ねじれた家
アガサ・クリスティの小説
(アガサ・クリスティー ねじれた家から転送)
『ねじれた家』(ねじれたいえ、原題:Crooked House)は、イギリスの女流作家アガサ・クリスティの推理小説。1949年に発表された。
原題 "Crooked House" は、作品中に引用されているマザー・グースの童謡 "There was a crooked man"(ねじれた男がおりました)の最終節の歌詞 "in a little crooked house" に由来する[注 1][注 2]。
あらすじ
編集一代で莫大な富を築き「ねじれた家」に住むアリスタイド・レオニデスが毒殺される。アリスタイドの孫娘ソフィア・レオニデスの恋人で、東洋での勤務を終えて帰国したばかりの外交官チャールズ・ヘイワードは、ロンドン警視庁副総監である父や、タヴァナー主任警部、そしてソフィアとともに事件を捜査する。
やがてソフィアにほとんどの財産を譲るという遺言書が出てきて、さらに第2の殺人が起こる。
登場人物
編集- チャールズ・ヘイワード
- 外交官。ソフィアの婚約者。本作の語り手。
- ソフィア・レオニデス
- チャールズの婚約者でフィリップの長女。
- アリスタイド・レオニデス
- ソフィアの祖父で、大金持ち。トルコ生まれのギリシャ人。24歳の時にロンドンに来て事業を興した。
- マーシア・レオニデス
- アリスタイドの先妻。故人。
- ブレンダ・レオニデス
- アリスタイドの若い後妻。34歳。
- エディス・デ・ハヴィランド
- マーシアの姉、ソフィアの大おば。レオニデス家に住んでいる。
- ロジャー・レオニデス
- アリスタイドの長男。
- クレメンシイ・レオニデス
- ロジャーの妻。科学者。
- フィリップ・レオニデス
- アリスタイドの次男でソフィア、ユースティス、ジョセフィンの父親。
- マグダ・レオニデス
- フィリップの妻でソフィア、ユースティス、ジョセフィンの母親。舞台女優、旧姓は「ウェスト」。
- ユースティス・レオニデス
- フィリップの長男。16歳。軽症のポリオ後遺症を患っている。
- ジョセフィン・レオニデス
- フィリップの次女。12歳。
- ローレンス・ブラウン
- ユースティス、ジョセフィンの家庭教師。30歳前後。
- ジャネット・ロウ
- 使用人兼乳母。
- ゲイツキル
- 弁護士。
- アーサー・ヘイワード
- チャールズの父。ロンドン警視庁副総監。
- タヴァナー
- 主任警部。
映画化
編集アガサ・クリスティー ねじれた家 | |
---|---|
Crooked House | |
監督 | ジル・パケ=ブランネール |
脚本 |
ジュリアン・フェロウズ ティム・ローズ・プライス ジル・パケ=ブランネール |
原作 |
アガサ・クリスティ 『ねじれた家』 |
製作 |
ジェームズ・スプリング サリー・ウッド ジョー・エイブラムス |
製作総指揮 |
ポール・B・エンバーリー ティム・スミス ジェームズ・スウォーブリック ジョン・ストーリー スチュワート・ピーター アンダース・エアデン ジェイ・ファイアストーン フィル・ハント コンプトン・ロス サニー・ボラ アンドリュー・ボスウェル リサ・ウォロフスキー |
出演者 |
グレン・クローズ テレンス・スタンプ マックス・アイアンズ |
音楽 | ヒューゴ・デ・チェア |
撮影 | セバスティアン・ウィンテロ |
編集 | ピーター・クリステリス |
製作会社 | ブリリアント・フィルムズ |
配給 | |
公開 | |
上映時間 | 115分 |
製作国 |
イギリス アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $10,000,000[3] |
興行収入 |
$3,682,156[4] 7500万円[5] |
2017年に『アガサ・クリスティー ねじれた家』(原題:Crooked House)のタイトルで初映画化。英国では2017年12月17日にチャンネル5で放映された。
キャスト
編集※括弧内は日本語吹替[6]
- イーディス・デ・ハヴィランド: グレン・クローズ(唐沢潤)
- タヴァナー主任警部: テレンス・スタンプ(蓮岳大)
- チャールズ・ヘイワード: マックス・アイアンズ(村井雄治)
- ソフィア・レオニデス: ステファニー・マティーニ(生田ひかる)
- フィリップ・レオニデス: ジュリアン・サンズ(宮崎敦吉)
- ジョセフィーン・レオニデス: オナー・ニーフシー
- ロジャー・レオニデス: クリスチャン・マッケイ
- クレメンシー・レオニデス: アマンダ・アビントン
- マグダ・レオニデス: ジリアン・アンダーソン(夏川朋子)
- ブレンダ・レオニデス: クリスティーナ・ヘンドリックス(青山玲菜)
作品の評価
編集Rotten Tomatoesによれば、30件の評論のうち、57パーセントにあたる17件が高く評価しており、平均して10点満点中5.1点を得ている[7]。Metacriticによれば、8件の評論のうち、高評価は4件、賛否混在は2件、低評価は2件で、平均して100点満点中59点を得ている[8]。
脚注
編集注釈
編集- ^ "There was a crooked man" の "crooked man" には、直訳の「曲がった男」から「ひねくれおとこ」(谷川俊太郎)や「つむじまがり」(竹久夢二)など、様々な訳がある。
- ^ アーサー・コナン・ドイルの短編集『シャーロック・ホームズの回想』の中に「背中の曲がった男」(The Adventure of the Crooked Man) という作品がある。ただし、話の内容は童謡には関係がない。
- ^ 作者は「自作の探偵小説の中で、わたしがもっとも満足している二作は『ねじれた家』と『無実はさいなむ』である」と述べている[1]。
出典
編集- ^ 『アガサ・クリスティー自伝』 (ハヤカワ文庫)参照。
- ^ “A・クリスティが遺産をめぐる一族描いた「ねじれた家」 G・クローズ主演で初映画化”. 映画.com. (2019年1月30日) 2019年1月30日閲覧。
- ^ “Crooked House” (英語). Cinando. 19 October 2016閲覧。
- ^ “Crooked House” (英語). Box Office Mojo. 2020年4月19日閲覧。
- ^ 『キネマ旬報』2020年3月下旬特別号 59頁
- ^ “アガサ・クリスティー ねじれた家”. WOWOW. 2020年4月23日閲覧。
- ^ “Crooked House (2017)” (英語). Rotten Tomatoes. 2020年4月19日閲覧。
- ^ “Crooked House Reviews” (英語). Metacritic. 2020年4月19日閲覧。
外部リンク
編集- 映画
- ウィキメディア・コモンズには、Crooked House (2017 film)に関するカテゴリがあります。
- 映画「アガサ・クリスティー ねじれた家」公式サイト
- アガサ・クリスティー ねじれた家 - allcinema
- アガサ・クリスティー ねじれた家 - KINENOTE
- Crooked House - オールムービー
- Crooked House - IMDb