もうひとつの愉しみ方』(東山あかね共編、ティビーエス・ブリタニカ ) 1987
- 『解読シャーロック・ホームズ』(東山あかね共編、東京図書) 1987
- 『詳説シャーロック・ホームズ』(東山あかね共編、東京図書) 1987
- 『熟考シャーロック・ホームズ』(東山あかね共著、東京図書) 1987
- 『探究シャーロック・ホームズ』(東山あかね共編、東京図書) 1987
- 『シャーロック・ホームズへの旅』1 - 2(東山あかね共著、東京書籍) 1987 - 1993
- 『シャーロック・ホームズを100倍楽しむ本』(東山あかね共編著、ほるぷ出版) 1992
- 『ホームズのヴィクトリア朝ロンドン案内』(東山あかね共著、新潮社、とんぼの本) 1993
- 『シャーロッキアンは眠れない ホームズ物語に隠された63の謎』(東山あかね共著、飛鳥新社) 1994、のち改題『シャーロック・ホームズの謎を解く』(宝島sugoi文庫)
- 『図説シャーロック・ホームズ』(東山あかね共著、河出書房新社) 1997
- 『シャーロック・ホームズの醜聞』(東山あかね共著、晶文社) 1999
- 『優雅に楽しむ新シャーロック・ホームズ読本』(東山あかね共編、フットワーク出版) 2000
- 『シャーロック・ホームズ大事典』(東山あかね共編、東京堂出版) 2001
- 『シャーロック・ホームズの推理博物館』(東山あかね共著、河出書房新社) 2001
翻訳
編集- 『エスペラントの歴史』(エドモン・プリバー、大島義夫共訳、理論社) 1957
- 『異常心理の発見』(クリフォード・アレン、岩崎書店) 1965、のち角川選書、ちくま学芸文庫
- 『一万年後』(A・ベリー、光文社、カッパ・ブックス) 1975
- 『英国生活物語』(W・J・リーダー、山田博久共訳、晶文社) 1983
- 『人生の"上昇気流"に乗る法』(ロバート・A・シュラー、三笠書房) 1992
- 『マンガ脳科学入門 心はどこにある?』(アングス・ゲラトゥリ, オスカー・サラーティ、講談社、ブルーバックス) 2001
- 『超図説目からウロコの進化心理学入門 人間の心は10万年前に完成していた』(ディラン・エヴァンス、講談社) 2003
- 『超図説目からウロコの精神分析学入門 進化した解釈から最新の精神療法まで』(アイヴァン・ワード、講談社) 2003
- 『超図説目からウロコのユング心理学入門 心のタイプ論、夢分析から宗教、錬金術まで』(マギー・ハイド、講談社) 2003
- 『フロイト最後の日記 1929~1939』(ロンドン・フロイト記念館編、日本教文社) 2004
- 『ザメンホフ通り エスペラントとホロコースト』(ロマン・ドブジンスキ, L.C.ザレスキ=ザメンホフ、青山徹, 中村正美共監訳、原書房) 2005
- 『マンガフロイト入門 精神分析の創始者』(リチャード・アッピグナネッセイ、オスカー・サラーティ絵、講談社、ブルーバックス) 2007
シャーロック・ホームズ関連
編集- 『シャーロック・ホームズ:ガス灯に浮かぶその生涯』(W・S・ベアリング・グールド、東山あかね共訳、講談社) 1977、河出文庫 1987
- 『シャーロック・ホームズ17の愉しみ』(J・E・ホルロイド編、東山あかね共訳、講談社) 1980、河出文庫 1988
- 『ホームズ最後の対決』(ホール、東山あかね共訳、講談社文庫) 1980
- 『シャーロック・ホームズを読む 推理小説へのパスポート』(エラリー・クイーンほか、東山あかね共編訳、講談社) 1981
- 『シャーロック・ホームズの死と復活 ヨーロッパ文学のなかのコナン・ドイル』(サミュエル・ローゼンバーグ、柳沢礼子共訳、河出書房新社) 1982
- 『シャーロック・ホームズの生れた家』(ロナルド・ピアソール、島弘之共訳、新潮選書) 1983、河出文庫 1990
- 『シャーロック・ホームズの私生活』(ヴィンセント・スタリット、東山あかね共訳、文藝春秋) 1987、河出文庫 1992
- 『シャーロック・ホームズ 世紀末とその生涯』(H・R・F・キーティング、共監訳、東京図書) 1988
- 「ホームズは名探偵」シリーズ(コナン・ドイル、東山あかね共訳、金の星社)、のちフォア文庫
- 『消えたグロリア・スコット号』 1989
- 『ローリストン・ガーデン殺人事件』 1989
- 『怪事件まだらのひも』 1990
- 『花よめ失そう事件』 1990
- 『ボヘミア王の秘密』 1990
- 『青い宝石盗難事件』 1991
- 『アヘン窟に消えた男』 1991
- 『なぞの赤毛連盟』 1991
- 『恐怖の谷』 1992
- 『ギリシャ語通訳の悲劇』 1993
- 『インドの秘宝怪事件』 1995
- 『バスカヴィル家の魔犬』 1997
- 「シャーロック・ホームズ全集」河出書房新社、新版・河出文庫 2014
- オーウェン・ダドリー・エドワーズ注・解説、東山あかね・高田寛共訳
- 『緋色の習作』 1997
- 『シャーロックホームズの冒険』 1998
- 『四つのサイン』 1998
- 『シャーロック・ホームズの思い出』 1999
- 『シャーロック・ホームズの帰還』 1999
- 『シャーロック・ホームズ最後の挨拶』 2000
- 『恐怖の谷』 2001
- 『シャーロック・ホームズの事件簿』 2002
- 『バスカヴィル家の犬』 2002
- 『シャーロック・ホームズ 事件と心理の謎』(ジョン・ラドフォード、東山あかね・熊谷彰共訳、講談社) 2001
- 『シャーロック・ホームズの失われた冒険』(ジャムヤン・ノルブ、東山あかね・熊谷彰共訳、河出書房新社) 2004
脚注
編集- ^ a b La Revuo Orienta 2010年11月号p.36 会員情報欄(財団法人日本エスペラント学会)
- ^ シャーロック・ホームズの謎を解く: 紀伊國屋書店BookWeb(小林司、東山あかね『シャーロック・ホームズの謎を解く』宝島社、ISBN 9784796671804、2009年)の「著者紹介」の「小林司[コバヤシツカサ]」に「日本シャーロック・ホームズ・クラブ主宰者」とある。
- ^ 小林司氏死去 精神科医 - 47NEWS(よんななニュース)
- ^ La Revuo Orienta 2011年1月号p.31 追悼 小林司さんの運動史研究(財団法人日本エスペラント学会)