ファミリー・フュード
「ファミリー・フュード」(Family Feud)は、アメリカの視聴者参加クイズ番組。1976年に開始し、2024年現在も放送中である。
ファミリー・フュード | |
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ジャンル | クイズ番組 |
企画 | マーク・グッドソン |
司会者 | スティーブ・ハービー(2010 – ) |
ナレーター | ルービン・アービン |
国・地域 | アメリカ合衆国 |
製作 | |
制作 | フリーマントル |
配給 | CBSテレビジョン・ディストリビューション(2019 – ) |
放送 | |
放送局 | シンジケーション |
放送期間 | 1976年 - |
公式ウェブサイト |
概要
編集「ジェパディ![1]」「ホイール・オブ・フォーチュン」「ザ・プライス・イズ・ライト[2]」と並び、アメリカを代表する「Game Show(クイズ・ゲーム番組)」である。[3]
主にゴールデンタイムの帯番組(30分間)として、シンジケーション(米国特有の番組流通網)を経由し、米国各地で放送されている。また番組を抜粋した動画がYouTubeで毎日公開されている。
メディア企業・フリーマントルが著作権を持っており、日本のテレビ番組「クイズ100人に聞きました」(TBSテレビ)の元になっている(日本版にはフリーマントル社のクレジットはない)。
有名人が出演するバージョン「Celebrity Family Feud」も独立した番組として制作されており(収録場所も異なる)、現在はABCが放映権を持っている。米国のクイズ番組では一般的に有名人バージョンは個別の番組として成立しているが、本項目では両者を一緒に扱う。
現在はロサンゼルスでの公開収録が行われている。
「Family Feud」は「家族間の骨肉の争い」と言った意味である[4]。
特徴
編集番組の性格上、富裕層は対象でなく一般庶民が出場し、また視聴する番組である。下ネタや尾籠な言葉も多く発せられる。
「Name something ...(~は何でしょう?)」「Survey said ...(答えたのは何人?)」「Good Answer!(いい答えだ!)[5]」など、「お約束」となっているフレーズがいくつかある。
構成
編集1976年の放送開始以来、細かな部分を除くと大きくは変えられていない。家族(親戚を含んでよい)5人を1チーム(ファミリー)とし、2チーム同士で対戦する。
なおセレブリティ版では賞金はすべて寄付(チャリティー)される。
レギュラー問題
100人にアンケートを取り、2人以上の回答があった答え(最大8つ)が「ボード」と呼ばれるディスプレイ上に表示される。
1ゲームのはじめは早押しクイズとなっており、チームのうち1人ずつが早押しの解答者として、早押しボタンのあるスタジオセット中央に移動。先にボタンを押した解答者が先に解答権を得る(誤答(解答が答えの中にない)、もしくは答えられない[6] 場合は、対戦相手の解答者が答えることができる)。ボタンを押せなかった解答者も解答し、より回答者数の多い(「Popular」)答えを当てたチームが先攻・後攻を選べる(強制的に先攻となった時期もある)。早押し解答者が両者とも解答できなかった場合は、チーム席に残ったメンバーが交互に解答する。
先攻となったチームメンバーはチーム席に戻り、後はボードの答えを予想して1人ずつ回答していく。答えが合っていれば順位は問わない。メンバー同士の相談は不可。逆に「後攻」となったチームはこの間、5人で相談をしていてよい。
答えがすべて開かれるまで答え続けることができ、答えの回答者数が「仮のポイント」となって蓄積されていく。誤答、もしくは言いよどんだ場合、ブザーが鳴り、画面上に「×」(「Strike」)が表示される。「×」が2つ以内の状態で答えをすべて解答し終えた場合、「仮のポイント」はすべて先攻チームのものとなって1ゲームが終了する(なお、1人しかない少数解答はボードに載らないため、ポイントは100に満たないことが多い[7])。
答えをすべて解答できずに「×」が3つになると後攻に解答権が移る。後攻が解答できるチャンスは1回しかないが、ここで正解すれば、先攻が答えた分を含め、仮のポイントを総取り(「Steal」)することができる。逆に後攻が解答に失敗した場合はブザーが鳴り「×」が表示され、仮のポイントは先攻が獲得する。
