艸部
艸艹艹艹 | ||||||||||||||
康熙字典 214 部首 | ||||||||||||||
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色部 | 艸部 | 虍部 | ||||||||||||
1 | 一 | 丨 | 丶 | 丿 | 乙 | 亅 | 2 | 二 | 亠 | 人 | 儿 | 入 | 八 | 冂 |
冖 | 冫 | 几 | 凵 | 刀 | 力 | 勹 | 匕 | 匚 | 匸 | 十 | 卜 | 卩 | 厂 | 厶 |
又 | 3 | 口 | 囗 | 土 | 士 | 夂 | 夊 | 夕 | 大 | 女 | 子 | 宀 | 寸 | 小 |
尢 | 尸 | 屮 | 山 | 巛 | 工 | 己 | 巾 | 干 | 幺 | 广 | 廴 | 廾 | 弋 | 弓 |
彐 | 彡 | 彳 | 4 | 心 | 戈 | 戶 | 手 | 支 | 攴 | 文 | 斗 | 斤 | 方 | 无 |
日 | 曰 | 月 | 木 | 欠 | 止 | 歹 | 殳 | 毋 | 比 | 毛 | 氏 | 气 | 水 | 火 |
爪 | 父 | 爻 | 爿 | 片 | 牙 | 牛 | 犬 | 5 | 玄 | 玉 | 瓜 | 瓦 | 甘 | 生 |
用 | 田 | 疋 | 疒 | 癶 | 白 | 皮 | 皿 | 目 | 矛 | 矢 | 石 | 示 | 禸 | 禾 |
穴 | 立 | 6 | 竹 | 米 | 糸 | 缶 | 网 | 羊 | 羽 | 老 | 而 | 耒 | 耳 | 聿 |
肉 | 臣 | 自 | 至 | 臼 | 舌 | 舛 | 舟 | 艮 | 色 | 艸 | 虍 | 虫 | 血 | 行 |
衣 | 襾 | 7 | 見 | 角 | 言 | 谷 | 豆 | 豕 | 豸 | 貝 | 赤 | 走 | 足 | 身 |
車 | 辛 | 辰 | 辵 | 邑 | 酉 | 釆 | 里 | 8 | 金 | 長 | 門 | 阜 | 隶 | 隹 |
雨 | 靑 | 非 | 9 | 面 | 革 | 韋 | 韭 | 音 | 頁 | 風 | 飛 | 食 | 首 | 香 |
10 | 馬 | 骨 | 高 | 髟 | 鬥 | 鬯 | 鬲 | 鬼 | 11 | 魚 | 鳥 | 鹵 | 鹿 | 麥 |
麻 | 12 | 黃 | 黍 | 黑 | 黹 | 13 | 黽 | 鼎 | 鼓 | 鼠 | 14 | 鼻 | 齊 | 15 |
齒 | 16 | 龍 | 龜 | 17 | 龠 |
概要
編集「艸」は「草」の本字であり、草本植物の総称として用いられる。草の形に象る「屮」が2つ並んだ会意文字である。
偏旁の意符としては植物に関することを示す。樹木ではない植物、特に草本植物との関わりから派生した字を作っている。このとき主として上側の冠の位置に置かれ、上下構造を作るが、通常「艹」という十字の形に変形させて用いられる。なおこの形には差異がある(下記参照)。
艸部に所属する漢字で「艸」の字形のまま用いられている漢字は少なく、Unicodeの基本領域では「芔」「茻」と、「艸」の字形が上下に分離されている「芻」があるのみである。日常ではまず用いられないが、拡張領域では「𦫹」「𦬦」「𦭠」などといった漢字が収録されている。
特筆すべき点は異体字が多数存在し、同音の文字に変えた字体(蔕と蒂など)、類似の字形に変えた字体(萌と萠、菟と莵など)、本字に追加した字体(蕊と蘂、蕩と蘯など)、左右の構造が異なる同字(蘇と蘓など)、表外字の拡張新字体(蘆と芦、藪と薮など)、本字にくさかんむりを加えた異体字(芻と蒭、他部首では刈(刀部)と苅、園(囗部)と薗、帚(巾部)と菷、韭(韭部)と韮など)などが存在する。
艸部はこのような意符を構成要素に持つ漢字を収める。その総字数は全ての部首で最も多い。
字体のデザイン差
編集楷書において偏旁の「艸」は「艹」のように十字形に変形されるが、2つの十字の横画をつなげて全体で3画にする「3画くさかんむり」(艹)とそのまま間を開ける「4画くさかんむり」がある。また、「4画くさかんむり」には「艹」の形と「艹」の形がある。
印刷書体(明朝体)において『康熙字典』は「4画くさかんむり」を採っている。現在、台湾の国字標準字体・香港の常用字字形表もこの形をとる。
日本の新字体・中国の新字形は「3画くさかんむり」を使っている。
また日本の『表外漢字字体表』では「『くさかんむり』については、明治以来の明朝体字形に従い、『3画くさかんむり』を印刷標準字体と考える。ただし、このことは、明朝体以外の印刷書体の字形(例えば、正楷書体における『4画くさかんむり』)を制限するものではない」とされており、康熙字典体に従っていない。戸籍における氏名など、「3画くさかんむり」と「4画くさかんむり」を区別する場合があり、示偏や之繞同様にこだわる場合もある(德永英明の「英」など)。そのため人名用外字セットに「4画くさかんむり」を使用したものが含まれていたり、大規模文字セットでは3画と4画が区別されている場合もある。
