国民保養温泉地
国民保養温泉地(こくみんほようおんせんち)とは、温泉の利用促進を狙い、温泉法(昭和23年法律第125号)第29条に基づいて環境大臣が指定した温泉地のこと。
概要
編集国民保養温泉地に指定された温泉地は、
温泉利用の効果が充分期待され、かつ健全な温泉地としての条件を備えている
という条件を満たしている必要性がある。
指定される条件は、大きく分けて源泉に関する水や含有成分などについての条件、温泉地の環境に関する安全性に関わる条件に分かれる。
- 2012年に国民保養温泉地の指定基準が改訂され、単に温泉そのものの評価だけでなく、自然環境、まちなみ、歴史、風土、文化など将来的な地域づくりにつながる観点からも保養地として適正かどうかが求められるようになった[1]。
1954年に、酸ヶ湯温泉、日光湯元温泉、四万温泉が指定されてから、2017年(平成29年)5月15日現在で97箇所[2]、2019年(令和元年)10月現在で80箇所[3]が指定されている。
歴史ある温泉地もあれば、碁点温泉、六日町温泉、吉井温泉、筑後川温泉など開湯から数年後に条件を満たして指定されている例もあるなど、多彩な温泉地が指定されている。一方で、温泉地を中心とした観光開発を進めるため、国民保養温泉地の指定を返上する場合もある(例・鳥取県:三朝温泉)。また、市町村合併等を経て国民保養温泉地の拡充を行う例もある(例・大分県:湯布院温泉郷)。
国民保養温泉地の指定は、当初は厚生省が担当していたが、1971年に環境庁が誕生してからは同庁が担当するようになった。そして、2001年に環境庁が環境省に組織変更が行われてからは環境省が指定を行っている。
新規の温泉地指定については、2015年に大分県の竹田温泉群と神奈川県の芦之湯温泉が、2019年に山形県のあつみ温泉が新規指定された。
国民保健温泉地
編集高齢化社会や生活の都市化の進展などにより、温泉の有する保健的効能を積極的に活用するニーズが高まっていった。それを受け、国民保養温泉地に指定された温泉地のうち、特に温泉の保健的利用を促進することが可能な温泉地を、国民保健温泉地として追加指定するようになった。指定は1981年(昭和56年度)から[4]1995年(平成7年度)まで[5]。
ふれあい・やすらぎ温泉地
編集生活の都市化の進展などにより、自然とのふれあい、安らぎを求める声が高まった。それを受け、国民保養温泉地に指定された温泉地のうち、特に自然とのふれあいや自然の中で安らぐ事に適した温泉地を、ふれあい・やすらぎ温泉地として追加指定するようになった。指定は1993年(平成5年度)から[6]2004年(平成16年度)まで[5]。
国民保養温泉地一覧
編集下記一覧には過去に指定されていた温泉地を含む。
北海道地域
編集東北地域
編集青森県
編集岩手県
編集宮城県
編集秋田県
編集- 八幡平温泉郷[注釈 1](玉川、後生掛、ふけの湯、大沼、大深)[5]
- ふれあい・やすらぎ温泉地
- 田沢湖高原温泉郷(乳頭温泉郷、田沢湖高原温泉)[5]
- 秋ノ宮温泉
- 大館ぐるみ温泉郷(大滝、雪沢、矢立、田代、大葛、大館市街地)[5][7][8][9] - 2017年指定[2]
山形県
編集福島県
編集関東地域
編集栃木県
編集群馬県
編集- 四万温泉[5]
- 国民保健温泉地、ふれあい・やすらぎ温泉地
- 鹿沢温泉[5]
- 片品温泉郷
- 上牧・奈女沢温泉
- 湯宿・川古・法師温泉
- 国民保健温泉地
- みなかみ町国民保養温泉地(上牧、奈女沢、湯宿、川古、猿ヶ京、法師温泉)[5] - 2018年指定[10]
神奈川県
編集中部地域
編集新潟県
編集石川県
編集山梨県
編集長野県
編集岐阜県
編集静岡県
編集三重県
