スバル・R1e
スバルR1e(スバルアールワンイー)は、富士重工業によって生産された二次電池式電気軽自動車である[1]。2003年の東京モーターショーにコンセプトカーが初出品された[2]。東京電力(TEPCO)との共同開発[3]。少なくとも40台のプロトタイプが富士重工によって製造され、TEPCOとニューヨーク州電力公社によって試験された[4]。航続距離は80キロメートル、最高速度は時速100キロメートルである。
スバルR1e | |
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R1e(ニューヨーク国際オートショー2008) | |
ボディ | |
ボディタイプ | 3ドアハッチバック |
パワートレイン | |
モーター | 40 kW (54 hp; 54 PS) |
車両寸法 | |
全長 | 3285 mm |
全幅 | 1475 mm |
全高 | 1510 mm |
系譜 | |
後継 | スバル・G4e |
歴史
編集R1eは2プラス2シート型の3ドアハッチバックであった。2005年に日本市場で発売されたスバルR1はR1eとスタイルとシャシを共有しており、R1eコンセプトの1年後に2004年の東京モーターショーでプロトタイプが展示された[5]。R1は衝突の衝撃を効果的に吸収する「タマゴ型」の「ワンモーションフォルム」を採用した[5][6]。R1のグリルにはR2や初代B9トライベッカと同じスプレッドウィングスグリルが採用された。R1eは2004年3月に開催された第74回ジュネーヴ国際モーターショーにも出品された[7]。その後2005年にガソリン軽自動車のR1が販売開始された[6]。
2005年、富士重工業と東京電力はスバルR1eをベースにした業務用EVの共同開発を発表した[3]。本合意の下、富士重工業は試作車の生産と、日常業務における路上走行試験等を通じた性能および経済性の確認、最適な電池搭載量の検証を担当した。東京電力は急速充電器の開発を担当した。性能目標は市街地での航続距離80 km、AC200V電源による80%までの充電時間15分とされた[3]。コンセプトカーと比較すると、プロトタイプ車のシートは2つに減った。プロトタイプは東京都三鷹市のスバル技術研究所で製造され、2005年10月から2006年3月の間に東京電力に納入されることが計画された[3]。
R1eは2006年1月にデトロイトで開催された北米国際オートショーに出品された[8]。富士重工業、東京電力、NECラミリオンエナジーは2006年11月に、R1eの開発に対して共同で「平成18年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰」を受賞した[9]。2007年2月、富士重工業はR1eを近距離コミューターとして実用化する意向を発表した[10]。
富士重工業は2007年末に開催された東京モーターショーにおいて、R1eの後続モデルとして電気自動車G4e CONCEPTを発表した[11]。G4eはR1eからバッテリーと航続距離が改善し、より大胆なスタイリングを持つ[12]。2008年2月までに東京電力は40台のR1eを業務に使用した[10]。2台のR1eが2008年3月にニューヨーク電力公社に供給された[13][14][15]。R1eの駆動系の設計と経験は2008年6月に出品された「スバル プラグイン ステラ コンセプト」へと取り込まれ、富士重工業は2009年度中にプラグインステラを試験販売する計画を発表した[16][17]。
技術面
編集R1eはNECラミリオンエナジー(富士重工業とNECによって設立された合弁企業)によって開発されたラミネート型リチウムイオン二次電池を使用した[2][3][18]。設計目標は市街地航続距離80 km、最高速度100 km/hのための電池容量8 kWh、7年間または7万km経過時点で少くとも初期電池容量の80%を維持することであった[3]。バッテリーパックの実測性能はAC 200 Vの急速充電器を使って8分間で80%、あるいはAC 100 Vの充電器を使って8時間で100%の充電性能であった。バッテリー寿命は少くとも10年または1万3千kmとされた[14]。
脚注
編集- ^ “Subaru R1e Electric Switch Debut in Geneva”. Worldcarfans.com (2007年2月7日). 2010年11月27日閲覧。
- ^ a b “Booth Guide: Subaru”. Tokyo Motor Show (2003年). 7 June 2017閲覧。
- ^ a b c d e f 『東京電力用業務用電気自動車の共同開発の開始について』(プレスリリース)東京電力、富士重工業、2005年9月2日 。2022年12月21日閲覧。
- ^ “subaru-r1e-electric-car”. Greencarsite.co.uk. 2010年11月27日閲覧。
- ^ a b 『第38回 東京モーターショー 2004-働くくるまと福祉車両-出展概要』(プレスリリース)富士重工業、2004年10月14日 。2022年12月21日閲覧。
- ^ a b 『スバル R1(アールワン)を発売』(プレスリリース)富士重工業、2004年12月24日 。2022年12月21日閲覧。
- ^ 『第74回 ジュネーブ国際モーターショー 出展概要』(プレスリリース)富士重工業、2004-20-12 。2022年12月21日閲覧。
- ^ 『2006年北米国際自動車ショー 出展概要』(プレスリリース)富士重工業、2006年1月10日 。2022年12月21日閲覧。
- ^ 『富士重工業、電気自動車の開発が評価され、東京電力、NECラミリオンエナジーと共同で、「平成18年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰」を受賞』(プレスリリース)富士重工業、2006年11月20日 。2022年12月21日閲覧。
- ^ a b 『第77回ジュネーブ国際モーターショー 出展概要』(プレスリリース)富士重工業、2007年2月8日 。2022年12月21日閲覧。
- ^ 『第40回東京モーターショー出展概要』(プレスリリース)富士重工業、2007年10月9日 。2022年12月21日閲覧。
- ^ Erin Riches (2008年8月8日). “Subaru G4e Concept - 2007 Tokyo Auto Show”. Edmunds.com. 2011年9月30日閲覧。
- ^ 狩集浩志 (2008年3月21日). “【NYショー】富士重工業の電気自動車「R1e」,ニューヨークでの実証試験を今夏に開始”. 日経エレクトロニクス. 2022年12月21日閲覧。
- ^ a b "Subaru to evaluate quick charge electric car with New York Power Authority" (Press release). Subaru Corporation. 20 March 2008. 2017年6月7日閲覧。
- ^ Chang, Richard S. (22 March 2008). “A Tiny Electric Visitor”. The New York Times 7 June 2017閲覧。
- ^ 『富士重工業 「スバル プラグイン ステラ プロトタイプ」を開発~環境省に15台提供、5府県市・郵便事業株式会社で実証実験~』(プレスリリース)富士重工業、2009年4月14日 。2022年12月21日閲覧。
- ^ 『富士重工業 「スバル プラグイン ステラ」を発表』(プレスリリース)富士重工業、2009年6月4日 。2022年12月21日閲覧。
- ^ 『NEC・富士重工業の共同出資による自動車用電池開発会社の設立について』(プレスリリース)日本電気、富士重工業、2002年5月14日 。2022年12月21日閲覧。
- ^ “Subaru News | | Subaru wins top environmental commendation”. Easier.com (2007年1月11日). 2010年11月27日閲覧。
関連項目
編集外部リンク
編集- nbcnews.com article concerning limited production placement with an electric utility
- Allen, Mike (12 November 2011). “Subaru R1e Electric Car Exclusive Test Drive Video”. Popular Mechanics. 7 June 2017閲覧。