バイオニクス歩兵戦闘車

バイオニクス英語: Bionix)は、シンガポールシンガポール・テクノロジーズ・エンジニアリング英語版(現STキネティックス)で開発された歩兵戦闘車武装の違いにより、バイオニクス 25バイオニクス 40/50の2種類が存在する。

バイオニクス歩兵戦闘車
バイオニクス 25歩兵戦闘車
基礎データ
全長 5.92m
全幅 2.70m
全高 2.57m
重量 23.0t(バイオニクス 25)
21.5t(バイオニクス 40/50)
乗員数 3名+兵員7名(バイオニクス 25)
2名+兵員9名(バイオニクス 40/50)
装甲・武装
主武装 25mm機関砲M242(バイオニクス 25)
30mm機関砲Mk 44(バイオニクスII)
40mm自動擲弾銃(バイオニクス 40/50)
副武装 7.62mm機関銃M240(バイオニクス 25)
12.7mm重機関銃M2(バイオニクス 40/50)
機動力
速度 70km/h整地
エンジン デトロイトディーゼル6V-92TA
液冷V型6気筒ディーゼル
475hp
懸架・駆動 油気圧式
行動距離 415km(整地)
テンプレートを表示

概要

編集

1991年にシンガポール・テクノロジーズ・キネティック社が、シンガポール陸軍からの要求に基づいて開発を開始。試作車両1995年-1996年頃に完成したといわれ、1997年から量産を開始し、シンガポール陸軍へ派生型も含め500輌が納入された。

バイオニクスは、車体と砲塔が圧延防弾鋼板溶接構造で、車体は低平な型をした、歩兵戦闘車としては一般的なデザインとなっている。防御力も歩兵戦闘車としては標準的なレベルであるが、必要に応じて増加装甲板ボルト止めでき、さらにドイツのIBD社製爆発反応装甲を装着することもできる。

車内配置も標準的なもので、車体前部右側に操縦室、前部左側に機関室が配置され、車体中央部が全周旋回式砲塔を搭載した戦闘室、後部が兵員室となっている。エンジンは、アメリカデトロイトディーゼル社製の6V-92TA液冷V型6気筒ターボチャージドディーゼルエンジンを搭載、変速機にはジェネラル・ダイナミックス・ディフェンス・システムズ社製HMPT-500-3EC自動変速機を装備し、路上最高速度は70km/hで、10秒で32km/hまで加速できるため、機動性は他国の歩兵戦闘車と遜色ない性能になっている。これらの動力装置は、アメリカユナイテッド・ディフェンス社が開発したM8 AGS軽戦車と同様のものである。また、歩兵戦闘車としては珍しく、油気圧式サスペンションを採用している。

バイオニクスの武装は、バイオニクス 25とバイオニクス 40/50とで異なっており、バイオニクス 25は左側に車長、右側に砲手が位置する大型の2名用砲塔にマクドネル・ダグラス(現ボーイング)社製25mm機関砲M242と、同軸および対空用に7.62mm機関銃M240、砲塔両側面にSDS-93 76mmスモークディスチャージャーを装備する。バイオニクス 40/50では1名用砲塔に40mm自動擲弾銃と同軸の12.7mm重機関銃M2を装備する。なお、車体後部の兵員室にはバイオニクス 25で完全武装の兵士7名、バイオニクス 40/50で完全武装の兵士9名が搭乗でき、兵員室の上部左右には7.62mm機関銃を装備できるピストルマウントが備えられている。

派生型

編集
バイオニクス 25
25mm機関砲搭載型。
バイオニクス 40/50
シンガポール国産の40mmSTK 40英語版自動擲弾銃12.7mm重機関銃搭載型。
なお、ブローニング12.7mmはアメリカ風に「.50口径(0.50インチ)」とも呼ばれる。
バイオニクスII
30mm機関砲搭載型。
バイオニクス AVLB
架橋車輌型。
バイオニクス ARV
装甲回収車型。

運用国

編集

現用

編集

脚注

編集
  1. ^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語). The Military Balance 2023. Routledge. p. 287. ISBN 978-1-032-50895-5 

参考資料

編集
  • 戦車名鑑1946~2002 現用編、コーエー
  • グランドパワー5月号別冊、世界の戦闘車輌2006~2007、ガリレオ出版


関連項目

編集