ルール63
ルール63(英語: Rule 63)とは、「すべての男性および女性キャラクターには、性別を入れ替えた(性転換)バージョンが存在する」というインターネット・ミーム[1][2]。海外の掲示板サイト4chanが発祥とされ、のちに様々な作品のファンへ広まった。
ルール34と同じく「インターネットの規則(Rules of the Internet)」として提唱され、その中でも有名な規則の一つとされる。ただしルール34とは異なり、後で追加された規則のため人によっては含めない場合がある。
内容
編集ルール63は「特定の男性キャラクターには、そのキャラクターの女性バージョンがある」と「特定の女性キャラクターには、そのキャラクターの男性バージョンがある」の2項から成る。ただし女性の男性化は、男性の女性化よりも重要ではないという暗黙の補足が存在する[3]。中性・両性具有や性別が不明な場合、更には人間ではないものでも適用されることがある。また萌え擬人化と重複することもある。
対象は公式が創作した性転換キャラクターと、ファンが創作した二次創作(ファンアート等)やコスプレ(男装・女装、クロスプレイとも)などの非公式な設定の2つに分類される。
歴史
編集このルールが提唱される前の著名な性転換のネット文化の例として、「ブリス化」がある。これは1990年代にカプコンが開発した対戦型格闘ゲームのヴァンパイアに登場する、デミトリ・マキシモフが使用する必殺技ミッドナイトブリスに由来する。この技は相手が男性の場合、キャラクターを女性に変身させてからダメージを与えるという演出がなされており、クロスオーバー作品(例:頂上決戦 最強ファイターズ SNK VS. CAPCOM)を含めたほぼすべての男性キャラクターに女性化させた個別のイラストが用意されている。この演出は人気を博し、登場キャラクターの性別を入れ替えたファンアートを多く産み出しただけでなく、性転換というジャンルを促進したとされる[4]。
2006年ごろから、4chanを中心に「インターネットの規則(Rules of the Internet)」が形成された。この頃の規則は50程度で、例えば2007年2月15日に4chへ投稿された規則ではルール50までが確認できる[5]。その後も規則が追加されていく中で、ルール63は2007年中頃に誕生したとされる。オンライン辞書サイトのUrban Dictionaryには2007年8月8日にユーザーのInternetHateMachineが投稿した紹介記事が存在する[6]。その一方で、同じくUrban Disctionaryに2008年1月18日にユーザーの13375p33kが投稿した規則の記事には100までの規則が羅列されているが、ルール63には別の内容が記述されている[7]。その後インターネットの規則は下火となり風化していったが、ルール63は単独で現在でも使用され続けている。
元々は一部の人間でしか使われないスラングであったが、のちに大衆文化に浸透し「ハリウッドに認められた」と批評されている[8]。また女性コスプレイヤーの中には、男性キャラクターが多いスーパーヒーローを演じることで通常の女性キャラクターにない衣装・装備が身に付けられるとして一定の人気がある[9]。
著名な例
編集- 公式
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- ナンバー・シックス - SFテレビドラマのGALACTICA/ギャラクティカに登場する人間型の機械型生命体サイロンのうち、「セクシーな人間の女性(演:トリシア・エルファー)」に変身している個体。男性的・中性的なキャラクターをあえてセクシーな女性に置き換えることで、性行為(セックス)の比喩(メタファー)をしている[10]。
- ゴーストバスターズ - 実写映画作品。オリジナルの男性メンバーと類似点を持つ女性4人組が登場。ファンの間で用いられていた設定を公式が採用したものだといわれている[8]。
- リンクル - テレビゲームのゼルダの伝説シリーズに登場する男性キャラクターのリンクに似た女性キャラクター。元々は2014年にWii Uで発売されたゼルダ無双にリンクの女性版として登場する予定だったが、途中で廃案になった。後に発売されたニンテンドー3DS版ゼルダ無双(2016年発売)のオリジナルキャラクターとして公式に登場したが[11]、一部のファンは2017年発売のゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルドのリンクをリンクルへ変更するMod(非公式の改造)を公開し話題を集めた[12]。これは2014年に公開されたブレス オブ ザ ワイルドの予告映像で登場したキャラクターが、リンクだと明言されていなかったこと[13]に起因する。余談だがブレス オブ ザ ワイルド本編ではリンクが女装するシーンがある。
- 非公式
脚注
編集- ^ “Meet the Rules of the Internet”. CNN (2013年2月15日). 2021年3月22日閲覧。
- ^ “"Rule 34" Meme”. eyerys.com. 2021年3月23日閲覧。
- ^ Goodrum, Michael D.; Prescott, Tara; Smith, Philip (2018). Gender and the superhero narrative. Jackson: University Press of Mississippi. pp. 144–145. ISBN 978-1-4968-1880-5. OCLC 1030446156
- ^ “Analysis: Gaming’s Midnight Bliss – Gender Swapping Made Fun”. gamesutra.com (2009年10月19日). 2021年3月22日閲覧。
- ^ “The rules of the internet(2013年6月16日のアーカイブ)”. 2021年3月22日閲覧。
- ^ “Rule 63”. Urban Dictionary (2007年8月8日). 2021年3月23日閲覧。
- ^ Rules Of The Internet at the Wayback Machine (archived 2008-02-16)
- ^ a b “How Female Ghostbusters Prove Internet Rule 63: There's An Alternate Gender Version Of Everyone”. フォーブス (2015年7月10日). 2021年3月22日閲覧。
- ^ “Costumed fans put a gender spin on classic characters”. CNN (2013年9月3日). 2021年3月23日閲覧。
- ^ “How ‘Battlestar Galactica,’ ‘Game of Thrones,’ and FanFiction Conquered Pop Culture”. デイリー・ビースト (2017年7月12日). 2021年3月23日閲覧。
- ^ “Hyrule Warriors Legends for 3DS will include a new female Link, called Linkle”. Polygon (2015年11月12日). 2021年3月23日閲覧。
- ^ “This Breath of the Wild mod that turns Link into a girl is so good it could pass for official DLC”. GamesRadar+ (2018年3月7日). 2021年3月23日閲覧。
- ^ “Exclusive: That might not have been Link in the Wii U Zelda trailer, producer teases”. VentureBeat (2014年6月10日). 2021年3月23日閲覧。
- ^ “「クッパ姫を公式キャラに」任天堂宛ての署名乱立 日本からは公式化反対署名も”. BIGLOBEニュース (2018年9月27日). 2021年3月23日閲覧。
- ^ “「クッパ姫」Twitterで大ブーム 非公式キャラ流行...任天堂「コメント控える」”. J-CASTニュース (2018年9月25日). 2018年11月7日閲覧。
- ^ “「クッパ姫」が公式設定になる可能性が正式に消滅。クッパを「女体化(ピーチ化)」するというアイテム設定が公式に否定される”. AUTOMATION (2019年1月5日). 2019年9月17日閲覧。
関連項目
編集- ルール34 - こちらはすべてのキャラクターにポルノ(性的なもの)が存在するという規則(ミーム)。
- サービスカット
- 擬人化 / 萌え擬人化
- TSF (ジャンル)
- 女体化
- クロスプレイ (おたく)