編集- 湯ノ口温泉
- ふれあい・やすらぎ温泉地
関西地域
編集京都府
編集兵庫県
編集奈良県
編集和歌山県
編集中国地域
編集鳥取県
編集島根県
編集岡山県
編集広島県
編集山口県
編集四国地域
編集香川県
編集愛媛県
編集九州地域
編集福岡県
編集長崎県
編集熊本県
編集大分県
編集- 湯布院温泉郷(由布院、湯平、塚原、庄内、挾間)[5][1] ※2019年9月、「湯布院温泉」から拡充指定(再指定)
- 国民保健温泉地、ふれあい・やすらぎ温泉地
- 鉄輪・明礬・柴石温泉[5] - 別府温泉
- 竹田温泉群(長湯温泉、久住温泉郷、竹田・荻温泉)
鹿児島県
編集脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b “湯布院温泉郷(由布院温泉、湯平温泉、塚原温泉、庄内温泉、挾間温泉) 国民保養温泉地計画の概要” (PDF). 大分県由布市. 2019年9月7日閲覧。
- ^ a b c d “【大舘、湯郷、梅ヶ島】国民保養温泉地概要_280510” (PDF). 環境省自然環境局自然環境整備課温泉地保護利用推進室 (2017年5月16日). 2018年4月5日閲覧。 “国民保養温泉地とは、温泉法(昭和23年法律第125号)に基づき温泉の公共的利用増進のため、温泉利用の効果が十分に期待され、かつ、健全な保養地として活用される温泉地を環境大臣が指定するものです。”
- ^ “国民保養温泉地 [温泉の保護と利用]”. www.env.go.jp. 2020年7月7日閲覧。
- ^ 環境用語集:「国民保健温泉地」 - EICネット(一般財団法人環境イノベーション情報機構)
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq ar as at au av aw ax ay az ba bb bc bd be bf bg bh bi bj bk bl bm bn bo bp bq br bs bt bu bv bw bx by bz “国民保養温泉地の現状と課題今後のあり方について 平成26年2月”. 環境省. p. 15. 2020年7月7日閲覧。
- ^ 環境用語集:「ふれあい・やすらぎ温泉地」 - EICネット(一般財団法人環境イノベーション情報機構)
- ^ a b c “環境省の「国民保養温泉地」 梅ケ島(静岡)に指定状”. 静岡新聞アットエス. (2017/5/16 07:40) 2018年4月5日閲覧. "環境省は15日、静岡市葵区の梅ケ島温泉郷など全国3カ所を、新たに「国民保養温泉地」に指定した。"
- ^ a b c “国民保養温泉地として新たに秋田県大館市大館ぐるみ温泉郷、静岡県静岡市梅ヶ島温泉郷及び岡山県美作市湯郷温泉を指定しました”. (2017年5月16日) 2018年4月5日閲覧. "国民保養温泉地とは、温泉法(昭和23年法律第125号)に基づき温泉の公共的利用増進のため、温泉利用の効果が十分に期待され、かつ、健全な保養地として活用される温泉地を環境大臣が指定するものです。今回、新たに、秋田県大館市大館ぐるみ温泉郷、静岡県静岡市梅ヶ島温泉郷及び岡山県美作市湯郷温泉を国民保養温泉地として指定しましたので、お知らせします。"
- ^ “大館ぐるみ温泉郷 | 日本温泉協会”. 一般社団法人 日本温泉協会 ~温泉名人~. 2020年7月7日閲覧。
- ^ a b “湯野浜温泉・みなかみ温泉、国民保養温泉地に指定 環境省”. 観光経済新聞 (2018年6月21日). 2020年7月7日閲覧。
関連項目
編集外部リンク
編集- 国民保養温泉地 - 環境省
- 国民保養温泉(こくみんほようおんせん) - コトバンク