南満洲鉄道パシハ型蒸気機関車
南満洲鉄道パシハ型蒸気機関車は、南満洲鉄道(満鉄)が設計・製造・運用した蒸気機関車。
南満洲鉄道パシハ型蒸気機関車 | |
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満鉄パシハ6 一九三八年撮影 | |
基本情報 | |
運用者 | 南満洲鉄道(満鉄)中国鉄道 |
製造所 | 1937年 - 1940年 日立製作所、南満洲鉄道大連工場製 |
製造数 | 17両 |
運用開始 | 1934年(昭和9年) |
投入先 | 満鉄連京線 |
主要諸元 | |
軸配置 | 2C1(4-6-2) |
軌間 | 1,435 mm |
車体長 | 24,705mm |
車体幅 | 3,201mm |
車体高 | 4,789mm |
機関車重量 | 114.91t |
動輪上重量 | 68.57t |
先輪径 | 920 mm |
動輪径 | 1,850mm |
従輪径 | 1,270 mm |
シリンダ (直径×行程) | 600mm×710mm |
弁装置 | ワルシャート式 |
ボイラー圧力 | 14.5 kg/cm2 |
火格子面積 | 5.36m2 |
燃料 | 石炭 |
引張力 | 167.0 kN (37,500 ポンドf ) |
概要
編集パシコ形を凌駕する機関車として高速旅客列車用に製造された。ボイラーはマテイの短縮版で燃焼室と煙管長をそれぞれ380㎜と900㎜短くした。動輪は1850mmと同じで軸重は23トンで半流線形の外被を持つ。保守の手間を低減し、機関車運用効率を向上させるため、機関車、炭水車の各軸受にSKF社のローラーベアリングを装備した。また、燃焼室、シュミットE形加熱器、給水加熱器、自動給炭機などを備える。ローラーベアリングはダブサ形で採用[1]したものの、取扱い経験不足であり、当初は予期せぬ故障が発生したが、その後は平均キロ、走行キロ当たり修繕費ともに、従来のパシと比較して大きな向上を達成した。
また、1937年の日立製6両のうち816には箱形動輪が採用され、1940年の大連工場製には第一第三動輪がスポーク動輪で第二動輪が特殊中空動輪として採用された。[2]
連京線で「はと」などの急行列車の牽引に使用され、安奉線の複線化後は新京駅 - 安東駅間の長距離運転をした時期もあった。また、1943年5月3日より1週間、新京駅 - 安東駅間にて満洲国皇帝用のお召し列車を牽引しており、満洲国鉄線用の1両は宮廷列車用として準備されたものとも考えられる。
戦後
編集満鉄線所属機、満洲国鉄線所属機を合わせて、大連埠頭局管内 (16) 、奉天鉄道局管内 (1) に17両が存在し、中華民国に引渡された。中華人民共和国成立後は、「PX8」形、のちに「勝利 (SL) 8」形801 - 817となった。毛沢東専用列車を牽引する写真が公開されたこともある。1980年前後には804 - 806, 811, 815の5両が北京や鄭州周辺で目撃されている。
保存
編集現在は815が瀋陽蒸気機関車博物館に保存されている。
脚注
編集注釈
編集出典
編集参考文献
編集- 高木宏之 『満洲鉄道発達史』 株式会社潮書房光人社、2012年、ISBN 978-4-7698-1524-2
- 高木宏之 『満洲鉄道写真集』 株式会社潮書房光人社、2013年、ISBN 978-4-7698-1535-8
- 『南満洲鉄道の車両:形式図集』 市原善積等編著、誠文堂新光社、1970年、全国書誌番号:69000946。
- 『中国蒸汽机車世紀集影 (1876-2001) 』 中国鉄道出版社、2001年7月、ISBN 7-113-04148-5。
- デイビット・ロス 著、小池滋・和久田康雄 訳『世界鉄道百科事典』悠書館。ISBN 978-4-903487-03-8。
- 齋藤晃『蒸気機関車の技術史』(改訂増補版)成山堂書店〈交通ブックス117〉、2018年。ISBN 978-4425761623。