筆記の慣習においては、草書では「前」の上のような形、行書では「サ」のようなかたち、楷書では「十十」と書かれ、『康煕字典』の活字もこれに習って4画くさかんむりとしている。上記のように、日本の活字では明治以来3画くさかんむりとされており(直線的な印刷字体では4画のくさかんむりは作りづらいため)、『当用漢字表』でも3画が採用されている。活字のくさかんむりはこのようになったが、筆記では、学校教育などで4画に書く楷書を教えなくなってしまった。ここから「旧字は4画」という誤解が生まれてしまったが、上のように少なくとも筆記では4画、3画の区別はない。日本規格協会符号化文字集合調査研究委員の小池和夫は、「草冠は草冠であることがわかればよく、画数は問題ではない。しんにょうの点と草冠の画数は数えるものではない」としている[1]。
大相撲の番付表には3種類の草冠が書かれている。一つは番付表の中央に書かれている「蒙御免」の「蒙」の草冠の「艹」、二つ目は「若乃花」の「若」の草冠を「差」のようにしたもの、三つ目は「武蔵丸」のように通常の草冠にしたものが書かれている。
片仮名の「サ」は「3画くさかんむり」に似ているが、「サ」は「散」を崩したものの一部から造られた字であり、「3画くさかんむり」とは全くの無関係である。
Unicodeにおける部首内画数の配列では、くさかんむりの字形は全て4画の扱いとしている。
略字
編集なお略字形を採用する日本の新字体・中国の簡体字では他の偏旁を「3画くさかんむり」に統合させたものがある。
丱
編集日本・中国に共通しているのは、「敬」のような「丱」の変形で「艹」となったものを「3画くさかんむり」にしていることである。ただし、この系列の「夢・繭・驚・護・獲」などは、日本では単に「3画くさかんむり」に変えて「夢・繭・驚・護・獲」とするのであるが、中国では「梦・茧・惊・护・获」のように字全体で独自の簡略化をする。また「勸・歡」などについては日本では「勧・歓」のように、中国では「劝・欢」のように簡略化する。
なおこの偏旁の繁体字・旧字体について言えば、『康熙字典』は「艹」を採用し、台湾の国字標準字体・香港の常用字字形表もこの形を採る。一方、中国は新字形により「3画くさかんむり」を使っている。
廿
編集日本の新字体では「漢・勤」のような「廿」形を「3画くさかんむり」とする。ちなみに中国の簡体字では「漢」を「汉」に簡略化する。
火火
編集中国の簡体字では「營・螢・榮」の「火火」を「3画くさかんむり」とし、「营・萤・荣」のようにする。ちなみに日本では「営・蛍・栄」のように「ツ」形に簡略化している。
部首の通称
編集- 日
- くさかんむり
- くさ・そうこう
- 中:草字頭
- 韓:초두부 (cho du bu、草頭部) 초두머리(cho du mori、草頭の冠)
- 越:Bộ Thảo(部草)
- 英:Radical grass
部首字
編集艸
例字
編集画数 | 例字 |
---|---|
0 | 艸 |
2 | 艾 |
3 | 芋・芍・芒 |
4 | 芽(芽5)・芙・芟・芥・芫・芬・芭・芯・花・芳・芸・芹・芻・苅・芝(芝3) |
5 | 苑・苒・苓・苔・苗・苙・苛・苜・苞・苟・苡・苣・若・苦・苧・苫・英・苳・苴・苹・苺・苻・茁・茂・范・茄・茅・茆・茉 |
6 | 茖・茗・茘・茜・茨・茫・茯・茱・茲・茴・茵・茶・茸・茹・荀・荅・草・荊・荏・荐・荒・荢・茟 |
7 | 茣・荳・荵・荷・荻・荼・荿・莅・莇・莉・莊(荘6)・莎・莓・莖(茎5)・莚・莞・莟・莠・莢・莨・莪・莫・莵・𫟏 |
8 | 菁・菅・菇・菊・菌・菎・菓・菖・菘・菜・菟・菠・菩・菰・菱・菲・菴・菶・菷・菻・菽・萃・萄・萇・萋・萌・萍・萎・萓・萠・萢・葛・莽・華(華7) |
9 | 萩・萪・萬(万→一部)・萱・萵・萸・萼・落・葆・葈・葉・葎・葡・董・葦・葩・葫・葬・葭・葮・葱・葵・葷・葹・葺・蒂・蒄・著(著8) |
10 | 蒐・蒔・蒙・蒜・蒟・蒡・蒭・蒲・蒴・蒸・蒹・蒻・蒼・蒿・蓁・蓄・蓆・蓉・蓊・蓋・蓍・蓐・蓑・蓖・蓙・蓚・蓜 |
11 | 蓬・蓮(蓮10)・蓴・蓼・蓿・蔀・蔆・蔑・蔓・蔔・蔕・蔗・蔘・蔚・蔟・蔡・蔦・蔬・蔭 |
12 | 蔽・蕀・蕁・蕃・蕈・蕉・蕊・蕋・蕎・蕓・蕕・蕘・蕙・蕚・蕣・蕨・蕩・蕪・蕫・蕭 |
13 | 蕗・蕷・蕾・薀・薄・薇・薈・薊・薐・薑・薔・薗・薙・薛・薜・薤・薦・薨・薪・薯 |
14 | 薩・薰(薫13)・薹・薺・藁・藉・藍・藏(蔵12)・藐 |
15 | 藕・藜・藝(芸4)・藤・藥(薬13)・藩・藪(薮13)・藷・蘋 |
16 | 藹・藺・藻・藾・蘂・蘆(芦4)・蘇・蘊・蘓・蘢 |
17 | 蘖・蘗・蘚・蘰・蘭(蘭16) |
19 | 蘿 |
26 | 𧆚 |
39 | 𧆘 |
出典
編集- ^ 小池和夫『異体字の世界 旧字・俗字・略字の漢字百科』河出書房新社,2009年,149頁。ISBN 978-4-309-40857-6