ゲームを繰り返し、ポイントを先に300点(時期により変動あり)獲得したチームが勝利となるが、スピードアップのために途中でポイントが2倍、さらに3倍となる。それでも時間がなくなった場合、1位だけを当てさせる「サドンデス」で決着をつける。
ファストマネー(Fast Money)
レギュラー問題で勝利したチームが挑戦するラストゲームである。「100人に聞きました」の「トラベルチャンス」に相当する。
勝利チームの中から代表者2人が登場し、短い制限時間中[8]に司会者から出される5つのアンケート問題に1人ずつ解答する。レギュラー問題同様に回答者数=ポイントとなる。2人で累計200ポイントを獲得すればクリア。現在は20000ドルを獲得できる(「ブルズアイゲーム」があった時期は最大30000ドル)。2人で解答して200ポイントに満たなかった場合は、ポイント×5ドルを獲得。
2人目の解答者はスタジオの裏でヘッドフォンと目隠しをされ、1人目の解答が終わった後に登場する。2人目は解答時間が5秒プラスされ、1人目と解答が重複した場合はブザーが鳴り答え直しが可能。
ファストマネーの結果を問わず、勝者チームは賞金を繰り越して次の回にも出演し、5回勝ち抜けするとボーナス(自動車、2024年からは30000ドル)も獲得できる。
セレブリティ版の場合はクリアすれば25000ドルを獲得、ただし全額寄付される。勝ち抜き制はない。
ブルズアイゲーム(Bullseye Game)
放送時間が延長された1992年以降、2010年まで断続的に続けられたゲーム。ドーソン復帰時のみ「バンクロール(Bank Roll)」と改称されている。各チーム1人ずつ早押し問題に挑戦し、1位を解答できたチームは「ファストマネー」の賞金が上乗せされていく(2位以下は誤答扱い)。2010年のリニューアル以降、現在まで行われていない。
略史
編集1976年、ABCで放送が始まる。初代司会はリチャード・ドーソン(俳優[9])。「ボード」は、レギュラー問題用の回転式パネルと、「ファストマネー」に使う電光掲示板で構成されていた。国民的番組となり[10]、1985年まで放送される。
1988年にレイ・コームス(コメディアン)を起用して復活。CBSに放映権が移る(シンジケーションでも放送)。カントリー・ミュージック調のテーマ曲がアレンジし直される(このときのバージョンは2020年現在も使われている)。放送時間を1時間に延長するなど好評を博す。1994年にリニューアルし、初代のドーソンが司会として呼び戻される[11] が翌年に再度終了。
1999年にシンジケーションで再び復活し、ルイ・アンダーソン(コメディアン)が起用される。テーマ曲やスタジオ意匠、タイトルロゴを一新。これ以降、「ボード」は大型ディスプレイとなっている。
2002年にはリチャード・カーン(俳優)が司会に就任。ハロウィン仮装大会、消防士大会、軍人大会など出場者を限定した回も制作された。2003年にはテーマ曲が1988年のものに戻されたが、短期間で1999年のものに再度変更された。
2006年のリニューアルでは「となりのサインフェルド」に出演していた俳優、ジョン・オハーリーを起用。タイトルロゴが変更され、2008年には、テーマ曲が三たび1988年のものが採用された(以降、現在まで変更されていない)。これと平行し、同2008年にはNBCをキー局として有名人バージョンが独立番組として開始され、お天気キャスターとして人気のあった司会者、アル・ローカーが起用されたが1シーズン(1ヶ月)で放送を終えている。
2010年からは、朝のラジオパーソナリティとして人気のあったコメディアン・司会者、スティーブ・ハービー[12] が司会に起用され、2020年現在も継続中である。
2015年に有名人バージョンが、「元祖」であるABCで復活。シンジケーション同様にハービーが司会を務め、以降1年ごとに新作が作られている。
海外版
編集イギリス版
編集イギリスでは「Family Fortunes」のタイトルで1980年~2002年の間、ITVネットワークで断続的に放送された。回転式パネルは用いず、「ミスターバベッジ[13]」と呼ばれる電光掲示板が番組の名物となっていた(80年代には、米国に先駆けLED式巨大ディスプレイを採用したが、1年間で元の電光掲示板に戻している)。
司会はボブ・モンクハウス(司会者)、マックス・バイグレイブス(歌手)が務めた後、レス・デニス(コメディアン)が(最後の1年間を除き)15年間担当、番組の顔となった。
特定の答えの中に賞品が隠されており、それを獲得できるルールがあった。またラストゲーム「Big Money(米国版のFast Money)」では、5つの設問すべてで1位を当てると自動車も獲得できた。
2006年に有名人バージョン「All Star Family Fortunes」として復活、2015年で終了。2020年には一般参加版が18年ぶりに開始された。
その他
編集オーストラリア、フランス、インドネシアなど世界各国で放映実績がある。長寿番組ゆえ放映終了した国も少なくないが、2019年には米国版のスタイルをほぼ踏襲したカナダ版[14] が、CBC(カナダ放送協会)で立ち上げられた。コメディアンのジェリー・ディーが司会を務めている。
2020年には、スティーブ・ハービー自身が番組を売り込んだ南アフリカ共和国およびガーナ共和国で放送が始まり[15] 、米国から出張する形でハービーが司会を務めている。さらにオーストラリアでは大規模森林火災被害者・関係者や、新型コロナウイルス感染症患者・医療関係者を勇気づける企画として、短期シリーズの復活版制作が発表されている[16]。
日本ではTBSテレビが放送。「Family Feud」から遅れること2年後の1978年に「家族対抗クイズ合戦」の題で日曜午後に関東ローカルで開始、1年後にタイトルを「クイズ100人に聞きました」に改め、月曜のゴールデンタイム・全国ネットに移行。1992年までの14年間続いた。司会は俳優の関口宏が務めた。日本国内では2000年12月30日に特別番組として放送された。
関連
編集- 公式サイト(英語)
- Family Feud(英語版)
出典・脚注
編集- ^ 日本では「クイズグランプリ」として放送。
- ^ 日本では「ザ・チャンス!」として放送。
- ^ “Entertainment venue centered on TV game shows coming to Mount Pleasant”. Post and Courier (2019年12月25日). 2020年2月16日閲覧。
- ^ 日本版の当初のタイトル「家族対抗クイズ合戦」は直訳に近い。逆にイギリス版では「Feud」の語が避けられ、代わりに「Family Fortunes(家族の幸運)」という題名がつけられた。
- ^ 「100人に聞きました」の「あるあるある!」に相当するが、観客ではなくチームメンバーが言う。
- ^ 無制限に考え続けることはできず、数秒言いよどむとブザーが鳴り誤答と同じ扱いとなる。開始当初は3秒ほど猶予があったが、2020年現在は1秒程度。ただし、ブザーと同時に解答したと司会者が判断した場合は、その解答は認められる。
- ^ 「100人に聞きました」では司会者が少数解答を読み上げていたが、「Family Feud」では特に取り上げることはない。
- ^ 当初は15秒/20秒。その後20秒/25秒に改められる。パスが可能だが時間切れすると無回答扱いとなる。
- ^ 当時、クイズ番組「Match Game(日本の「アイ・アイゲーム」の元になった番組)」で解答者として人気を博していた。
- ^ ドーソンが女性出場者にスキンシップやキスをするのがおなじみとなる。A・シュワルツェネッガー主演の映画「バトルランナー」には、ドーソンが当番組の司会者を彷彿とさせる悪役で出演している。
- ^ この時期のみ解答者が1チーム4名に減らされ、「ボード」は電光掲示板のみとなり、「ファストマネー」以外はCGに置き換えられた。
- ^ 「スティーブ・ハーベイ」とも表記。
- ^ 英国の数学者、チャールズ・バベッジに由来
- ^ カナダでは米国のテレビ番組を視聴するのが容易で、米国版の同番組も広く視聴されてきた経緯がある。
- ^ “STEVE HARVEY OBTAINS LICENSING RIGHTS TO BRING “FAMILY FEUD” TO GHANA AND SOUTH AFRICA”. BLACK ENTERPRISE (2020年3月5日). 2020年5月11日閲覧。
- ^ “Family Feud to make television comeback on Channel 10 in July”. DAILY TELEGRAPH (2020年5月22日). 2020年5月31日閲覧。